この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

15x24。

2010-03-26 20:58:54 | 読書
 新城カズマ著、『15x24』、読了。

 よーやく『15x24』、全六巻を読み終わりました。
 読み終わって最初に最初に思ったこと、本作の最重要キーパーソンであるイチナナの正体に納得がいかなーい!!でした。
 だってイチナナの正体が○○だったら、○○の△である××が○○の置かれている状況を黙って見過ごすはずがないもの(伏字ばかりで申し訳ない。でも読んだ人ならわかるはず。)。
 XXが何も気がつかなかったのか?
 それもまた考えられないんだよね。
 XXはそういう愚鈍なキャラ設定ではないので。

 なので、本作に対する自分の読了直後の評価は残念ながらそれほど高くはないのですが、それでも本作が一読に値する作品である、とは充分思います。
 超絶的な技巧を凝らした作品だとも。
 基本的に自分は一人称の作品は三人称の作品より評価が低いのだけれど、本作に限っていえばスゴイといわざるを得ません。
 多視点一人称の作品を読んだことがなかったわけではないけど、十五視点一人称の作品はさすがにビックリですよ。
 視点が変わるたびに言葉使いも変わるしね。
 ひたすらスゴイとしか言いようがない。

 本作は一人の自殺志願者が引き起こした騒動の物語であり、そしてまた“死”についての考察である、とも言えます。
 十五人の登場人物の一人として、「自殺は残された家族が悲しむからよくない!」なんて生温いことを言わないからよかったです。
 自殺は残された家族が悲しむからよくない、なんていう言葉は正しいように聞こえるけど、そうじゃないんだよね。
 残された家族が悲しむからよくないっていうなら、天涯孤独な人間はどうなのかって話になるから。
 無論それは決して推奨されるべきことではないのだけれど、少なくともそういった理由で否定されるべきじゃないんだよ。
 自殺について、そして死について、思考が停止してしまっている人には是非本作を手に取り、そして読んで欲しいって思います。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする