この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

特に熱くなることもなかった『ターミネーター:新起動/ジェニシス』。

2015-07-11 23:42:48 | 新作映画
 アラン・テイラー監督、エミリア・クラーク主演、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』、7/11、ユナイテッドシネマキャナルシティ13にて鑑賞。2015年25本目。


 人間の人生において最もドラマティックなことは何だと思うか?と聞かれたら、どう答えますか?
 答えは人それぞれかもしれませんが、自分は「人の死」だと思います。
 まぁ「人の死」という言い方は物騒で語弊があるかもしれませんが、要は登場人物が何に対して命をかけて生きたか(or生きているか)?ってことですよ。
 その『何か』が共感できるものであればあるほど、見てるこちらも熱くなれるというものです。
 その点においてシリーズ第一作の『ターミネーター』と第二作の『ターミネーター2』はこれ以上ない!っていうぐらい熱くなれる映画でした。
 『ターミネーター』でカイル・リースは、写真でしか見たことのないサラ・コナーに恋をし、時空を超えて彼女に会いに行き、最後には彼女を守るために命を落とします。
 これ以上の純愛ってあるのでしょうか。
 基本的に恋愛ものは一切見ない主義の自分ですが、『ターミネーター』だけは別ですね。
 カイルのようにいつか愛しい人のために死ねたら!と妄想して止みません(妄想だけにしとけよ!)。
 熱くなれるといえば、『ターミネーター2』のラストシーン以上のものもないですよね。
 死闘の末にT-1000型ターミネーターを倒したジョンたち。すべてが終わった、とホッと一安心しているところにシュワルツェネッガー演じるT-800が言うんですよ、「チップはここにもある」と自分の頭を指さしながら。そして彼は溶鉱炉に沈みゆくのです。
 このシーンを思い出すだけでぐわっと泣きそうになりますけどね(自分だけ?)。

 さて、そんなドラマティックな『ターミネーター』&『ターミネーター2』に比べ、ビックリするほどドラマティックなことが起こらない、つまり言い換えれば誰も死ななかったのがシリーズ最新作である『ターミネーター:新起動/ジェニシス』でした。
 もうねー、本当に誰も死なないんですよ。
 (ネタバレになりますが)サラ・コナーが死なないのはまぁわかります。でもカイルが死ななかったのはどーよ?と思わずにはいられません。さらにT-800まで死なないとなるとこの映画で熱くなれるシーンがまるで無くなっちゃうんだけど…。
 おまけに例のアイツまで実は生きていた!ということになるともう笑うしかないというか。
 この映画の作り手はハッピーエンドでさえあれば、観客は満足するものと勘違いしてるんじゃないでしょうか。

 一生懸命頑張って作ったんだろうな、と思いはするんですよ。所々旧作へのリスペクトも感じられないではない。
 でも根本的にその大きな勘違いがあるので、観ていて熱くなることもないし、観終わった後に感動も残りません。
 これが通常のアクション映画であるなら、まぁまぁかな、で済むところなのですが、もはや伝説とすら言ってよいシリーズを6年ぶりに再始動させて、さらにシュワルツェネッガーを12年ぶりに引っ張り出して、さらにさらに不評だった『ターミネーター3』&『ターミネーター4』をなかったことにしてまで作りたかったのがこれかと思うと、何て言うか、『ターミネーター』ってシリーズ2作目で完結してたんだなって改めて思うしかないですね。


 お気に入り度★★★、お薦め度★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)。
コメント
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