目指せサクッと要約!!
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バーベキューを楽しそうにする香と夕子。
一緒に露天風呂にも入りにいき、すっかり旅行モード。
クリス達も、焦ってもしょうがないよな・・・とすっかりのんびり気分。
露天風呂から月と星を見上げながら香は思う。
新世界の扉を開く、なんて大きなこと言われても、まったくピンとこない。
自分が月の姫だなんて何かの間違いなんじゃないか・・・。
「明日、花火しよう」
夕子に言われ、うん!と言いながらも、すーっと体に冷たいものが走る。
「夏休み、一緒に花火しようね」
キョウコの声。果たされなかった約束・・・・・・。
ブクブクと湯船に顔をつけ、記憶を追いやろうとする香。
右手が重くなっていく・・・・・・。
その夜、香は夢を見た。
浜辺に一人立って、寄せてはかえす波を見ている。
誰かに呼ばれて振り向くと、母と、車椅子のおばあさんがいた。
おばあさんは母とよく似ていた。言われなくても、祖母だと分かった。
こちらに手を伸ばしているおばあさんに近づくと、いきなり両手を握られた。
「つらかったね・・・」
おばあさんが言う。
「でもこれから必ず、信頼できる人達に会える。だから大丈夫よ・・・」
波の音だけが、そのあともずっと響いていた。
朝起きると、母が出かける支度をしていた。
「お墓参りに行きましょう」
と、母が言う。
朝食後、みんなでお墓参りに行く。祖母の眠るお墓だ。
海が見える高台のお墓。
協力して草をむしり、墓石を磨いてきれいにしていく。
すべてが終わり、二人でお線香をあげている最中、香母が香に言う。
「ありがとう、香・・・」
「・・・・・・え?」
きょとん、と聞き返す香。
「何をあらたまって?」
「10年前、あなたのおかげで、おばあちゃんと仲直りできたのよ」
香の母・夏美は駆け落ち同然で家を出てから、一度も帰ったことはなく、
香が生まれた時に葉書をだしたきりで、音信不通にしていた。
香が8歳になってすぐに、急に連絡がはいる。
死ぬ前に一度、孫の顔がみたい・・・と。
母たっての希望で、あの浜辺で香と引き合わせる。
すべての生命エネルギーを使いきるかのようなオーラで香を包み込んだ年老いた母。
「私達の大切な香。守ってあげて・・・」
気を失ってしまった幼い香の頭をなでながら母が言う。
久しぶりの母娘の時間。ゆっくりと流れていく時間・・・。
香がいなかったら、二度と会うこともなかっただろう、と夏美は言う。
「何があろうと、あなたは私の大切な大切な娘。おばあちゃまの大切な孫」
民宿に戻ると、夏美が、香・夕子・クリス・白龍・イズミの5人にびしっと言う。
「夏休みの宿題、ちゃんとはじめなさい!」
えええっ。予言の日が迫ってるのに?!
香とクリスがえーーーと言うと、夏美はアッサリと、
「予言がこようがきまいが、学生の本分は勉強よ! 計画的にやらないと後で困るわよ!」
有無を言わせない夏美の迫力に5人は食堂のテーブルを借りて勉強をはじめる。
といっても、クリスと白龍は持ってきていなかったので、二人は読書感想文のための本を読み始めた。
眉間にしわを寄せて本を読むクリス。
付箋紙を張りつつ読み進める白龍。
英語の単語をひたすら書いている夕子。
数式をサラサラと書いているイズミ。
食堂の隅でジャガイモの皮むきを手伝っているアーサーと高村と母。
香はみんなのその様子を見ながらふっと心温かく思う。
これが日常。特別な能力なんてなにも関係ない普通の日。
そっと手元に紙が差し出された。夕子だ。
「夕飯のあと花火ね~」
かわいいイラスト付きの絵。
涙が出そうになる。
失いたくない、日常。
夕食後、みんなで花火をした。
クリスが大はしゃぎで花火を振り回そうとするのを白龍が本気で怒ってやめさせている。
線香花火を地味にやりながら夕子が言う。
「なんか香ちゃん大変みたいだけど・・・でもよかったな」
何が?と首をかしげた香に、夕子がニッコリと言う。
「こうやって一緒にお泊まりしたりできたのは、その大変なことのおかげなんでしょ?」
「・・・・・・・・・」
「高校最後の夏、香ちゃんと楽しい思い出ができて嬉しいよ」
「夕子・・・・・・」
この信頼を失ってしまうのだろうか。もし、能力がもどったら、キョウコのように・・・・・・
「香ちゃん」
夕子がふんわりと笑う。
「一緒にやろ。どっちが長く残るか競争」
線香花火を差し出される。
「なんかよく分からないけどさ。私は香ちゃんの味方だからね」
「夕子・・・・・・・・・」
信じたい。この友情を信じたい。夕子はキョウコではない。
「これから必ず、信頼できる人達に会える。だから大丈夫よ・・・」
祖母の言葉が耳に蘇る。
「夕子・・・私・・・」
「大丈夫。何があっても香ちゃんは香ちゃん!変わらないよ」
ぎゅっと繋がれる右手。温かさが伝わってくる・・・・・・。
「・・・・・・ありがとう」
香はぎゅうっと右手を握り返した。
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次回。ついに、書きたかったシーンその2が書けます!
わーい。
次回更新は9日火曜日夜9時です。
週一更新でしたが、ピッチ上げたいので週2更新にします。
よろしくお願いいたします。
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バーベキューを楽しそうにする香と夕子。
一緒に露天風呂にも入りにいき、すっかり旅行モード。
クリス達も、焦ってもしょうがないよな・・・とすっかりのんびり気分。
露天風呂から月と星を見上げながら香は思う。
新世界の扉を開く、なんて大きなこと言われても、まったくピンとこない。
自分が月の姫だなんて何かの間違いなんじゃないか・・・。
「明日、花火しよう」
夕子に言われ、うん!と言いながらも、すーっと体に冷たいものが走る。
「夏休み、一緒に花火しようね」
キョウコの声。果たされなかった約束・・・・・・。
ブクブクと湯船に顔をつけ、記憶を追いやろうとする香。
右手が重くなっていく・・・・・・。
その夜、香は夢を見た。
浜辺に一人立って、寄せてはかえす波を見ている。
誰かに呼ばれて振り向くと、母と、車椅子のおばあさんがいた。
おばあさんは母とよく似ていた。言われなくても、祖母だと分かった。
こちらに手を伸ばしているおばあさんに近づくと、いきなり両手を握られた。
「つらかったね・・・」
おばあさんが言う。
「でもこれから必ず、信頼できる人達に会える。だから大丈夫よ・・・」
波の音だけが、そのあともずっと響いていた。
朝起きると、母が出かける支度をしていた。
「お墓参りに行きましょう」
と、母が言う。
朝食後、みんなでお墓参りに行く。祖母の眠るお墓だ。
海が見える高台のお墓。
協力して草をむしり、墓石を磨いてきれいにしていく。
すべてが終わり、二人でお線香をあげている最中、香母が香に言う。
「ありがとう、香・・・」
「・・・・・・え?」
きょとん、と聞き返す香。
「何をあらたまって?」
「10年前、あなたのおかげで、おばあちゃんと仲直りできたのよ」
香の母・夏美は駆け落ち同然で家を出てから、一度も帰ったことはなく、
香が生まれた時に葉書をだしたきりで、音信不通にしていた。
香が8歳になってすぐに、急に連絡がはいる。
死ぬ前に一度、孫の顔がみたい・・・と。
母たっての希望で、あの浜辺で香と引き合わせる。
すべての生命エネルギーを使いきるかのようなオーラで香を包み込んだ年老いた母。
「私達の大切な香。守ってあげて・・・」
気を失ってしまった幼い香の頭をなでながら母が言う。
久しぶりの母娘の時間。ゆっくりと流れていく時間・・・。
香がいなかったら、二度と会うこともなかっただろう、と夏美は言う。
「何があろうと、あなたは私の大切な大切な娘。おばあちゃまの大切な孫」
民宿に戻ると、夏美が、香・夕子・クリス・白龍・イズミの5人にびしっと言う。
「夏休みの宿題、ちゃんとはじめなさい!」
えええっ。予言の日が迫ってるのに?!
香とクリスがえーーーと言うと、夏美はアッサリと、
「予言がこようがきまいが、学生の本分は勉強よ! 計画的にやらないと後で困るわよ!」
有無を言わせない夏美の迫力に5人は食堂のテーブルを借りて勉強をはじめる。
といっても、クリスと白龍は持ってきていなかったので、二人は読書感想文のための本を読み始めた。
眉間にしわを寄せて本を読むクリス。
付箋紙を張りつつ読み進める白龍。
英語の単語をひたすら書いている夕子。
数式をサラサラと書いているイズミ。
食堂の隅でジャガイモの皮むきを手伝っているアーサーと高村と母。
香はみんなのその様子を見ながらふっと心温かく思う。
これが日常。特別な能力なんてなにも関係ない普通の日。
そっと手元に紙が差し出された。夕子だ。
「夕飯のあと花火ね~」
かわいいイラスト付きの絵。
涙が出そうになる。
失いたくない、日常。
夕食後、みんなで花火をした。
クリスが大はしゃぎで花火を振り回そうとするのを白龍が本気で怒ってやめさせている。
線香花火を地味にやりながら夕子が言う。
「なんか香ちゃん大変みたいだけど・・・でもよかったな」
何が?と首をかしげた香に、夕子がニッコリと言う。
「こうやって一緒にお泊まりしたりできたのは、その大変なことのおかげなんでしょ?」
「・・・・・・・・・」
「高校最後の夏、香ちゃんと楽しい思い出ができて嬉しいよ」
「夕子・・・・・・」
この信頼を失ってしまうのだろうか。もし、能力がもどったら、キョウコのように・・・・・・
「香ちゃん」
夕子がふんわりと笑う。
「一緒にやろ。どっちが長く残るか競争」
線香花火を差し出される。
「なんかよく分からないけどさ。私は香ちゃんの味方だからね」
「夕子・・・・・・・・・」
信じたい。この友情を信じたい。夕子はキョウコではない。
「これから必ず、信頼できる人達に会える。だから大丈夫よ・・・」
祖母の言葉が耳に蘇る。
「夕子・・・私・・・」
「大丈夫。何があっても香ちゃんは香ちゃん!変わらないよ」
ぎゅっと繋がれる右手。温かさが伝わってくる・・・・・・。
「・・・・・・ありがとう」
香はぎゅうっと右手を握り返した。
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次回。ついに、書きたかったシーンその2が書けます!
わーい。
次回更新は9日火曜日夜9時です。
週一更新でしたが、ピッチ上げたいので週2更新にします。
よろしくお願いいたします。