二子浦温泉の番台のおばあちゃんが、今日はどこに泊まるの?宿はとってあるの?と僕に聞いた。
「・・・いやぁ、・・・とってないです。・・・いやぁ、その辺で寝ます」
と僕は答えた。
二子浦温泉からバイクで二分。勿来海水浴場の端っこに、今僕はいる。
ははははは。野宿だ。
上手くいかないことなんてあるはずがない。そう想って、海水浴場に来てみたら、フカフカの草地がそこにあった。テントを張るならここですよ、と草地が言っているようだった。
ほらね。想った通りだ。
明日は早起きしないとだなぁ。早起きしてテントを片付けて、野宿の痕跡を消さなければ。
早起き散歩のおじいちゃんやおばあちゃんがやって来る前にね。
そう、やっとね。僕は旅をしている気になって来たよ。
楽しいかって?
旅は別に楽しいもんじゃない。
旅は、ただの・・・冒険だよ。