唐突だが。
シュウとマコと三人で大宮の路上に出始めた頃、人気のあるグループがいた。その名をチェリーアイランドといい、「いつかチェリーアイランドの人気を抜いて、大宮で一番にならないとな」と、シュウはいつも言っていた。
その後、Trash Box Jamの人気は着々と上がり、そろそろチェリーアイランドを追い抜くぞという頃に、チェリーアイランドはあえなく解散してしまった。
それもまた、だいぶ昔のことである。
「久しぶりぃ」。
本当に、久しぶりの再会である。
「オーストラリア以来だねぇ」。と僕は言う。
違うやん。帰ってきてから、テンちゃんとマサくんと4人で会ったやん。
「えっ?・・・あぁ、そうだったっけねぇ。・・・うん、会った会った。(会ったような気がする)」。
そっかそっか。
「そっかぁ、それ以来かぁ。やっぱり久しぶりだねぇ」
その後も、二人で飯食いに行ったやん。
「えっ?どこに?池袋?何したの?・・・あぁ、あぁ、会ったねぇ、池袋で。(そんな気がしなくもない)」
その後もセッちゃんと三人で会ったやん。
さらに、二人でもう一回会ってるで。
「えっ、そうなの?ほんとに?あれ?ほんとに?」
なんも覚えてへんのやな。
「いやぁ、思い出した思い出した(なんとなく)。で、最後に会ったのっていつなの?」
アニーズガーデンは知ってるで。せやせや、今は路上で二番目の人気やけど、もうすぐ一番になるって言ってたわ。
「・・・それって、結構最近の話だねぇ・・・最近ではないけど・・・まぁまぁ最近っていうか・・・」
友人の名前はジュンちゃんという。
「ねぇ、ジュンちゃんって歳いくつだっけ?」
二つ上やで。
「えっ?そうなの?まち?おれ、同じか下かと思ってた」
ほんまになんも覚えてないんやなぁ。おれはちゃんと覚えてるで。
そんなわけで、すごーく久しぶりかと思ってたら、まぁまぁくらいの久しぶりだったわけで。
結局、僕の「何も覚えていない病」がまたここでも発覚したわけで。
大宮の路上で一番とか二番とか、どうでもいいことを威張って言ってたみたいで、すごく恥ずかしかったりするわけで。
結局、振り返れば、いつの時代も今よりも若くて青くさい自分がいるわけで。
昔の話。ある時、ニュージーランドにいるジュンちゃんから手紙が来た。
「どうにもこうにも何もかも上手くいかない。もう日本へ帰ろうと思う」と書いてあった。
僕はエアメールで自分のCDをニュージーランドへ送った。
ジュンちゃんから返事が来た。
「なんかめっちゃ元気が出たわ。頑張ってるんやな。おれももう少し頑張ってみるわ!」
これが、僕とジュンちゃんとの、最後の交信だったと記憶している。
もう覚えていないのだけれど・・・僕が送ったCDは・・・アニーズガーデンの「アニーポップ」だったのかもしれないなぁ・・・とどうでもいいことを、今、想っているのである。
写真は、会津若松のジェラート。ミルクとマロンとオマケのイチゴミルク。