
オーストラリア中央の北部。人が住まない場所。赤い荒野。その名をノーザンテリトリー。
オーストラリアは連邦制をとっている。首都と六個の州と一個の準州。州になれない一個の準州がノーザンテリトリー、アウトバックと呼ばれる場所である。ちなみに、エアーズロックはノーザンテリトリーにある。
ノーザンテリトリーに住む人は少ない。町も少ない。どこまでも、
行けども行けども、赤い荒野の礫砂漠である。
例えばノーザンテリトリーの人口は23万人くらい。23万人の人口というと、渋谷区の住人と同じくらい。
例えば、ノーザンテリトリーの面積は日本の4倍である。日本の4倍の面積に、渋谷区の人口全員がバラけて住んでいるのである。
ちなみに、ノーザンテリトリーの面積は、渋谷区の面積の12万3400倍である。
とにかく人がいない。町といっても、30秒で通り過ぎてしまうほど小さい。
蟻塚がある。
知ってる?蟻塚。
アリンコが頑張って頑張って頑張りぬいて作る背の高い巣。
日本だとアリンコは地中に巣を作るが、アウトバックのアリンコは土を盛って塚にする。
巨大さで有名な蟻塚になると、高さ5メートルを超す。超どでかい。何十年何百年という月日をかけてアリンコが作ったものだという。
赤い荒野には無数の蟻塚が建っている。めっちゃ建っている。
人間よりって、時々、ふとした瞬間に狂気が目覚めるの時があるのだと想う。
赤い荒野のど真ん中に車を停めた僕は、赤い荒野に走り込んで行って、無数の蟻塚にキックをし始める。なぜなのかは・・・僕にはわからない。
きっと、僕の中に棲む破壊願望が・・・出たのかもしれない。それか、景色に飽きていたのか、疲れていたのか。
キックしまくってゼーゼーと息を切らす僕なのである。
「アリンコー!まいったか!!!」
アリンコはまったくまいっていないのである。見渡す限り、億を超える蟻塚が360度の風景の中にある。
ふと我に返る僕なのである。
「あれ?蟻塚が倒れているよ?」
自分が蹴り倒した蟻塚を片っ端から直して回るのである。
なんだったんなろうなぁ・・・あの瞬間は。と時々想う。
次に行った時には、倍の蟻塚を蹴り倒してやりたい、とも思わないこともない。
人間の心の中に潜む、破壊願望、破滅願望、サイコパスについての話である。
自分を普通の人間だと思うなよ、
みんな、奇人であり変人であり変態である。
どこで壊れるかなんて誰にもわからない。
世を騒がす事件の数々。
ごく一部の奇人が起こしているかのように思うこともできるが・・・否。
みんな、簡単に加害者にもなれる。
あぁ、気をつけようっと。・・・ってね、そういう話。
写真は、深谷の無添加ジェラート。美味しい。