ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

#16-2 世界の端っこで、ありがとうと叫ぶ。

2017-11-27 06:16:17 | Weblog


僕はエクスマスにいる。
エクスマスの海岸をトコトコと歩いている。右手にはスクリュードライバー、左手にはバケツ。

エクスマスの海岸は砂浜ではない、岩場だ。
そのエクスマスの海岸の岩場をトコトコと行く。右手にはスクリュードライバー、左手にはバケツ。

ケアンズでガスタンクを譲ってくれた関西人のマコトくんはこう言っていた。

「エクスマスの海岸の岩場にな、牡蠣がいるんや。ドライバーでガッガッと削り取ってな、海水で洗ってパクッと食うんや。そりゃあ、メッチャ旨いで。信じられんわ。岩牡蠣やで。岩牡蠣の食べ放題や。エクスマス、絶対に行かなアカンよ」

イワガキ、イワガキ、イワガキ、タベホウダイ、タベホウダイ、タベホウダイ・・・と歌いながら、きっと僕はエクスマスの岩場を歩いていたことだろう。右手にはスクリュードライバー、左手にはバケツ。

牡蠣・・・どれかなぁ?
牡蠣・・・これかなぁ?

だいたいからにして、牡蠣なんて獲ったことがないから、わからないのである。あんまりわからないのである。ははは。

だいたいからにして、岩牡蠣って、獲るのがすごく大変なのである。簡単ではない。

牡蠣・・・どうやって獲るのかなぁ?
牡蠣・・・こうやって獲るのかなぁ?

岩の一部みたいになった牡蠣の殻みたいなやつを、スクリュードライバーを差し込んでガシガシと剥がしてみる。

取れた。獲れた。牡蠣や!これは牡蠣や!

殻から身を外して、海水で洗ってパクッと食べてみる。

牡蠣やぁ・・・牡蠣やぁ・・・無料の牡蠣やぁ。
どれが牡蠣かがわかったところで、辺りを見回す。億の牡蠣がそこにはいるのである。億の天然の牡蠣がそこにはいる。自然ってすごい。

そこからはもう闘いなのである。
牡蠣をいっぱい獲るのである。
バケツいっぱいに岩牡蠣を獲るのである。

バケツに入った牡蠣をチャプチャプさせながら、テントを張ってあるキャラバンパークまでトコトコと歩く。右手にはスクリュードライバー、左手には牡蠣が入ったバケツ。

キャラバンパークのキッチン。キッチンと言っても、水道があるだけのただの洗い場。
どでかいサーモンをさばいているオージーのおじさん達。その横でチマチマと牡蠣を洗う。

洗った牡蠣をテントに持って帰り、小麦粉を付けて、卵を付けて、パン粉を付けて、ガスタンクの火を点けて、鍋に油を入れて、カラッと揚げる。
炊きたてのカリフォルニア米の上に乗っけた山盛りのカキフライ。

エクスマスの海に沈むでっかい夕陽を眺めながら想う。無料の牡蠣フライを食べながら・・・僕は想う。

「無料っていいやなぁ・・・幸せやなぁ。ありがとうな、マコトくん・・・」とね。

つづく。

写真は、都幾川にある杉の葉で作った巨大なトトロ。