オーストラリアの西の方。ブルームという町がある。ブルームから見るインド洋に沈む夕陽は世界一美しいらしい・・・。
世界一かどうかはまったくわからないが、夕陽がすごく大きかった。今まで見たこともないくらい大きかった、ような気がする。・・・さすがブルーム・・・と。
ブルームから、西の海岸線を南へ下りていく、
モンキーマイアという場所。モンキーマイアへ行けばイルカに逢える。ノンノンノン、イルカショーのイルカじゃないよ。野生のイルカだよ。ワイルドドルフィン。
夕方、浜辺にいると、向こうの方から数頭のイルカがやって来る。エサをもらいに。イルカは言う。「エサくれ、エサくれ」。
そう、ここにやって来るイルカちゃんたちは餌付けをされている。果たして、餌付けをされているイルカを野生のイルカと言っていいものか・・・果たして・・・。
まぁ、野生である。だって、基本的に、生きているのは大海原だから。「エサくれ」だけで生きているわけじゃないし。
ここのイルカ、触れる。自由に触れる。なぜなら、野生だから。
膝まで水の中へ入って立っていると、周りをグルグルと泳いだり、白いお腹を向けてパシャパシャしたり。・・・可愛い。イルカちゃん、可愛すぎるぞ。
キュートなイルカちゃんたちは、「エサくれエサくれ」とねだってくるのだが、あいにく、僕は餌になる小魚を持っていない。奈良の鹿せんべいみたいに、イルカのエサ用の小魚は売っていない。なぜなら、野生だから。ちなみに、奈良の鹿も野生。
浜辺を歩いていると、小魚が落ちていた。「やった」。
釣り人が捨てた小魚である。見ると、そこそこ落ちている。「やった」。餌付けが出来る。待っててね、イルカちゃん。
「イルカは・・・フグ、食べるかなぁ?」
僕は小魚のシッポをつまんでブラブラさせながら、波打ち際で遊ぶイルカに向かって、ジャブジャブと海の中へと進んでいくのである。
つづく。
写真は、今朝5時半の嵐山の夜明け。新しく借りた畑より。