カズオイシグロ氏がノーベル文学賞を
受賞しましたね。
祝!!
この方の作品には、何度も衝撃を受けてきました。
最初は映画「日の名残り」
アンソニー・パーキンスが古風な執事を
演じていて圧巻。
しかし、本を読んで驚いた。
映画ではラブストーリー風に描いていたけど、
原作はイギリス貴族のもとで働く古風な執事の
生活を淡々と描いたもの。
これが面白い!
主人のナチス協力とか、立派な執事だった父親が
老いて、つまり認知症ね、失敗をするように
なっていく悲しさとか~~。
母親の話からヒントを得たのか、
長崎の女性の話を描いた
「遠い山なみの光」は
ちょっとわからなかった(汗)
で、「わたしを離さないで」(早川書房)の衝撃。
これはなんと、臓器移植のためクローンとして
作られ、育てられた子供たちの話なんですよ。
主役のキャリー・マリガンが素晴らしい。
ええ!!こんな小説ってあり!と思うほど。
それでも当然だけど、恋あり、嫉妬あり、
親探しありで~~。
死にたくないとあがく青年の号泣には
胸が張り裂ける。
人に自分の臓器を提供するために
作られるって、あまりにひどすぎるよ。
けれど結局、彼らは自分の運命を受け入れていく。
「しかし、人はみな、ある意味、無邪気な
子ども時代を経て、厳しい現実に気づく。
そしてそのなかで生き、そして死んでいく
のは同じ」とイシグロ氏。
「30歳で死ぬのも百歳で死ぬのも、
人はいずれ死ぬのだから」とも。
人生のメタファー、だと。
そして死の怖さをなくすのは愛だけだと。
現在の、過去の、愛。
思い出~~。
どういうわけか愛があると、
死がどうでもよくなる。
怖くなくなるのです、と。
こういう風に読んでなかったな。
再読するか?
う~~ん、キツい。
この方の作品って、人生観を揺さぶられる。
すぐに忘れるんだけど、こういう形で
奥に隠してあった揺れがまた出てくる。
厳しい現実に向き合ったとき、
自分がどんな風に感じ、動くのか、
それをじっと見ているもう一つの目、
視線=もう一人の自分-というか、
がいるんだと思わせる。
奥様は福祉関係の仕事、
彼がホームレス支援!!をしているときに
知り合ったのだとか。
で、いつかノーベル文学賞を
取るのではないかと思う作家はこちら
「すべて見えない光のアンソニー・ドーア」
というわけで、
ノーベル文学賞、でした。
人間の弱さ、見苦しさを含めて
いろんな人間を結局肯定してくれる
文学というものの素晴らしさ。
いつも応援ポチ
ありがとうございます。