毎朝、彼は花たちに水を与える
咲いている花にも
まだ咲いていない花にも
中には時期を過ぎても咲かないものもある
彼は期待していない
もう諦めている
水を汲める量は決まっている
いま咲いているものに水をやり
そして次の時代に咲くものに水をやり
最後に意識して残した水を、少し色褪せた葉にかける。
「こいつも不甲斐ないと思っているだろう」
心でそう呟きながら、彼は残した水をその葉にかけるのだ。
彼は今後も残り水を未来なき葉に与えるつもりだ。
情けなさを看とる日まで