ざっくばらん(パニックびとのつぶやき)

詩・将棋・病気・芸能・スポーツ・社会・短編小説などいろいろ気まぐれに。2009年「僕とパニック障害の20年戦争出版」

水を与える人

2022-04-21 10:49:01 | 

毎朝、彼は花たちに水を与える

咲いている花にも

まだ咲いていない花にも

 

中には時期を過ぎても咲かないものもある

彼は期待していない

もう諦めている

 

水を汲める量は決まっている

いま咲いているものに水をやり

そして次の時代に咲くものに水をやり

最後に意識して残した水を、少し色褪せた葉にかける。

 

「こいつも不甲斐ないと思っているだろう」

心でそう呟きながら、彼は残した水をその葉にかけるのだ。

彼は今後も残り水を未来なき葉に与えるつもりだ。

情けなさを看とる日まで

コメント
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