何か思い残したことがあるかのように
ここ数日、細々と降り続けた春雨は朝に止み
柔らかく暖かな光が降り注ぐ
人々の速度も様々だ
雨の痕跡の残る歩道を
長身の若い男が強く推進する
彼に追い抜かれた女子高生は
スマホを手に遅々として進まない
ジャージ姿に運動靴の年配者は大きく腕を振り
背を丸めてカートを押す老婆とすれ違った
僕も随分と歩いてきた
無理にでも足を前に進めて
時にへたり込み仰いだ空の青さ
長く歩むほど
遠ざかる景色は美しく
長く生きるほど
人生の短さを知る
夕焼けは明と暗の橋渡しをこなしつつ
あてもなく街を照らしていた
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