昨日の叡王戦第3局は将棋史の転換点だったかもしれません。1勝1敗のタイから抜け出したのは藤井叡王ではなく、伊藤七段でした。しかも、その内容が凄かった。藤井得意の終盤で伊藤が逆転勝ちをしたのです。
これまで藤井八冠とタイトルを争った棋士の中でも、伊藤七段だけは異質の戦い方をしていました。他の棋士が戦法や時間の使い方で工夫する変化技で勝負してきたのに対し、伊藤七段は負けても負けても正攻法で勝負を挑み続けたのです。
そして、前局で初めて藤井さんに勝利し、今局で連勝。藤井得意の角換わりを堂々と受け止めました。これまでも伊藤七段は10年に1人の逸材、あるいは俊才と見ていましたが、見方を変えなければいけないかもしれません。藤井聡太と並ぶ、あるいはそれに近い30年~50年、50年~100年に1人の天才かもしれないと。その可能性はまだ半々だと思います。高い才能に加え、努力、研究の質が高いのでしょう。
そして、近い世代でもう1人、藤井クラスの実力者が現れたなら、それは才能云々より、将棋がAIの発達などにより、大きな変革期を迎えたと見た方が適切でしょう。
これまでは、あまりにも藤井さんが早熟だったため、実績では大きく引き離されている伊藤七段ですが、実力的にはすでに藤井さんに追い付いたと見ます。ここで、一気に伊藤が抜き去るのか、再び藤井が突き放すのか目が離せなくなりました。
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