白雲去来

蜷川正大の日々是口実

人の一生は邂逅の一言に尽きる。

2017-11-17 10:55:09 | 日記
十一月十一日(土)晴れ。

現在制作中の機関誌『燃えよ祖国』の特集は、「野村秋介と私」である。弊社の社友や野村先生の友人など十三名の方から玉稿を頂いた。その中で多くの方が、「邂逅」という言葉を使っている。広辞苑では「思いがけなく出あうこと。めぐりあうこと」とある。野村先生が、文章の中で、その「邂逅」の言葉を使ったのは、昭和五十年発行の、政治結社・紘友会の会報で、会報のタイトルに使用している。

発行が昭和五十年の八月。野村先生が河野邸焼き討ち事件にて十二年の刑を終えて戦線復帰したのが同年の夏であるから、恐らく、先生の文章が活字になった最初のものであると思う。河野邸の事件で未決にいる折に、先輩の発行している機関誌に、手紙形式で掲載されたり、横浜の先輩の『天照』と言う機関誌に獄中から時折『俳句日記』を投稿していたが、パンフレットであっても、一冊にまとまったものは、前述の『会報』が初めてである。その冒頭には、こうある。 

「いまは鬼籍に入ったが、亀井勝一郎の晩年の言葉に、『人の一生は邂逅の一言に尽きる』というものがある。最近、齢のせいか、この『出合い』とか『邂逅』という言葉に、少なからぬ人生の真理が秘められていることを識らされている。辞書を引くと、邂逅とは、まったく思いもかけずにめぐり会うことだと記してあるが、この思いもかけぬ人と人との出合いが、人生の大半を決してしまう例は屡々で、それを大胆に『人の一生は邂逅の一言に尽さる』といい切った亀井勝一郎の炯眼に、只事ならぬ人間的な深さを見せられる思いがする。たしかに、人の一生にとって、人と人とのめぐり会いほど大切なものはない。よき師を得るのも、よき友を得る事も、それは邂逅にまつよりない。よき師もよき友も得られず、一生を無為に流されてしまう人たちの夥しい世の中にあって『人の一生は邂逅の一語に尽きる』という言葉は、まさに至言である」。

この文章の中で、先生は「最近、歳のせいか」と書いているが、この時先生は、四十歳である。それに比べたら私なんぞ・・・。と赤面の思いのする今日この頃である。この先生の文章は、最新号に全文掲載する。

夜は、近所のスーパーで、久しぶりにカツオを見つけた。狂喜して買い、酔狂亭で月下独酌。

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天網恢恢疎にして漏らさず。

2017-11-13 18:02:30 | 日記
十一月十日(金)晴れ。

朝食は、お粥。二日酔いでもないのになぜお粥かと言えば、歯の調子が悪く、固いものが食べられないからである。午後一番で歯医者の予約を入れてあるので、夜は普通に食べられそうだ。

今日は、十日か。今は晩秋、冬がゆっくりと近づいてくる。という表現をするが、支払いもゆっくりしてほしいものだ。今年は、秋が短く、冬が駆け足で迫って来ている。何も支払いも歩調を合わなくてもいいのに。耳を覆いたくなる。

今日は、今月、入院手術をする盟友を囲んでの食事会。歯も直ったし、準備万端。お店は自宅に比較的近い所に出来た、こじゃれた料理屋に、久しぶりに仲良し三人が集まった。入院する盟友の紹介なのだが、中々の味。激励するつもりが、反対に励まされ、ご馳走になってしまった。申し訳なし。

そのお店では、私たちは個室に通された。私の席は、ガラス越しにカウンターが見える位置。そこに、妙齢のご夫人が一人で入って来てカウンターに座った。女性が一人で来るようなお店ではない。でも、知らない人のことを詮索する趣味はないので、すぐに我々三人で盛り上がった。この歳になれば、病気自慢に花が咲く。何気なくカウンターに目をやると、件の女性の隣には、いつの間にか男が来ていた。でも関係ない。良くある飲み屋の風景である。

盟友が、支払いのために個室を出て戻ってきた。驚いたように、その女性は、知り合いの方だと言う。会えば気軽に軽口をきく仲だと言うのに、今日に限って、知らぬふりをしているとのこと。もちろん女性のご主人も知り合いだそうだ。でも、一緒の男は、ご主人ではないと。帰りのタクシーの中で、「いやー驚いたけれど、向こうはもっと驚いたに違いない」。

「老子」の言葉に、天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪いことをすると、網の目から漏らすことはない。悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるというものがある。すなわち、天網恢恢疎にして漏らさず。いや女性を責めている訳ではありません。正に他山の石。我々も気をつけようと言うことに落ち着きました。

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一日無駄にした。

2017-11-13 17:30:42 | 日記
十一月九日(木)晴れ。

朝食は、「五島軒」のレトルトのカレーにオムレツを添えた。最近、余りレトルトの食品を食べる機会が少なくなったが、あれば重宝するのは言うまでもない。特にレトルトのカレーは、各社が競い合っていて、自宅で作るものよりも美味しいものもある。今日食べた「五島軒」の「ほぐし肉入りカレー」もそうだ。量も一人前には丁度良いし、美味しかった。暮には、越冬用に、カレーのチャンピョン「フクイのカレー」を注文するつもり。

昨夜、食事中に差し歯が取れてしまった。笑うと歯の無いのが分かって、それこそ話にならない。夜に、同志らとの一献会を予定していたが、そんな訳で、変更した。申しわけなし。

昼から某出版社に打ち合わせに行った。すっかり、決定した話だと思っていたのに、まだ企画の段階だと言う。セールスマンじゃないんだから、もう少し話が煮詰まってから呼んでほしかった。まあ美味しい話には裏があると、疑ってかからなかったこちらのミスか。しかし私も気が長くなったものだ。何だかんだで四時間ほどを無駄にしてしまった。久しぶりに気分の悪い思いをした。

夜は、「鳥鍋」。私は、鍋に余り多くの具を入れるのが好きではない。今日の鍋も、鳥以外には、多めの白滝に鶏肉、油揚げ、豆腐程度だ。後は、大根おろしにポン酢、鍋のスープにニンニクを入れたりと、いろいろ楽しむ。嫌なことがあった時の酒の肴は、何よりも笑いが必要。録画しておいた「寅さん」で気分転換。

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トゥール・ダルジャン、行っておけばよかった。

2017-11-10 08:58:12 | 日記
十一月七日(火)晴れ。立冬。

この十年以上、「木枯らし一号」が吹くのは、立冬のすぐ前後だと言う。冬の気配を感じる日で、暦では、この日から冬となる。

事務所で本の整理をしていて、何気なく手にしたのが、深田祐介氏の『地球味な旅』(一九九三年・新潮社刊)という本。深田氏の名前を有名にしたのは、『スチューワーデス物語』ではないだろうか。その本を題材にしたドラマもヒットした。私は、『革命商人』や『炎熱商人』、『新東洋事情』といった物が好きだ。

私は、その昔、読了した本に、いつ何処で読み終えたのかと言うことを書いていた。『地球味な旅』を読了したのは、平成五年の四月十五日、「JRの車内にて読了、正大四十二歳」とある。先生が亡くなる半年前で、恐らく、当時赤坂にあった野村事務所に行く途中の車内だと思う。その本の内容は、覚えている所や、全く記憶にない所もあり、しばし読みふけってしまった。その中に、作家の林真理子さんの結婚披露宴のことが書いてあった。それによると、披露宴の行われたのは、ホテル・ニューオータニのレストラン、トゥール・ダルジャン。凄いなぁー。鴨料理で有名な超高級フランス料理のお店である。

深田さんいわく「しかしさすがにトゥール・ダルジャンの料理は宴会になっても質が落ちない。特に海老のコンソメジェリーと真鯛のソテーが上出来である。いつも料理の出来について真剣な顔で訊くマネージャーのミシェル・ドレピーヌ氏に『宴会料理でこんなうまい料理は食べたことがないよ』と実感をのべた』とある。ちなみに林さんのダンナとなった人が、何処の誰だか知らないが、深田氏によれば「真理子さんの夫の四大条件を満たして堂々たるもの」の人らしい。

ホテル・ニューオータニの、トゥール・ダルジャンには行ったことが無いが、野村先生のお供をしてパリに行った際に、トゥール・ダルジャンの本店に「行ってみるか」と言われたが、「堅苦しい所は嫌です」。と断ってしまった。今考えるともったいないことをした。パリの本店何て二度と行けないのに。

夜は、月に一度の名前だけ立派な友人等との飲み会を弘明寺の炉端焼き「花笠」にて開催。人数は少なかったが、良い肴ばかりで堪能。その後有志にて関内へ転戦。

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カーバイドランプ。

2017-11-10 07:26:09 | 日記
十一月六日(月)晴れ。一の酉。

明日は立冬である。この立冬の前に「一の酉」が来た年は「三の酉」まである。昔から、三の酉まである年は、なぜか火事が多いと言われている。私の子供の頃の屋台は、電気ではなく、「カーバイドランプ」と言うものを使っていた。記憶違いだったら申し訳ないが、そのカーバイドランプの焼けるシューシューといった音や匂いが、祭りの喧騒と相俟って、妖しい雰囲気を醸し出していた。母にねだって買って貰った、セルロイドのお面をかぶった時の独特の「嫌な匂い」を思い出すことが出来る。因みに、カーバイドランプとは、炭化カルシウム(カルシウムカーバイド)と水を反応させ、発生したアセチレンを燃焼させる単純な構造のランプである。(ウイキ)

安倍総理とトランプ大統領が食事をしたのが、銀座の「うかい亭」とのこと。確か八王子にもお店があり、平成四年に野村先生のお供をして行ったことがあった。相模原にもあるそうだが、やはり遠いことと、懐具合を考えると、中々、行こうと言う決心がつかない。寿司屋よりも鉄板焼きの方が好きだ。町内ご用達の鉄板焼き屋が「やまと」の近くにあったが、閉店してしまった。以前、頂き物の高級和牛を持ち込みで行ったことがあった。「鉄板焼き屋に肉を持ち込むのは蜷川さんぐらいだ」と呆れられたが、そんなことが許される、気楽で良いお店だった。

野村先生も鉄板焼きが好きで、定宿は、赤坂の全日空ホテルの鉄板焼き。当時、後輩の山崎Mさんがそのお店にいて、先生のお世話をしていた。一度、菅原文太さんや、ドクター中松さんらと食事を共にしたことがある。

三の酉まであるので、今日は出かけずに、「そごう」で仕入れた「ブリ刺身」を肴に月下独酌。

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