なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ワーファリンの効きすぎ

2021年09月03日 | Weblog

 水曜日に施設から87歳女性が血便で紹介されてきた。

 

 2018年に深部静脈血栓症で入院した既往がある。慢性腎臓病があるので、抗凝固薬はワーファリンを使用していた。その後施設に入所していた(認知症・廃用症候群)。

 6月に深部静脈血栓症の悪化疑いで紹介されてきた。エコー検査で、検査技師さんが下肢静脈から下大静脈まで検査して、肝腫瘍を指摘してくれた。

 腹部CTと腫瘍マーカーから大腸癌(盲腸癌)・多発性肝転移と診断された。治療適応(手術・抗癌剤)はなく、そのまま施設で経過をみてもらって、病状悪化時に入院とした。

 

 7月に急性腎盂腎炎で短期間入院して、治癒退院していた。8月に退職した内科医師(女性)が担当していたが、退院時はワーファリン2mg/日でPT-INR2.46で、今から見るとそれまでよりは延長していた。

 今回は8月半ばから血便が続き、施設で検査したところ、Hb10.5g/dlとさほどの低下はなかったが、PT-INR9.90以上となっていた。

 当院で検査すると、PT4%・PT-INR15.79に上昇していた。ビタミンKの静注(ケイツー2A)を行って、翌木曜にはPT69%・PT-INR1.27に改善していた。

 入院した水曜日の夜間にオムツに血便が出ていた。木曜日はHb9.6g/dlと1g/dlは低下している。輸血が必要になるかどうかは、もう少し診てから決める。

 抗凝固剤の投与はPT-INRが治療域に入るようにすれば、投与できるのかというと難しい。現時点で深部静脈血栓症がなければ、ワーファリンは中止のままになるか。

 

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