なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

COVID-19~もともと労作時低酸素

2021年09月27日 | Weblog

 9月9日にCOVID-19の75歳男性が当院の感染病棟に入院した。無症状という話だったが、肺の病気があるということで入院となったものだ。

 40歳の息子さんがその前にCOVID-19で当院に入院していた。息子さんは介護の仕事をしていたが、訪問先の介護者がCOVID-19に罹患していた(その家族が家庭に持ち込んだ)。濃厚接触者というよりは、すでに高熱が続いていた。保健所指示のPCR検査で陽性と判明した。

 同居家族として両親と兄弟がPCR検査を受けて、両親が陽性と判明した。父親が当院に、そして透析を受けている母親は県内有数の市立病院に入院となった。

 息子さんは重症化のリスク因子をもつ両親に移してしまったことを、かなり気にしていた。

 

 入院時の胸部CTで、右肺は厚い胸膜に被覆された胸水貯留があった。胸膜石灰化があり、肺結核後遺症かじん肺が疑われる。あとでわかったが、地域の基幹病院呼吸器内科で年1回フォローしているそうだ(次回は来年1月)。

 明らかな新型コロナの陰影は指摘し難い。白血球4500(単球13.8%)・CRP8.7と、コロナとしては炎症反応が高かった。

 入院時の酸素飽和度は正常域だったが、トイレ歩行で飽和度が80%に低下した。安静時でも90%前半まで下がっていた。中等症Ⅱ相当として、レムデシビル点滴静注と抗菌薬(セフトリアキソン)を開始していた。その日の夜間から高熱が出た。

 トイレ(個室なので室内にある)まで距離は短いが、酸素を外してしまうので、飽和度が80%台になってしまう。中止しても外していて、それでもベットに戻るとまた付けてくれる。

 数日で解熱して、炎症反応も軽快した。レムデシビルは解熱してので5日で中止したが、抗菌薬は継続して、炎症反応がほぼ陰性化して中止した(9月21日に白血球4200・CRP0.7)。

 酸素2L/分を1L/分に下げていた。安静時は99%で酸素吸入なしでもよさそうだが、安静時でも90%台前半になったりする。トイレ歩行時に酸素を付けていても80%台になる。安静時1L/分・労作時3L/分に設定したいが、自分で調節するのは無理だった。

 

 在宅酸素療法を勧めたが、酸素をふだんからつけるのはいやだと言った。何度か話をしたが、やはりいやだという。家族に事情を説明して、電話で説得してもらったがだめだった。

 これで長年暮らしてきたので、慣れているのかもしれない。これまでも歩行時は息切れがあったそうだ。高血圧症で通院している医院に経過を記載した診療情報提供書を出して、退院予定とした。

 

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