高血圧症などで内科外来に通院している85歳女性が救急搬入されていた。
救急当番の外科医から相談されて、現病歴と検査・画像を確認した。午前11時半ごろにトイレで排尿後に倒れた。物音を聞いた家族がかけつけると仰向けに倒れていた。
呼びかけても反応がなく、家族が救急要請した。搬入時は、意識は清明で会話も可能だった。血圧130/90で体温35.8℃と正常域だったが、酸素飽和度が89~90%と低下している。
酸素吸入2L/分を開始して、飽和度が93~94%にはなった。心電図は以前と変わらず。胸部X線・CTで肺炎像や心不全の所見はなかった。
白血球7100・CRP2.1と軽度に上昇していた。Dダイマーが18.8と上昇していた。画像検査で有意な所見がなく、低酸素を呈していた。肺血栓塞栓症が疑われる。
単純CTを見ると、右肺動脈内に濃度差があり、血栓が疑われた。胸部造影CT(~下肢)を行ってもらった。右肺動脈に血栓を認めて、左肺動脈にも血栓があった。
これまでなかった肝機能障害があったが、画像で肝胆道系に異常はなく、うっ血肝の所見と考えられた。地域の基幹病院循環器内科に搬送となった。