なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

周期性発熱

2018年11月10日 | Weblog

 先週の日曜日に日直だった消化器科医が、周期性発熱の患者さんを入院させていた。年齢は若年ではなく、83歳の高齢男性だった。高齢の周期性発熱というのは違和感がある。

 60歳代から2~4週の周期で3~4日間の発熱(38~39℃)を繰り返していた。大学病院に通院して精査したこともあるそうだ。遺伝子検査をしたらしいが、結果は覚えていない。少なくとも家族性地中海熱(孤発性)の診断は付いていなかった。コルヒチンを半年継続したが(投与量は不明)、症状は変わらなかった。

 今回は発熱が40℃となり、食欲不振・全身倦怠感がひどくて受診してきた。3年前にも入院していて、その時もこの消化器科医が休日の当番の時に担当して、入院にしていた。周期性発熱の既往がわかっていたので、点滴と解熱薬で経過をみて、自然に(たぶん)軽快していた。今回も内科入院でいいのだが、前のこともあるので自分が主治医で入院としていた。やはり3日間で解熱軽快した。

 発熱以外の症状は関節炎を伴う。画像上は胸膜炎があるようだ。腹痛はないが、解熱するころにいつも下痢が起きるそうだ。家族性地中海熱としてもいいのかもしれない。

 今回もあとは退院するだけとなった。興味をもったらしく、自分の外来で経過をみるそうだ。またコルヒチンを定期内服を継続するかどうかだが、発熱時に頓用にしていた。その方面の専門医の外来に紹介したいところだが、そもそも専門医は県内にいないだろう。

 

 

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肝機能改善

2018年11月09日 | Weblog

 火曜日に狭心症疑いで内科クリニックから74歳男性が当院循環器科に紹介されてきた。症状は心窩部痛だが、発作的な痛みだった。クリニクの先生は有症状時の二トロールを処方していた。短いと2~3分で長くて20分くらいの症状なので、二トロールが効いたかどうか判定しがたい。

 症状があったのは8月に1回、9月に1回、10月に1回で、11月は4日と5日にあった。狭心痛だとすると不安定狭心症になる。症状は夜間睡眠時、日中安静時、日中動いた時と一定していない。

 心電図と心エコーは異常なしだった。ACS疑いだとそこからさらに検査になるが、血液検査でけっこうな肝機能障害があった。AST 750・ALT 914・ALP 481・γ-GTP 947・総ビリルビン2.6。発熱はなく、炎症反応は陰性。どうしましょうかと循環器科から内科に回されてきた。

 患者さんを診察すると、まったく元気そのもので食欲もあるという。その時点で腹痛はなかった。腹部エコーを追加したが、特に所見がなかった。内科クリニックから降圧薬が処方されていたが、新規薬はない。急性肝炎に罹ったようではない。

 ウルソ・グリチロンのみ処方して今日再検した。肝機能検査は、AST 59・ALT 261・ALP 402・γ-GTP 625・総ビリルビン1.0と改善していた。腹痛はその間全くなかった。

 これは総胆管結石が嵌頓して、排石した時の肝機能の推移と判断される。他の原因で3日後にここまで改善はしないだろう。肝炎はA型も含めていずれも陰性だった。抗核抗体・抗ミトコンドリア抗体まで外注で出していたが、陰性だった(ムダな検査だったかも)。

 処方は中止して、来週に肝機能検査とMRCPを行うことにした。狭心症はまったく否定できるわけではないが、おそらく総胆管結石の症状でいいようだ。念のため心臓CTまでするかもしれないが。

 

 

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懐かしい先生から紹介~膵癌の緩和ケア

2018年11月08日 | Weblog

 火曜日に、県内ではあるが大分遠方の病院から膵癌の73歳男性が転院してきた。そこは広大な地域をカバーしている大基幹病院で、診療圏が違うのでふだん交流はない。

 先週その病院の腫瘍内科の先生から連絡が来た。当地域の基幹病院におられた先生で、そのころは大変お世話になった。もう5年以上になるが現在の病院に転勤(栄転)になって、その後は内科地方会で1回だけお目にかかった。よく電話で患者さんの診療依頼をさせてもらっていたので、懐かしい声だった。

 患者さんは独身の一人暮らしで、多発性肝転移・癌性腹膜炎・胃浸潤があって、緩和ケア(BSC)のみの状態だった。ある程度は食べられるが、PICCから高カロリー輸液をしている。当地に弟さんがいて、その方も当院で週3回血液透析を受けているが、キーパーソンになっていた。そういう事情で当院転院で緩和ケアの継続をお願いしたい、ということだった。

 当院でお引き受けしますと伝えて、ちょっとだけ近況を聴いてみた。腫瘍内科は他に4人いるそうで、腫瘍内科5名体制というのはすごい。院内や地域の癌化学療法を一手に引き受けて相当に忙しいらしい。頑張ってください、と言って電話を切った。

 患者さんは元高校教師で、弟さんの話では以前それほどしゃべる人ではなかったが、最近はずっとしゃべっていると驚いていた。病気の不安のためと思われる。言い方は原理原則に沿ってという印象を受けた。看護師さんちょっと苦労するかもしれない。疼痛は前医で処方されたNSAIDで治まっている。

 送られてきた画像をみると確かに膵体尾部の癌が胃に浸潤している。この部位から出血して緩和的な放射線照射を施行していた。また出血した時は輸液・輸血しかない。予後は1か月で急変の可能性もある、と記載されていた。転院してから案外食べているので、もう少し頑張れるかもしれない。

 今日は午前中にちょっと時間をもらってイエローハットにタイヤ交換に行ってきた。混んでいる時はそのまま預けて、帰りに引き取りに行く。今日は40~50分でできますと言われたので、そのまま店で待っていた。土日に行ければいいが、今週と来週の土日は仕事やセミナーがあるので難しい。平日も予定がいろいろあって、ピンポイントの時間を見つけるしかない。とりあえず、冬の準備はできた。

 

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高齢者の総胆管結石

2018年11月07日 | Weblog

 昨日高血圧症で通院している84歳男性が、前日から発熱があり、食べると嘔吐するという症状で外来を受診した。診察すると黄疸があった。心窩部重苦感があるらしいが、彰かな圧痛はなかった。

 そういえば、以前何かあったと思い出した。2年前に総胆管結石・急性胆管炎で入院していた。地域の基幹病院消化器内科に連絡すると、すぐには難しいが、ベットが空き次第引き取ってもらえることになり、3日間当院で点滴・抗菌薬投与を行った。その後転院して、無事に内視鏡的総胆管結石摘出を受けて退院していた。

 総胆管結石の再発が疑われた。血液検査では、WBC 15000・CRP 10.3と炎症反応上昇があり、肝機能はAST156・ALT221・ALP 915・GTP 251・総ビリルビン6.6と悪化していた。腹部CTで総胆管拡張と複数の総胆管結石を認めた。また治療をお願いするしかない。

 結果を見ていると、(ひとり)消化器科医がいたので、画像を見てもらった。先週は神戸でDDWが開催されていた。その期間県内の消化器内科は留守番係りを残して学会に行くので、かなりの人数が不在になる。その期間内でなくてよかったが、今週は学会期間中の積み残しの仕事がたまっているのでどうですかね(すぐは無理ではということ)と言われた。

 電話してみると、今手が離せないので、15分後にまた連絡してくださいという返事だった。これはベット待ちになるかと思ったが、その後連絡が来て、すぐに診ていただけることになった。バイタルは安定していたが、胆管炎は怖いので助かった。

 昨日は内科クリニックから循環器科に紹介された患者さんが、検査で急性肝炎様の肝機能障害があって、内科にコンサルトされた。肝機能障害の日だなあと思いながら診療していた。

 

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リンパ腫疑い

2018年11月06日 | Weblog

 月曜日に外科外来から連絡が来た。69歳女性が腸閉塞疑いでクリニックから紹介されてきたが、腹部造影CTで大動脈周囲にいっぱいとなったリンパ節腫脹を認めたという。どうしたらいいか、と言われたが、要するにどこに紹介したらいいかだった。

 確かに画像上は悪性リンパ腫疑いになるが、膵頭部に浸潤しているので、膵頭部癌の進行も否定はできない。まだ腫瘍マーカーを提出していないというので、院内で測定できるCEAとCA19-9を追加してもらった。結果はどちらも正常域。

 この患者さんは糖尿病外来に通院しているが、HbA1c6.4%と、これまで通りの値で糖尿病自体の悪化はない。また腫瘤内に血管が通っていること、主膵管の拡張もないことから膵頭部癌とは違う。

 リンパ腫の診断は組織診なので、生検しなければならない。そこまで施行して紹介するか最初から紹介するかだが、体表から生検できなければ、後腹膜からの生検となって、それは難しそうだ。食欲が低下していて腹痛もあるので、最初からがんセンターに紹介して検討してもらうことになった。

 リンパ腫にしてはLDHが正常域だった。IgG4関連疾患ということはないのだろうか。

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朝から自己抜去

2018年11月05日 | Weblog

 昨日の日曜日は内科の当番だった。日直が消化器科医で、入院があれば翌日までの指示を出してくれるので(連絡も翌日)、日中はゆっくり過ごしていた(喫茶店のハシゴ)。当直は大学病院からきてもらっている(バイトの)外科医で、連絡が来るかと思っていたが夜間はなかった。

 病院に出かける直前の午前7時過ぎに連絡が来た。施設入所中の88歳男性が救急搬入されて、肺炎があって血圧が60台だという。意識は昏睡状態。トロポニンも陽性ですということだった。鋭意治療中だったので、そのまま救急室で治療を継続してもらって、家族と相談してから入院を決めることにした。内科病棟は作りが救急処置に向いていない。

 この方は今年の1月自宅に居たころに救急搬入されて、低体温だった(室内にいた)。当直の外科医がそのまま担当となって入院したが、いろいろ問題があって結局9月まで入院していた。入院中に、経口摂取困難で内視鏡的胃瘻造設術が行われた。入所できる施設を探して、やっと9月に入所したたのだった。

 画像をみると、両肺背側に肺炎像があり、誤嚥性肺炎と判断された。最近は胃瘻からの経管栄養を別に少し経口摂取もしていたそうだ。職員が異変(意識障害)に気付いたのは今朝だが、腎障害・肝障害・心筋障害もあって多臓器不全を呈していることから、数日から1週間は経過していたと推定される。

 家族と相談して、当院入院で治療を継続して経過をみることにした。高齢・胃瘻造設・寝たきり状態・認知症だと、高次医療機関には紹介し難い。どこまでの治療にするかだが、酸素・点滴・抗菌薬・昇圧剤で治療して、心肺蘇生術まではしない方針となった。ノルアドレナリンの投与で血圧は90~100になった。

 血圧・酸素飽和度が改善しても意識は変わらなかった(搬入時の頭部CTで明らかな所見なし)。発症が昨晩からだと、一晩低酸素・低血圧にさらされていたわけで、脳障害が起きている可能性が高い。

 

 この患者さんの前に、入院中の84歳男性がCVカテーテルを自己抜去したという連絡が病棟から入っていた。この方は重症肺炎でやはり血圧60台で入院してきて、治療によって回復していた。末梢静脈ラインがとれずにCVにしていたが、経口摂取は難しそうで、そのまま高カロリー輸液で継続も考えていた。

 気の重い週明けとなったが、何とか粘ってやってみるしかない。

 

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新規抗インフルエンザ薬ゾフルーザ(バロキサビル)

2018年11月04日 | Weblog

 木曜日に塩野義製薬の商品説明会があった。宣伝したのは、2018年3月新発売の新規抗インフルエンザ薬ゾフルーザ(バロキサビル)。

 バロキサビルはインフルエンザウイルスRNAポリメラーゼのPAサブユニットに結合して、宿主mRNAの切り取りに必要なキャップ依存性エンドヌクレアーゼの作用を阻害して、mRNAへの転写を阻害する。要するに、ウイルスの蛋白合成(ウイルスmRNAの合成)を阻害する。ウイルスのタンパク合成そのものを阻害することから、ノイラミニダーゼ阻害薬よりも早期にウイルス量を抑制する。

 さらに1回の単回内服で治療が完結するという利便性もある。成人及び12歳以上の小児には、ゾフルーザ20mg錠2錠を単回経口投与する。12歳未満の小児には、体重40kg以上で20mg錠2錠、体重20kg以上40kg未満で20mg錠1錠、体重20kg未満で10mg錠1錠になる。顆粒は発売準備中だそうだ。

 投与された患者の10~20%で標的部位上のアミノ酸変異株ウイルスが分離されている。今のところ、標準株と比較して50~100倍感受性が低下しているが、増殖能も低下しているので臨床上問題にならない。ただし、これらの変異株がさらに変異を獲得して野生株と同等の増殖能を獲得する可能性がある。

 この本は最後にQ&Aが付いていて、Q2に「発症後12時間以内は迅速診断キットの感度が低いので、検査まで12時間以上待つべきでしょうか」があった。

 「A型インフルエンザウイルスでは発症早期から約95%は検出されており、B型ではA型よりは検出率は劣るものの発症早期でも約80%近くは検出される。私見ではあるが発症後12時間以上まで待つ必要は必ずしもないと考える。」

 A型はそんなに発症早期の検出率が高いかなあ、というのが実感。

 インフルエンザ診療ガイド2018-19【電子版付き】

 

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病院の計画停電

2018年11月03日 | Weblog

 先週の日曜日に、病院の計画停電があった。これまで電気設備法定点検は、電力会社からの電力は一定時間停電になるが、その間は病院の自家発電に切り替わるので、何も困らなかった。今回は自家発電も含めて全面的な停電(2時間)にするようにという通達だった。

 リースの発電機を借りて準備していたが、実際にやってみると電力不足でもう1台使用するようになった。また心電図モニターは、病棟には途中で増幅する機器があったが、その分の電力まで考えていなかったため、モニターが一時停止した。

 心電図メーカーは、日本光電は病院に来て準備していたが、フクダ電子は誰も来なかった。統括していた副院長(麻酔科)が、「日本光電は来てくれたのに、おたくは来てなかったですね」とフクダ電子に報告を入れたそうだ。

 停電で給水ポンプ停止中に、洗浄水を流すボタンを確認のために押した部署が3か所あった。配管中に空気が入り、停電が終了して洗浄水を流した時、配管中に入っていた空気が勢いよく出たために、配管が外れて水があふれた。

 産婦人科の診察ユニットは、これまで主電源であるフットセンサーを切ったことがなく、手元のスイッチで照明をつけていた。主電源のことを誰も知らなかったため、手元のスイッチを入れても照明がつかず、気づくまで使えなかった。

 患者さんに危害は及ばなかったものの、準備していた割に問題が発生した。中規模病院でもこうだと、大病院で全面停電になったらどうなるのだろうという話になった。全面停電は今回からなので、今後全国の病院で行われてから問題点が出てくるのだろう。

 日曜日の日中の救急外来の診療を止めていたので、バイトで来ていた先生方にはラッキーデーだった。

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乳酸アシドーシス

2018年11月02日 | Weblog

 昨日の夕方は医局会に出ていた。報告事項を聴いていると、内科の若い先生(地域医療で来ている専攻医)から慌てた様子の連絡が来た。わからない患者さんが来ているという。救急室に行ってみると、患者さんは18歳男性だった。

 その方は、今年の3月の夜間に救急外来を受診したことがあった。昨年発症の統合失調症で他県の精神科病院に通院していた。処方は非定型抗精神薬のジプレキサと安定剤・睡眠薬が処方されていた。その日は首と手足を奇異に曲げた姿勢をとり、その姿勢を維持していた。時間が経つと、また別の奇異な姿勢をとり続けた。緊張病性の行動なのだろうか。当直の外科医は、通院している精神科病院に連絡して、そちらを受診してもらっていた。

 昨日は倦怠感があり(その日からというが)、同居している祖父におんぶされて病院に来た。外傷ではないので、こういう場合全部内科に回される。名前と生年月日は何とかは言えるが、半眼状態で頻呼吸を呈していた。血圧は正常だが、130/分の(洞性)頻脈だった。すぐにストレッチャーに寝かせて救急室に運び込んだ。

 血液検査と頭部CT・胸腹部CTが施行されていた。単純CTだが、画像上明らかな異常は指摘できない。問題は血液検査だった。血液ガスは、PH 6.942・PaO2 137・PaCO2 10.6・HCO3 2.2・BE -35.5・Anion gap 32.1と著明なAG増加型代謝性アシドーシスだった。

 1型糖尿病による糖尿病性ケトアシドーシスかと思ったが、血糖228mg/dl・HbA1c5.5%と血糖は軽度上昇しているが、糖尿病性ではないようだ。尿中ケトン体は陰性だった。血液ガスの血中尿酸値がレポート可能上限値以上の値ということで、記載されていない。確認すると、尿酸値270mg/dl以上だった。

 RBC 631万・Hb 18.8・Ht 59.3、TP 10.0・血清アルブミン6.7と血液濃縮を呈していた。WBC 31700・CRP 0.3と炎症反応の初期像の可能性があるが、感染症だとしても感染源は不明だった。BUN 21.4・血清クレアチニン1.75も血液濃縮のためか。生理食塩水を全開で落とすと、尿排出は良好だった。

 病態は乳酸アシドーシスだが、原因不明だった。元に精神疾患もあり、これは大学病院にお願いするしかないと判断した。若い先生が大学病院救急部に連絡すると、幸い受け入れてもらえた。「僕が乗っていきます」と救急車に同乗して搬送となった(生食500ml2本と救急用薬品をバックに詰め込んだ)。

 

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肝門部胆管癌

2018年11月01日 | Weblog

 昨日内科新患を診ていた内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)から、黄疸の75歳男性のことで相談された。

 濃縮尿と灰白色便で受診していた。心窩部違和感があり、少し食欲も低下しているようだ。すでに検査をしていて、肝機能障害・黄疸(総ビリルビン7.0mg/dl)があった。造影CTで肝門部に腫瘤があり、肝内胆管が拡張している。総胆管の拡張はなかった。

 肝門部癌(肝内胆管癌)だった。MRI検査は予約の隙間に入れてもらえそうだという。腫瘍マーカー(CA19-9・CEA・AFP)の追加と、MRCPの結果を見て方針決めることにした。

 著増していると予想したCA19-9とCEAは案外軽度上昇のみだった。MRCPでみると、肝内胆管が左右泣き別れのようになっている。これから血清ビリルビンがさらに上昇してくるだろう。

 扱えるのはがんセンターか大学病院しかないが、大学病院の消化器外科(肝胆膵)は肝門部胆管癌を専門にしている。大学病院に紹介することになった。

 この患者さんの妻は後天性血友病Aで当院内科に通院している。認知症で介護が必要だが、妻の介護をするのは面倒らしく、オムツ交換はヘルパーさんが来た時にだけしてもらって、自分ではしない人だった。

 8月初めに奥さんが尿路感染症・臀部湿疹・ADL低下で入院していた。在宅介護は無理なので、施設入所の方針となり、一般病棟から地域包括ケア病棟に移っていたが、10月下旬にめでたく施設(グループホーム)に入所となった。

 入院した後に何回か逢って、今後の方針を決めたが、9月以降は主にソーシャルワーカーと施設入所の相談をしていたので、会っていなかった(病院に来ても用が済むとすぐに帰ってしまう)。退院時にも会わなかったが、会っていたら黄疸に気づいただろうか。

 奥さんは後天性血友病で大学病院の血液内科に通院していたし、契機となった大腸癌の手術は大学病院外科で受けている。前回は下肢の大量皮下出血で救急部に搬送した。この患者さんは、大学病院自体、そして消化器外科に行くのは慣れているのだった。

 

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