なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ビタミンB12

2023年05月21日 | Weblog

 「非血液専門医・ジェネラリストのためのBasic&Practical血液診療」樋口敬和著(診断と治療社)を読んだ。ビタミンB12の投与で知らないことが載っていた。

 

 ビタミンB12欠乏性巨赤芽球性貧血は、抗内因子抗体による悪性貧血や胃全摘術後の内因子欠乏による。

 治療は通常はビタミンB12の筋肉内注射が行われる。筋肉内注射されたビタミンB12の多くは尿中に排泄され、注射された量の約10%が体内にとどまる(この代謝は知らなかった)

 メコバラミン500μgを連日あるいは週に3回程度筋肉注射するが、週1回でも効果が得られる。

 筋肉内注射が困難な場合は静注も可能であるが、尿中への排泄がより早く、効果は筋肉内注射よりも劣る。(点滴する患者さんでは静注で投与していて、その方が体内に入ると思っていた) 

 経口投与されたビタミンB12の1~2%程度が内因子非依存性に受動的拡散により吸収され、1000μg/日以上の大量のビタミンB12の経口投与でも効果が期待できるが、経口投与では速効性や確実性がやや不十分であり、原則経口投与を行う。(経口投与した症例もあるが、内因子非依存性に受動的拡散、の機序は知らなかった)

 

血液検査×総合診療 非血液専門医・ジェネラリストのためのBasic&Practical血液診療

 

 調子にのって、同じ著者の本をまた購入した。血液疾患疑いで血液内科に紹介された患者さんが、血液内科でどのように診断されたかが記載してある。

紹介したらこうでした ジェネラリストのための血液疾患コンサルトの答え合わせ

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レムデシビルがない

2023年05月20日 | Weblog

 5月17日水曜日に発熱外来から連絡がきた。市内の内科医院でCOVID-19と診断された53歳女性から、受診希望の連絡が入ったという。

 5月15日から発熱・咳・咽頭痛があり、その日内科医院を受診して、コロナと診断された(抗原定性検査だろう)。アセトアミノフェンと鎮咳剤が処方された。

 16日から食欲がなく、嘔気もある。外来受診すると入院になる可能性もあるので、どうしましょうかということだった。

 入院で診るのは当方としては問題はない。病棟で何というかだった。病棟師長さんに連絡してもらった。

 外来(内科再来)を診ていると、病棟師長さんがやってきた。今の状況では受け入れが難しく、外来治療になりませんか、という。

 看護師不足の問題もあり、入院が少ない病棟をコロナ病棟としていたが、そこは3月で閉じた。急性期病棟は1病棟しかないが、そこでコロナの患者さんの入院を診ることにはなっていた。

 ただ現在の入院状況だと、すでに入院しているかなりの患者さんたちを移動させなければならないが、移動するベットがない。こういうことなるのは想像されたことだが、ずっとコロナの入院がなかったので、何とかなっていただけだった。

 患者さんには入院は難しいので、外来で点滴にかよってもえるなら治療します、と伝えてもらった。これが高齢者だと通院は無理だろう。

 検査(画像と血液)の結果は軽症相当だったが、39℃近い発熱はあって、嘔気がある。レムデシビルの点滴静注と500mlの点滴2本を外来のコロナ用の部屋を使用して行った。

 翌19日は発熱は37℃台になって、水分は少し取れるようになっていた。

 

 薬の問屋さんとの問題があり、現在当院にはCOVID-19で点滴静注する抗ウイルス薬のレムデシビル(ベクルリー)が入荷できないことになっている。事務には、レムデシビルがなければコロナの入院は診られない、と伝えてから1か月経過するが、未だに解決できない。上記患者さんで使用したレムデシビルが在庫の最後だった。

 感染管理の指導で大学病院から来てもらっている先生にそのことを伝えると、そんなことがあるんですね、と驚いていた。県の医療局に直接事情を伝えてもいいのではないかと思う。

 

 入院になるコロナの患者さんは大抵(超)高齢者で、誤嚥性肺炎を併発していることが多い。コロナの経口薬(パキロビッド)は相互作用の問題もあるが、量も多く薬剤も大きいので飲めない。

 オミクロン株ではコロナ自体の肺炎はなく、誤嚥性肺炎で悪化するので、抗菌薬だけ入れればいいという考えもあるだろう。しかしコロナの急性期入院でレムデシビルを使用しないという選択はない。

 抗癌剤はありませんが癌治療を当院でしますか、というのと同じことになる。

 

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糖尿病腎症・ネフローゼ

2023年05月19日 | Weblog

 連休明けの5月8日に、整形外科クリニックから当院の皮膚科に蜂窩織炎の62歳男性が紹介されて、入院になった。

 部位は右膝周囲で、皮膚科医としては蜂窩織炎としてはあまりない場所ですが、という。ただ、膝に外傷の跡があること(菌の侵入門戸)と、整形外科からの紹介なので関節炎ではないのだろうともいっていた。

 右膝関節の腫脹もありそうで、当院の整形外科でも診ていただくように勧めた。関節穿刺が行われて、非化膿性の炎症はあると診断された。蜂窩織炎の炎症は関節内に及んでいないと判断されていた。

 

 高血圧症・糖尿病で市内の内科医院に通院していて、HbA1cは8%台ということだった。入院なのでふだんの処方薬を薬局で確認したが、使い方が?なので、と報告がきたそうだ。

 日数は入院中に間に合うくらい持ってきていて、そのまま使用するつもりだったようだ。変更が必要かもしれないので、内科で処方していほしい、という依頼だった。

 

 SU薬のグリメピリドが3mg錠3錠分3になっていた。最大量は1日6mgだが、使うとしても最近ではせいぜい0.5~1日1mgだろう。(選択として4番目以下の糖尿病薬になっている)

 DPP4阻害薬とメトホルミンの合剤(エクメットHD錠=エクア50mg+メトホルミン500mgを2錠分2,SGLT2阻害薬(ダバグリフロジン10mg)、GLP1受容体作動薬の内服薬(セマグルチド3mg)、α-GI(ボグリボース0.2mg錠3錠分3)が入っていた。降圧薬はバルサルタン40mg錠分1だった。

 SU薬最大量オーバーと、DPP4阻害薬・GLP1受容体作動薬併用は保険で削られると思うが、大丈夫なのだろうか。患者さんの注射薬拒否で、困っての処方か。

 身長167cm・体重76.5kg(BMI 27)で体格がよく、絞る余地はある。HbA1c8.3%で、血中Cペプチド 2.75ng/mlだった(抗GAD抗体は陰性)。

 入院直後は血糖が200~300mg/dl台だったが(高値の時ヒューマリンRで補正)、しだいに140~150前後に下がってきて、インスリン皮下注は使用しなくなった。ふだんが過食なのだろう。

 やはり「注射薬はいや」ということで、DPP4阻害薬・SGLT2阻害薬・α-GI・SU薬(1mgに減量で)は継続とした。GLP受容体作動薬の経口薬は院内にはなく、入院期間が2週間くらいなので、臨時薬として取り寄せるのはやめた。(退院後にGLP1受容体作動薬内服へ)

 血清クレアチニンが1.58mg/dと上昇している。(メトホルミンは中止した)血清アルブミンが2.1~2.7g/dl、尿蛋白8.38g/gCrとネフローゼ相当だった。浮腫は目立たない。血圧も150~170mmHg台と高値だった。

 糖尿病自体の治療というよりは、腎症・ネフローゼの対応になる。腎臓内科の若い先生に相談した。

 糖尿病の治療は、DPP4阻害薬よりGLP1受容体が好ましく、セマグリチドは3mgより7mgでという。血圧は110~120を目標にもっと下げましょうということで、処方追加・変更を指示された。(眼科は当院に通院していて、血糖を下げても問題ない状態)

 降圧薬は、これまでのバルサルタンにアムロジピン5mg1錠分1から2錠分2を追加はしていたが、大幅な修正を指示された。

 MRA(ミネラルコルチコイド受容拮抗薬)のエサキセレノン(ミネブロ)1.25mgを高カリウム血症に注意して使用する。ARB(バルサルタン)をARNI(エンレスト=サクビトレル・バルサルタン)に変更する。(100mg1錠分2ではなく、100mg2錠分2から開始と大胆)

 血圧の下がりすぎもなく、140程度になっていた。退院後は内科医院(腎臓内科)にお戻しするが、当院の腎臓内科医に相談したことを記載して、外来紹介も考慮してもらうことにした。

 

 別の患者さんで同様の処方を使用して、尿蛋白が8g/gCrから1g/gCr未満になったと(電子カルテ上で)見せてくれた。腎臓内科も「Fantastic 4」(β遮断薬は抜いて3?)なのだった。

 

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急性心筋梗塞?

2023年05月18日 | Weblog

 火曜日の救急当番の時に、呼吸困難の57歳男性が救急搬入された。1週間前から両下肢の浮腫と労作時の息切れがあったが様子をみていたそうだ。特にふだん通院している病院医院はない。

 前日から浮腫と息切れが悪化して、その日に受診しようと思っていたが、呼吸が苦しくなって救急要請していた。救急隊到着時は酸素飽和度が70%台だったが、酸素吸入3L/分で99~100%になった。発熱はなく、1週間の間にも発熱してはいない。

 

 急性発症の呼吸困難で両下肢の浮腫があるので、急性心不全のようだ。胸痛はないというが、年齢を考慮すると急性心筋梗塞だろうか。循環器内科に搬送になると救急隊に伝えて、当院に来てもらった。

 血圧は190/130と高値だった。心拍数は120/分台だったが、洞性頻脈で不整脈ではない。

 心電図をみると、V1-5までpoor r wave progressionだった。(移行帯がV6になってしまう)QS patternとみるべきなのか。明らかなST変化はなかった。

 胸部X線・CTでは心拡大があり、胸水貯留と部分的に肺うっ血の所見があった(予想したより軽度だった)。

 

 血液検査でトロポニンIが511(0-26pg/ml)、BNPが2900以上(その後3656.2pg/mlと出た)と著明に高値を呈していた。

 1週間前に急性心筋梗塞を発症して、急性心不全を呈したということなのか?。エコーを当てて見ると、左心室全体の動きが悪いように見える。

 地域の基幹病院循環器内科に連絡すると、受けてもらえたので、2台目の救急搬入で来た救急隊に頼んで、そのまま搬送してもらった。

 

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出血性直腸潰瘍

2023年05月17日 | Weblog

 4月15日、4月24日に記載した70歳男性の(さらに)その後。

 誤嚥性肺炎は抗菌薬継続(ABPC/SBT)で軽快治癒した。

 認知症・BPSDに対する抗精神薬は、ロナセンテープ(20㎎)2枚が貼付されていた。日中1枚夜間2枚、1日中1枚と漸減して中止した。夜間の睡眠を確保するために、デジレル25mg2錠(1錠から増量)・ロゼレム8mg1錠、さらにクエチアピン25㎎1錠を夕食後に内服とした。

 体幹抑制は夜間は継続にするが、日中はリハビリの妨げになるので、監視できれば外すことも考慮していた。

 転院してすぐに、洞調律から持続性心房細動になった(先方では発作性心房細動だった)。ヘパリン持続点滴からDOAC内服(エドキサバン30mg)に変更した。ビソノテープ4mg貼付だったが、やや徐脈傾向となり、2mgに減量した。

 高血圧症も200mgを越えたりして、一時的にニカルジピン点滴静注を使用した。Ca拮抗薬、さらにARBを追加して140前後に低下した。

 頭蓋内病変は転院時の頭部CTで両側の硬膜下血腫から水腫へ移行していたが、まだ量が多く、脳を軽度に圧排していた。五苓散の内服は開始していなかったが、頭部CT再検で水腫は軽快していた。

 という経過で、後は福祉サービスを入れる準備をして、到底一人暮らし継続はできないので、施設入所を目指すことになった。いい感じで経過していたのだが・・・。

 

 5月11日の午前中に病棟看護師さんから血便が出ていると報告された。オムツいっぱいに赤黒色の便というよりコアグラ(凝血塊)があった。

 直腸指診をすると、一瞬腫瘤かと思われたが、実際は凝血塊でそれが出ると鮮血がどっと出た。いったん排出は止まるが、その後も2回コアグラと鮮血の排出が続いた。

 腹部CTを見ると、虚血性腸炎らしいS状結腸の壁肥厚は認めない。その口側の大腸は通常の便貯留だけのようだ。虚血性腸炎だと便と血液の混じった血便という感じになるが、今回は排出される便は普通便だった。出血そのものだと、(胃で言えば)出血性胃潰瘍のような病態かもしれない。

 昼前に消化器科医と相談したが、下部消化管内視鏡検査が3件入っていた。何より、止血処置をする器具は更新時期を過ぎても予算がなかったので、もうなくなっている(一応クリップだけはある)。

 見るのはいいが止血処置が必要になる病変を発見しても、その処置と悪化の際の対応ができないという。地域の基幹病院にお願いすることにした。

 電話で事情をお話すると、診るだけはできます、ということだった。処置後に戻してもらってもいい、という条件で救急搬送となった。

 その日の夕方、時間外になっても連絡がなかったので、病棟の看護師さんと入院になったのだろうと話した。できれば週明けまで診てもらって戻してもらうと助かる。

 月曜に連絡があり、「直腸潰瘍があり、露出血管の処置を行って止血した」ということだった。すぐに引き取りたかったが、火曜日に他院からの転院が2例あり、水曜日の転院としてもらった。

 

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血気胸

2023年05月16日 | Weblog

 2か月前から月に1回、土曜日の日当直は若い先生に来てもらっている。直接お会いしたことはないが、東京の著明な病院で内科専攻医として勤務されているそうだ。

 内科の別の先生が内科当番だった時に、その先生が入院を入れていて、対応がきちんとされていると褒めていた(ふだんあまり褒めることはない)。

 先週の土曜日にも来られていた。受診数は少なかったが、的確な対応をされていて、カルテ記載も丁寧だった。20歳代の男性2名がCOVID-19と判明したが、直近の療養期間を踏まえて指示されていた。

 右胸痛で65歳男性が(救急車要請ではなく)直接受診していた。3日前に深夜に自宅で飲酒(ビール、日本酒、焼酎と日本酒換算5合以上)していて、転倒したそうだ。

 隣室で寝ていた妻が見にいくと、本人は倒れた場所ではなく廊下にいて正座していた。胸痛はあったが、ずっと我慢していた。いよいよ我慢できなくなっての受診だった。

 バイタルは問題がなく、酸素飽和度は98%(室内気)だった。右胸部に圧痛があり、右肺の呼吸音が減弱していると記載されている。

 胸部X線で多発性の肋骨骨折があり、液体貯留は血胸を来していると判断された。右胸部に皮下気腫がある。多発性肋骨骨折による血気胸だった。

 外科常勤医のいない当院では対応できないとして、地域の基幹病院(呼吸器外科医もいる)に連絡して搬送していた。

 (胸部CTは撮影していないので、詳しくはわからない。当院常勤医は当方も含めて、CTを撮りすぎるくらい撮っているので、CT像が見たくなる)

 

 5月3日から発熱が続く61歳女性が13日に救急搬入されていた。発熱以外の症状も、有意な身体所見もない。胸腹部CTで発熱源は指摘できなかったようだ。炎症反応は中等度に上昇しているが、尿混濁はない。

 血液培養2セットと尿培養を提出していた(fever work-up)。抗菌薬の点滴静注(セフトリアキソン)と内服処方で帰宅して、週明けの月曜日に受診(体調不良時はその前に)としていた。

 月曜日の内科新患を受診して、担当の先生(大学病院から)は心エコーで明らかな疣贅がないのを確認していた(経胸壁)。炎症反応は土曜日より若干軽減している。血沈が高値であることから、膠原病のマーカーを提出している。抗菌薬内服継続で次週再受診としていた。

 これは最初から入院で良かったと思うが、患者さんの希望(入院したくない)だったのだろうか。

 

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EBVだった?

2023年05月15日 | Weblog

 5月10日水曜日の夜に21歳女性が救急外来を受診した。症状は発熱と倦怠感だった。

 患者さんは県内の県庁所在地で一人暮らしをしている。5月4日から発熱があった。市内の病院を受診して、肝炎疑いと言われたそうだが、詳細はわからない。(経過をみるため外来再受診の予定だった)

 発熱と倦怠感が続き、実家のある当地から母親が迎えに行った。当地に連れてきて、そのまま当院を受診したという経緯だった。

 コロナとインフルエンザの検査は陰性だった。扁桃の腫大・発赤と白苔の付着を認めていた。頸部リンパ節も触知されていた。

 血液検査で、白血球12200・CRP 6.4と炎症反応の上昇があり、AST 650・ALT 701・γ-GTP 291・総ビリルビン3.2と著明な肝機能障害を認めた。

 当直で対応した先生は、一晩入院として点滴と解熱薬で経過をみていた。朝になって受診していた病院に連絡して、転院としていた。

 病棟の看護師さんたちが、転院の手配でばたばたしていたので、事情を聞いて上記の経過がわかった。最初に受診した病院に肝臓専門医がいるのは知っていた。ホームページで確認すると、別の肝臓専門医に代替わり?していた。

 

 咽頭炎・扁桃炎、頸部リンパ節腫脹(特に後頚部)、肝機能障害だと、年齢も考慮してEBウイルス感染症(伝染性単核球症)になるが、外注検査でEBVの抗体を見ないとわからない。

 救急外来で腹部単純CTを撮影していて、明らかな脾腫を認める。肝腫大もあるようだ。胆道系の異常はない。

 凝固検査異常などがなければ、もう少し経過をみるのもあるが、1週間目で39℃の発熱が続いている。治療はどうするのだろうか。肝炎の検索はするとして、ステロイド投与はまだしないか。

 以前に地域の基幹病院におられた肝臓専門医は、トランスアミナーゼが4桁で凝固異常をきたす肝炎ではステロイドを使用していた。

 

 当院の時間外の血液検査は、簡易検査で試験紙を使用して出している。ちゃんとした検査は比べて、ひどく違うことはないようだ。凝固検査はできないし、トロポニン・BNPや血清アンモニアなどはできない。

 

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レジオネラ肺炎

2023年05月14日 | Weblog

 5月9日火曜日に内科医院の紹介で、急性肺炎の38歳男性が入院となった。尿中レジオネラ抗原が陽性で、レジオネラ肺炎だった。

 5月6日から高熱・咳・頭痛・倦怠感が続いていた。9日に内科医院を受診して、コロナとインフルエンザの検査は陰性だった。胸部X線で左下肺野に肺炎像を認めていた。

 内科の別の先生が担当したが、肺炎では必ず尿中肺炎球菌抗原とレジオネラ抗原を検査する先生だった。年に1回くらいレジオネラ抗原が陽性になっているようだ。

 患者さんは5月4日に温泉に行っていた。呼吸器症状以外に、頭痛がひどく、下痢もしている。白血球10800・CRP27.9とCRPが高値を呈している。CKは正常域だが、AST 35・ALT 45・LDH 327と肝機能障害がある。血清ナトリウムは134と低下といえば低下だった。レジオネラらしさがあるのだった。

 胸部CTでは左下肺野背側にair bronchogramを伴う浸潤影が描出された。画像ではレジオネラかどうかは鑑別できない。

 レボフロキサシンで治療を開始して、3日後には解熱している。保健所が病院に調査に来ていた。

 

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食道アカラシア

2023年05月13日 | Weblog

 昨日記載した74歳女性は、2017年に脳梗塞で入院したが、前年から心窩部のつかえ感・嘔吐が続いていた。

 入院後も同症状が続き、胸腹部CTで食道の拡張・液体貯留を認めた。上部消化管内視鏡検査で、食道癌・食道炎はなく、食道胃接合部の(機能的)狭窄を認めた。

 食道アカラシアが疑われて、脳梗塞の急性期の治療後に消化器科に転科となった。食道下部括約筋を弛緩して食道内圧を下げるために、Ca拮抗薬が投与された。

 大学病院外科から内視鏡検査の応援に来ていた先生に相談して、大学病院紹介となった。大学病院では、経口内視鏡的筋層切開術Per-Oral Endoscopic Myotomy(POEM)の治療を受けて、合併症もなく症状軽快している。

 

 当時は消化器センターのある専門病院から、数か月交代で若手の消化器科医が来てくれていた。ESDの名手の外科医も応援に来ていて、消化器科が充実していたのだった。

 現在は内視鏡検査と消化器科外来に週2回応援で来てもらっているが、基本的には消化器科医が1名で診療している。

 

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脳梗塞Pure sensory stroke

2023年05月12日 | Weblog

 5月8日に74歳女性が新患外来を受診していた(別の先生が担当)。5月2日夜から左上肢のしびれが出現して、遅れて左下肢のしびれも出現した。

 2017年に脳梗塞(左被殻~放線冠)の既往があり、当院に入院して、右半身の不全麻痺(軽度)が残っていた。抗血小板薬(クロピドグレル)の内服を継続している。

 

 新規のラクナ梗塞が疑われた。発症7日目になる。連休中も救急外来はやっているが、律儀に連休明けを待っていたらしい。しびれだけで脱力がなかったこともあるのかもしれない。

 頭部MRIで右視床にラクナ梗塞を認めた。FLAIRでも認めるが、7日目なので頭部CTでも描出されるだろう。内包にかかるとわずかに左半身の脱力があるのかもしれないが、本人は変わりないという。

 感覚障害だけだと、ラクナ症候群のPure sensory strokeになる。クロピドグレル内服していての再発になるので、担当した先生はバイアスピリンを追加していた。

 

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