zoom『世界』を読む会・3月例会の報告
3月25日(金)、zoomの『世界』を読む会・3月例会を行いました。参加は6名でした。
■第一テーマ・長井暁「NHKに何が起きているのか?」
・読み取りの難しさを感じた。何度も読み返した。が、ことの本質に迫っていて良い内容だと思った。
・自分は五輪反対のスタンディングをしたので、この問題の当事者だが、この問題の当事者である五輪反対の運動をした者への謝罪は一切無い。
・島田監督はお金をもらってデモに参加したという男を見つけて接触した場面を撮らせているので、このテロップ問題の被害者ではない。この接触の経緯を明らかにすることが絶対に必要だ。
・BPOがどういう判断を下すのかが注目だが、まだ出ていないようだ。
・島田監督の「プロの反対派もいてるし」という発言は、気持ち悪い感じだ。普通、「プロの反対派」とは右翼とかが使う用語では。
・河瀬監督は面白い監督だと思っていたのに、残念だ。
・「日本国民のリアル、世界のリアルを、ある種の客観性を持って良いも悪いも描いて」いこうというのだから、〔p.79〕出来上がった記録映画そのものを見ないと、河瀬監督に関する論は無理だなと思う。
・問題にしているのは、河瀬監督ではなく、NHKの態度だ。その点では、正籬放送総局長の発言、特に「まったくそうした事実(五輪反対デモへの動員)がなかったかということについてもはっきりしません」と述べたなど、ひどいものだ。〔p.77〕歴史修正主義者の論法だ。
・番組そのものが、映画制作者、このドキュメンタリーの撮影者のものが入り組んでいて、政策意図が分かりにくいものだったことと、長井さんの文章のわかりにくさと関係しているのかな。
■第二テーマ・八田浩輔「原発とどう向き合うか?」
○ 郡山さんが様々なデータを集めて「EUの電力状況」の表を作成して、説明してくださいました。
・原発の復活の話が出ているが、小型原発は無理だと思う。安全基準が高くなりコストが非常に高くなっている。大量に受注すれば安くなるということだが、その見込みはなく無理だろう。お金にシビアな投資家が許さないだろう。
・ウクライナで原発が攻撃されたことで、ますます原発の危険性が認識されている。ウクライナ以前の原発への方向はリセットされるだろう。そうあって欲しい。
・そうならいいのだが、どうなんだろう。
・表を見ると、フランスの七割が原発という現状では、原発はダメということは難しい、脱炭素化の難しさをつくづく感じた。
・投資家の反応の力だが、アメリカの発電は全て民間の投資で行なわれていて保険などを加算すると投資出来ない状態だ。日本や英国などは政府がやっている面が強いので、事情が違う。右派は核兵器を作る潜在力のことを考えて原発にこだわる。
・世界の大部分は原発を使っているし、増えているのが現状だ。化石燃料はつなぎの役割と把握されているが、原子力は将来も含めて考えられているように思う。
・発電時のCO2の排出を問題にするのは、部分で見ていてそれでは不十分だ。CO2の排出は発電時だけの問題ではない。
・この状況にウクライナのことが加わってきて、どういう見方になるのだろう。
・EUの天然ガスの半分をロシアからのものに頼っているので、それがストップすることは重大だ。ロシア依存から脱却するために輸入先の変更といっても難しく、再生可能エネルギーもすでに相当進んでいるので、原発の方へ行く局面かな。
・EUの市民の原発支持率は相当高くなっている。〔p.240〕電気代、ガス代が値上げする中で市民はどう反応するか。政治家はどう動くか。長期的な視点を失って、目の前のことによって動くのでは。
・エネルギーの総消費量についての、脱成長などの考えも加味して考えるべきではないか。
・原発に関しては、選択肢に入れない絶対悪という認識が問題になっているのではないか。原発に関する根本的な考察を避けてはいけないのでは。
・北欧などを除いて、原発については廃棄物の処理の問題は難しい。
・大規模、集中システムのもつ脆弱性が問題になっているので、分散的、自給的なエネルギーの確保という方向に行かざるを得ないだろう。
・原子力発電は商用に供されるレベルの安全性を確保できていないのに、商用化してしまったことが問題なのであって、原子力の利用、研究そのものをやめるべきだということではない。
・日本の原発は、北朝鮮のミサイルに晒されていることも問題だが、六〇年以内に巨大地震が起きるといっているのに、原発の危険性をないがしろにしている。
・経済界や政治家の認識は、我々市民とはかけ離れている現状が問題だ。
・2019年の7月号が原発を特集している。読み返してみると、かなり論点を網羅している。・原発は地球温暖化での時限爆弾という報告もある(鮎川ゆりか「原発は温暖化する地球の「時限爆弾」である」)。処理水、冷却水との関係で温暖化の原因になっていることが報告されている。
・経済の論理では無理なことを「EUタクソノミー」で政治的レベルで原発の方向に導こうとするものである。
・フランスはEUで唯一の核保有国で国家の力が強く、それが原発依存を進めることになっている。人権問題で問題を抱える中東欧に原発輸出をしようとしている。
◎ ZOOMの『世界』を読む会、4月例会 の予定
●日 時 4月28日(木) 午後7時~9時半
※ 月末の金曜が定例ですが、4月は祝日の関係で木曜となっています。
○共通テーマ
・「ウクライナ侵攻」 大串 敦
・「加速する「アジア的な新自由主義」」 梶谷 懐
○参加ご希望の方は連絡下さい。案内を差し上げます。
● 連絡先 須山
suyaman50@gmail.com
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