『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

ろうそく集会って。

2017-04-03 19:20:01 | 日記

● 李起豪 「『ろうそく集会』は大韓民国の歴史を変えられるか」
● 白楽晴 「今年も『動きましょう』」 
 を 読んで
                                                          須山敦行

※ ニュースは流れるが、大統領が逮捕されたことは知っているが、
  何も、韓国のことが分かっていない。
  大事な事、「ろうそく集会」のことは、何も分かっていない。
  それは、このような内容を持っているのだ。

◎ 《 キャンドル革命は 憲法守護運動 》

※ キャンドル革命は、八七年憲法を守れ、という運動でもあるようだ。

 「二〇一六年キャンドル革命の著しい特徴は民主共和国憲法を主権者の国民が守ってきた憲法守護運動だという点です。」                  〔p.253〕
 「憲法が守られなかった国を憲法が守られる国へと変える、より本質的な革命が起きています。」


◎ 《 「裏憲法」状況からの脱出 》

※ 憲法が守られない理由に、韓国の置かれた状況がある。『裏憲法』という状態。ということ。

 「『北朝鮮という反国家団体と対峙している大韓民国の特殊な状況』を勘案し、国民主権といくつかの基本権条項の効力が停止されうるという『慣行』が一種の『裏憲法』として存在してきました。」

 「守旧勢力が一切の批判を『従北』として封じ込め、『気楽に』国政運営をしてきた」

 「『文字で書かれた憲法第一条を、いまや全国民が歌にして歌い、身をもって書き上げる時代』に」

 「『裏憲法』の完全な廃棄を達成しようとすれば、より多くの勉強と作業が必要になるでしょう。」

※ 北朝鮮の存在が、「裏憲法」状況の理由になってきた。
  憲法を無視する日本の政権と同じようなロジックが。


◎ 《 国民大討論の月 》

※ このように、大胆に、市民に勉強と運動を呼びかけている。

 「一月を『国民大討論の月』と宣布しました。」

 「直接民主主義と熟考する民主主義を同時に強化し、代議民主主義も改善する先例を生み出せるでしょう。」                        〔p.254〕

※ 韓国の民主主義運動の質を垣間見る思いがする。
  その中身をよく知りたいと思う。

 「今年は私たちすべてがもっと学び、もっと教え、もっと遊び、日常の不義とも闘う市民へとレベルアップしていきましょう。」

※ 何と、希望に満ちた呼びかけであろうか。
 「もっと遊び」には、喜んでしまった。


◎ 《 討論の広場 》

 「怒りを希望へと変化させた祝祭の場でもある。」          〔p.256〕

 「ろうそく集会は、政界に自らの権力を委任する代議制民主主義の限界を認識し、毎週土曜の集会で〈広場政治〉を開こうとしている。
 〈広場政治〉が祝祭の場だと言われるのは、主権者である市民が多様な意見を述べる〈討論の場〉であるからだ。
 〈広場政治〉では集会が、武力ではなく平和によって新たな秩序と変化を作りだしていく力を確認することができる。」                  〔p.258〕

 「〈市民発言台〉」                        〔p.259〕

 「ろうそく集会は多様な市民の声、多様なアイデンティティ、多様なグループがひとつになる〈広場〉を提供することに焦点を置いている。」         〔p.260〕

 「大事なのは〈広場〉を用意することだ。」

 「怒りを希望や喜びに転換させる共感の政治を経験していく。」

※ 「討論の広場」、「祝祭の場」、「広場政治」、「市民発言台」、どれも、私たちも参考にしたいものだ。


◎ 《 旗の文化 というものある 》

 「 旗の文化
  『カブトムシ研究会』『シマウマ研究会』『汎ニャン連帯』『一人で来た人々』『おひとりさま連帯』『下野コーヒー』  」

 「自分たちができる行動を思う存分やってみながら、その過程で政治的主体としての『市民』を経験しているのだ。」

※ 私たちの国会前の旗も大分変化してきている。


◎ 《 分断を乗り越える〈平和と包容の政治〉 》

 「今からがスタートだ。来年二〇一八年は分断政府樹立七〇周年を迎える。今年は八七年体制(一九八七年六月二九日の民主化宣言)から一歩進んで、〈平和と包容の政治〉を形づくることのできる、新たな政治の骨格へと憲法を整備し、新しい政府を構成していかなければならない。
  何よりも、解放後から続いてきた分断の構造を乗り越えて、東北アジアの平和を共に作りだしていくことのできる、新しい想像力と共感能力を広げていかれるように、〈広場政治〉がその扉を開いて行くことに期待している。」

※ 半島が抱える、分断の克服を視野に置いた、苦しいけれど、道を探る希望が語られている。ここは重いが。その重い扉を押し開こうと言うのだ。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「誰も排除しない/されない社会を目指す」

2017-04-01 15:46:26 | 日記

熊谷晋一郎×東ちづる 「誰も排除しない/されない社会を目指す」 を 読んで
                              須山敦行


《 優生思想とは 》
「 社会の役に立つかどうかという条件 と 生きていていいという条件を、つなげないこと。
 この二つが結びついた状態が 優生思想 です。」        〔p.227〕

※ 優生思想はヒトラーの専売特許ではない。私たちの中に深くある。


《 オリンピック、パラリンピックは 能力主義の極致 》
 「相模原のやまゆり園での事件を経験した私たちは、そうした能力主義の熱狂にベタに飲み込まれるわけにはいきません。」                〔p.226〕

※ 「日本チャチャチャ」。その熱狂に何かを忘れたい私、どうする。


《 ワルぶる「本音主義」 》
 「私はきれい事を言わずに本音を言っているんだとワルぶる話法で、あたかもその言葉が正しいかのように広がりやすい。」                 〔p.228〕

 「本音主義は聞く回路を遮断して、本心から外れたことを叫ぶほうに向かい、ますます否認のほうにいってしまう。」

※ 橋下元大阪府知事のことではありません。薬物依存症のことでの文脈です。


《 「愼慮主義」 》
 「お互いに慮り続けなければ排除される状況が、グローバル化している」
 
※ 波風立てず、問題を顕在化させない。態度です。これは、実は怖い。


《 働かなくても生きていたい 社会 》
 「働ける人はたくさんいるのに、働けない社会になっていっています。」〔p.229〕
 「そうなると、働かなくても生きていくのに必要な資源が得られるように、分配の仕組みを変える、強化していく必要が出てきますよね。
 労働が奪われるのではなく、労働から解放される--こういう方向に社会全体が家事を切らないと」
 「働かなくたって生きていていいんだ、とならないと。」
 「『働かざる者食うべからず』、怖いですよね。そんなにみんな労働したい? 私はやりたいことだけやっていたいです。」
 「それはわがままな主張ではありません。困っている人にきちんと分配される社会であれば問題ないわけです。」

※ この(未来)社会論は、刺激的で新鮮に思いました。
  「働くことが人間の本質だ」と、誰かの声が聞こえる気がする。


《 「まぜこぜ」 ゆるい連帯 》
 「『仲間なんだからしょうがない』」                〔p.230〕
 「面倒なことに対して諦めて付き合う覚悟のようなもの」
 「『仲間』という言葉
  同じ環境に属している者同士のゆるい連帯のこと」
 「腹を括って付き合い抜く宣言になります。」
 「個人よりもグループが優先されてはいけないからです。
  グループを守るために個人が犠牲になるという状況が生まれてしまったらグループは潔くたたむ」
 「国家や社会が個人より優先されるようなことがあってはいけない。」
 「どの民間の活動も、グループを優先した瞬間に堕落が始まる。」

※ リベラリズムの真髄ですね。

※ というように、熊谷晋一郎さんは、以前の『世界』でやまゆり園の事件で鋭い発言をしていましたが、また、深く学ぶことができました。
 東ちづるさんというのは、顔はテレビで知っていましたが、こんなに深く考え、行動している方だとは知りませんでした。
  『世界』が、また、私を、刺激してくれました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする