● 李起豪 「『ろうそく集会』は大韓民国の歴史を変えられるか」
● 白楽晴 「今年も『動きましょう』」
を 読んで
須山敦行
※ ニュースは流れるが、大統領が逮捕されたことは知っているが、
何も、韓国のことが分かっていない。
大事な事、「ろうそく集会」のことは、何も分かっていない。
それは、このような内容を持っているのだ。
◎ 《 キャンドル革命は 憲法守護運動 》
※ キャンドル革命は、八七年憲法を守れ、という運動でもあるようだ。
「二〇一六年キャンドル革命の著しい特徴は民主共和国憲法を主権者の国民が守ってきた憲法守護運動だという点です。」 〔p.253〕
「憲法が守られなかった国を憲法が守られる国へと変える、より本質的な革命が起きています。」
◎ 《 「裏憲法」状況からの脱出 》
※ 憲法が守られない理由に、韓国の置かれた状況がある。『裏憲法』という状態。ということ。
「『北朝鮮という反国家団体と対峙している大韓民国の特殊な状況』を勘案し、国民主権といくつかの基本権条項の効力が停止されうるという『慣行』が一種の『裏憲法』として存在してきました。」
「守旧勢力が一切の批判を『従北』として封じ込め、『気楽に』国政運営をしてきた」
「『文字で書かれた憲法第一条を、いまや全国民が歌にして歌い、身をもって書き上げる時代』に」
「『裏憲法』の完全な廃棄を達成しようとすれば、より多くの勉強と作業が必要になるでしょう。」
※ 北朝鮮の存在が、「裏憲法」状況の理由になってきた。
憲法を無視する日本の政権と同じようなロジックが。
◎ 《 国民大討論の月 》
※ このように、大胆に、市民に勉強と運動を呼びかけている。
「一月を『国民大討論の月』と宣布しました。」
「直接民主主義と熟考する民主主義を同時に強化し、代議民主主義も改善する先例を生み出せるでしょう。」 〔p.254〕
※ 韓国の民主主義運動の質を垣間見る思いがする。
その中身をよく知りたいと思う。
「今年は私たちすべてがもっと学び、もっと教え、もっと遊び、日常の不義とも闘う市民へとレベルアップしていきましょう。」
※ 何と、希望に満ちた呼びかけであろうか。
「もっと遊び」には、喜んでしまった。
◎ 《 討論の広場 》
「怒りを希望へと変化させた祝祭の場でもある。」 〔p.256〕
「ろうそく集会は、政界に自らの権力を委任する代議制民主主義の限界を認識し、毎週土曜の集会で〈広場政治〉を開こうとしている。
〈広場政治〉が祝祭の場だと言われるのは、主権者である市民が多様な意見を述べる〈討論の場〉であるからだ。
〈広場政治〉では集会が、武力ではなく平和によって新たな秩序と変化を作りだしていく力を確認することができる。」 〔p.258〕
「〈市民発言台〉」 〔p.259〕
「ろうそく集会は多様な市民の声、多様なアイデンティティ、多様なグループがひとつになる〈広場〉を提供することに焦点を置いている。」 〔p.260〕
「大事なのは〈広場〉を用意することだ。」
「怒りを希望や喜びに転換させる共感の政治を経験していく。」
※ 「討論の広場」、「祝祭の場」、「広場政治」、「市民発言台」、どれも、私たちも参考にしたいものだ。
◎ 《 旗の文化 というものある 》
「 旗の文化
『カブトムシ研究会』『シマウマ研究会』『汎ニャン連帯』『一人で来た人々』『おひとりさま連帯』『下野コーヒー』 」
「自分たちができる行動を思う存分やってみながら、その過程で政治的主体としての『市民』を経験しているのだ。」
※ 私たちの国会前の旗も大分変化してきている。
◎ 《 分断を乗り越える〈平和と包容の政治〉 》
「今からがスタートだ。来年二〇一八年は分断政府樹立七〇周年を迎える。今年は八七年体制(一九八七年六月二九日の民主化宣言)から一歩進んで、〈平和と包容の政治〉を形づくることのできる、新たな政治の骨格へと憲法を整備し、新しい政府を構成していかなければならない。
何よりも、解放後から続いてきた分断の構造を乗り越えて、東北アジアの平和を共に作りだしていくことのできる、新しい想像力と共感能力を広げていかれるように、〈広場政治〉がその扉を開いて行くことに期待している。」
※ 半島が抱える、分断の克服を視野に置いた、苦しいけれど、道を探る希望が語られている。ここは重いが。その重い扉を押し開こうと言うのだ。