『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

「誰も排除しない/されない社会を目指す」

2017-04-01 15:46:26 | 日記

熊谷晋一郎×東ちづる 「誰も排除しない/されない社会を目指す」 を 読んで
                              須山敦行


《 優生思想とは 》
「 社会の役に立つかどうかという条件 と 生きていていいという条件を、つなげないこと。
 この二つが結びついた状態が 優生思想 です。」        〔p.227〕

※ 優生思想はヒトラーの専売特許ではない。私たちの中に深くある。


《 オリンピック、パラリンピックは 能力主義の極致 》
 「相模原のやまゆり園での事件を経験した私たちは、そうした能力主義の熱狂にベタに飲み込まれるわけにはいきません。」                〔p.226〕

※ 「日本チャチャチャ」。その熱狂に何かを忘れたい私、どうする。


《 ワルぶる「本音主義」 》
 「私はきれい事を言わずに本音を言っているんだとワルぶる話法で、あたかもその言葉が正しいかのように広がりやすい。」                 〔p.228〕

 「本音主義は聞く回路を遮断して、本心から外れたことを叫ぶほうに向かい、ますます否認のほうにいってしまう。」

※ 橋下元大阪府知事のことではありません。薬物依存症のことでの文脈です。


《 「愼慮主義」 》
 「お互いに慮り続けなければ排除される状況が、グローバル化している」
 
※ 波風立てず、問題を顕在化させない。態度です。これは、実は怖い。


《 働かなくても生きていたい 社会 》
 「働ける人はたくさんいるのに、働けない社会になっていっています。」〔p.229〕
 「そうなると、働かなくても生きていくのに必要な資源が得られるように、分配の仕組みを変える、強化していく必要が出てきますよね。
 労働が奪われるのではなく、労働から解放される--こういう方向に社会全体が家事を切らないと」
 「働かなくたって生きていていいんだ、とならないと。」
 「『働かざる者食うべからず』、怖いですよね。そんなにみんな労働したい? 私はやりたいことだけやっていたいです。」
 「それはわがままな主張ではありません。困っている人にきちんと分配される社会であれば問題ないわけです。」

※ この(未来)社会論は、刺激的で新鮮に思いました。
  「働くことが人間の本質だ」と、誰かの声が聞こえる気がする。


《 「まぜこぜ」 ゆるい連帯 》
 「『仲間なんだからしょうがない』」                〔p.230〕
 「面倒なことに対して諦めて付き合う覚悟のようなもの」
 「『仲間』という言葉
  同じ環境に属している者同士のゆるい連帯のこと」
 「腹を括って付き合い抜く宣言になります。」
 「個人よりもグループが優先されてはいけないからです。
  グループを守るために個人が犠牲になるという状況が生まれてしまったらグループは潔くたたむ」
 「国家や社会が個人より優先されるようなことがあってはいけない。」
 「どの民間の活動も、グループを優先した瞬間に堕落が始まる。」

※ リベラリズムの真髄ですね。

※ というように、熊谷晋一郎さんは、以前の『世界』でやまゆり園の事件で鋭い発言をしていましたが、また、深く学ぶことができました。
 東ちづるさんというのは、顔はテレビで知っていましたが、こんなに深く考え、行動している方だとは知りませんでした。
  『世界』が、また、私を、刺激してくれました。

コメント
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