大西みつぐ著、平凡社新書159
型にはまった写真撮影のテクニックに捕らわれず、日々の感覚を生かしてスナップショットを撮ってはどうか、との提言です。著者はプロの写真家なので、撮ろうと思えば立派な写真が撮れるけど、そうじゃない、と言っています。生活している時に、あれっ、と感じたものを撮ればよろしい。無理に意味づけなど必要ない。そうした、気軽に写真を撮ることの勧めです。
文中、「スナップショット」という . . . 本文を読む
曲亭馬琴作、小池藤五郎校訂、岩波書店刊。
昨年、古本のフリーマーケットで手に入れた昭和46年発行の文庫本10冊の内の第1巻です。確か1,000円であったと記憶しています。第一版は昭和12年です。かつて、知人の編集者から聞いた所では、戦前に発行された本は、全ての漢字にルビが振ってある。何故なら、大人でも子供でも、教育の高低に関わりなく読書ができるように、という啓蒙思想があったのだそうです。本書のその . . . 本文を読む
宇江佐真理著、横浜カセット文庫発行。
「深川恋物語」の一編です。このシリーズの中では作風もストーリーも少し異なっているように感じました。十分長篇になりうる内容を短編に圧縮しているように感じます。台詞回しなどがごく少なく、状況の変化や登場人物の心理を、解説風に書き記しています。主人公の大工の女房のお新は、小さい頃から好きな絵を描きでしたが、頼まれて玩具に絵を描いて収入が増えます。夫婦に余分なお金が入 . . . 本文を読む
クマグスの森(松井五著、新潮社 とんぼの本)
学問と情熱:南方熊楠(紀伊國屋書店):ビデオ
内田春菊さんの「クマグスのミナカテラ」で、南方熊楠に俄然興味が湧き、ビデオを観て本を読みました。
『ミナカテラ』とは、熊楠が発見した粘菌の学名だそうですが、そのことは、今回のビデオと本で分かりました。若い時分から南方熊楠の名前は聞いていましたが、熊楠の大学予備門での同期が夏目漱石、や幸田露伴だというので、 . . . 本文を読む
私はアトピー体質で、子供に遺伝しました。特に長女は酷かったので、かわいそうでなりませんでした。彼女が小学生の頃、ニュースステーションでステロイドの副作用を過大に報道したのを見て、ステロイドの塗り薬を使わないで、長女の症状が酷くなってしまって、本当にかわいそうなことをしてしまいました。
アトピー体質の特徴は乾燥肌にあるので、入浴後に保湿剤を塗るなどで予防できますが、大事なことは、ステロイド剤がかゆみ . . . 本文を読む
勢古浩爾(こうじ)著、PHP新書。
勢古さんの本は面白い。最初に読んだのが「まれにみるバカ」でした。その破壊力は「うるさい日本の私」の中島 義道さんに近いと思います。ご両人とも相当に変人です。そして私は変人が好きです。多分(間違いなく)私も変人だからかもしれない。
本書は「自分に酔う」ことを肯定しています。その上で、酔いすぎるのは見苦しいと言っているのです。私も思い当たる場面が多々ありました。例え . . . 本文を読む
柴田錬三郎著、新潮CD。
昔、市川雷蔵とう役者がいました。私がほんの小さい頃、時代劇の映画で見ました。「大菩薩峠」や「眠狂四郎」という映画であったと思います。痩せていて目に特徴がある俳優で、子供だった私には、その魅力がさっぱり分かりませんでした。(恐らく今も分からないかもしれませんが・・・)
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URL = . . . 本文を読む
新田次郎作、新潮CD。
「強力伝」と合わせて単行本に収められ、その後、「八甲田山死の彷徨」に結実したとのことです。(以下のURLから)
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URL => http://myn.north-tohoku.gr.jp/kodawari/db03-m002-t013.ph . . . 本文を読む
新田次郎著、新潮CD
新田さんの作品は、この作品以外に「孤高の人」を読みました。両作品とも、新田さんの初期の作品のようで、登場人物の描き方に共通点があります。両者とも、自分自身の中に生きる道しるべがある。他と交わることを拒否しているのではなく、自足している。「強力伝」は1955年に発表されたそうです。私が生まれた一年後でした。だから、半世紀前の作品ですが、今も色褪せていない。人が自らの内面を見つめ . . . 本文を読む
星新一著、新潮社発行。
高校生から二十歳位までの間、SF小説にのめり込んでいました。日本人の作家では小松左京、光瀬龍、眉村卓、筒井康隆、そして星新一。それぞれに味わいがあって良かった。星さんはショートショートと題した短編集の書き手として既に高名でしたが、今回、「ノックの音が」の中の四編がCDに収録されているのを聞きました。
●しなやかな手 ●和解の神 ●なぞの女 ●金色のピン
です。
どの作 . . . 本文を読む
藤沢周平作、新潮CD
身ごもった女房を病で失った鍛冶職人の嘉吉は、生きる意味を失いすさんだ生活に落ちて行く。ある日、いつものように盗みに入る段取りを終え、稲荷の境内で雨をやり過ごしている。同じように、何組かの人々が通り掛かって、それらの人々の人生の断面を目撃する。盗みを始めようとすると、次の人が・・・。そうして、再生の光の中へ・・・。
藤沢さん独特の、少し湿り気を帯びた、淡い情感に満ちた作品です。 . . . 本文を読む
内田拡広由紀著、視覚デザイン研究所刊。
Webで使用する写真をデジカメで撮る際の注意点や工夫を、実例を挙げて示しています。かつて、写真は一発勝負の技術でしたが、デジカメが普及し、レタッチソフトが使いやすくなっている現在では、本当に身近になりました。私は、公私ともにデジカメを持ち歩き、気になった場面や対象を撮っています。デジカメの性能が上がり、「オートモード」で撮れば、自分の腕は余りカンケーないので . . . 本文を読む
さだまさし編・朗読、新潮社カセットブック発行。
A面には宮沢賢治、B面には井伏鱒二の詩集が収録されています。そして、B面の最後には井伏鱒二さんとの対談が収録されているのです。ビックリしたなぁ。1993年(平成5年)まで存命であったのでした。世に名高い名文で、確か中学の時に短い文章を読んだ記憶があります。水道の蛇口から水のしずくがぴっちゃん、ぴっちゃん、と落ちている描写が含まれていたと記憶しています . . . 本文を読む
大塚将司著、講談社刊。
「黒い霧」という言葉は、昭和50年当時に使われたなぁ、と思いネットで調べたら下記のURLに情報が。
当時は、「黒い霧」という言葉が多用されていたように思います。その言葉が著作に使われたのは、著者が様々なことを考え合わせ選び取ったことが、読み終えて分かりました。
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内田春菊画、山村基毅原作、新潮文庫
内田さんの作品は、全く初めて読みました。東京電力の「でんこちゃん」が内田さんの作品であったとは。このマンガは、他の人の原作を得ての、初めての作品なのだそうです。そして、明治時代なので、描くのに苦労したと思います。まぁ劇画と異なり背景がほとんど描かれていないのですが、登場人物の個性や役割を考え抜いて描いているように感じました。沢山の人物が出てくるので、それぞれを描 . . . 本文を読む