何となくさすがに惜しき命かな
あり経ば人や思ひ知るとて
西行
新古今集 13-1124
春の花は恵みを一杯に受けて、幸福そのもの、悲しみのかけらもなく散って行きます。
同じ西行の
ねかはくは花のしたにて春しなん
そのきさらきのもちつきのころ
山家集
も、その溢れるような幸福感のなかで死を迎えたい彼の気持ちなのでしょうね。
でも、秋の紅葉は、だんだんと力を失っていく太陽を見詰めながら、それでも一生懸命その光を吸って、生きる努力をして、その気持ちを残したまま果てていくのじゃないでしょうか。
冷たい大気に身を削られながらも、それでも透明感あふれる惜別の気持ち、、、
そんなことを考えるのは、歳をとった証拠なのでしょうね。
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ところで、トップの詩。
とにかく命を大切に、生きながらえていれば、私の切ない胸の内が思う人に伝わることもあるかもしれない、、、、
だから、命は大切にってこと。
若い人が言うのなら聞きたくもないけど、
歳をとってくると自分の命ってそんなにおおごとではなくなってくるのですよ。生きるってことのほうがもっと大変なんですから。
でも、そんな人がこの詩を詠っているのです、考えてみようって気にもなりますよね。。。。