このテーマについては、NHKの番組で受けた印象があまりにも強かったので、直後に書いたもので、門外漢に等しい私はそれ以上触れることは思っていなかった。
ところが二人の方からコメントを頂き、しかも囲碁論議に発展しており、「中韓の棋士の強さ」と秀行先生とのかかわりについて思い出したことがるので書き添えておく。(コメントに対する私の感想は、同欄にコメントした)
NHKの番組でもあったように、秀行先生は中国に何度も出向き同国の棋士たちを指導したようだ。そしてめきめき強くなる中国の棋士たちに日本が勝てなくなったことを嘆いた日本棋院の連中が、「秀行先生が相手に教えるからだ。先生は敵に塩を送っている」と非難したという有名な話がある。
それに対して秀行先生は、「馬鹿野郎! そのようなケチなことを言っているから日本は勝てないのだ!」と一喝したとも聞いている。
そこに藤沢秀行と言う人間の大きさがあったのではないか? 秀行先生は国の差別なく教え、その中での「強烈な努力」(最後の病床で弟子に書き残した言葉)で、技術だけでなく人間力そのものを高めた棋士が勝ち抜き、それこそが囲碁界全体の水準を高めることだと信じていたのだろう。
日本は今後も「絶対に中韓に勝てない」と言う人もいるが、私は、藤沢秀行の言う真の意味での「強烈な努力」をする人間なら、日本人であろうと世界のどこの国の人間であろうと、強い棋士になれるのではないかと思っている。