旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

「名古屋純米酒フェスティバル」から得たもの

2009-07-15 16:37:19 | 

 前回書いたように、名古屋での初めての試みは成功したと思っている。250人の参加者は、整然と楽しく純米酒を味わっていただいた。人数的にもちょうどよく、参加者は蔵元とも十分に話し合いながら酒を楽しんだのではなかろうか。

 23蔵の出展を頂いたが、そのうち地元から6蔵出展いただいた。岐阜県から揖斐川町の「房島屋」、中津川市の「三千桜」、恵那市の「女城主」、愛知県から安城市の「神杉」、常滑市の「白老」、それに三重県鈴鹿市の「作」(いずれも銘柄)の6蔵である。
 これらの蔵からは、もちろん山田錦を使用した酒も出されたが、五百万石の酒も多く、また、“にしほまれ”(房島屋)、“愛山”(三千桜)、“ひだほまれ”(女城主)、“若水”(神杉)、“自社若水”(白老)、“神の穂”(作)など、地元米や工夫を凝らした米を使用した酒が出品され楽しかった。全ての酒をじっくり味わう時間は無かったが、いずれも実に個性的な味わいを持つ酒で、「これぞこの地の酒」と名古屋で開いた意味を噛みしめた。
 今年は3月に、「而今」、「奥」、「滝自慢」、「九平次」さんと三重、愛知の蔵を回り、今回また前記6蔵の個性ある酒を飲む機会を得て、中部圏の酒の底力を感じた思いだ。このような基盤が、“よき酒仙”250人の参加者を生み出したのであろうと思った。
 やはりその地に出向かなければ分からないことが多い。このような会を全国あちこちで開ければよいのであろうが、なかなかそうもいかない。今後のあり方を検討しなければならない。

 そのほか面白かったのは、フィリップ・ハーパーさんの作った「玉川自然仕込(Time Machine)」と「龍力特別純米“雄町1999”」だ。前者は、88%精米の“いせひかり”を蔵付酵母で醸した酒で、日本酒度マイナス72度という超々甘口の酒だ。昔の造り方で造ったというハーパーさんのすすめで飲んだが、甘いが透明感もあり、数年か10年ぐらい寝かせたらすごい酒になるのではないかと思った。
 後者は、ちょうど10年前の酒で、10年目を迎えた純米酒フェスティバルを祝う酒にふさわしく、これまた日本酒度マイナス1と甘口で、10年のエイジングの効いた旨口酒であった。日本酒もいろんな工夫が生きてくる時代を迎えつつある。
 
(注)写真は三千桜蔵元と、お酒の研究者でもある名古屋産業大学の和泉教授

                            


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