トルコの酒については既に書いた。10月1日付の「24節気の酒 秋分」の中で書いたので、カテゴリーは「酒」となっている。だから「トルコ紀行」としての紀行文の中には含まれていない。中身からすれば「旅」のカテゴリーとすべきであろう。
そこで、トルコの酒について若干つけ加えておく。
まずワイン。 エーゲ海と地中海に西と南を囲まれたトルコは、温暖な気候に恵まれ世界有数のブドウの産地である。今回の旅行まで知らなかったが、トルコのブドウ栽培面積は、スペイン、フランス、イタリアに次いで世界第4位ということだ。ただ、酒を禁じるイスラム国であったことから、大半のブドウは食用とされワインの生産量は「世界1位のイタリアの約188分の1、世界16位のルーマニアの約10分の1」(Wikipediaより、2005年のデータ)と微々たるものだ。
しかし、ワインの歴史から見ればその発祥の地ではないかと言う説もある。何度も書くように、メソポタミア文明を育んだチグリス、ユーフラテス川の源流の地であるので、私はワインの発祥地の一つはトルコであると信じている。Wikipediaも「B.C.4000年頃にアナトリア(トルコ中央内陸部)でワインが造られていたと伝えられている」と書いている。
アンカラに1929年設立されたとされるカワクリデレ社の『CANKAYA』などを飲んだが、これも既に書いたように、酸味の強いフランス系ワインより甘みを活かしたドイツ系ワインで美味しかった。近時トルコワインの人気が高まってきていると言うが、今後伸びてくるのではないか。
ところが、トルコ人が一番飲んでいるのはワインではなく「ラク」という蒸留酒だ。近代トルコの国父ケパル・アタチュルクもこれを愛していたと言うし、わがガイドフラット氏もビールかラクを飲んでいると言っていた。45度とアルコール度が高く、水で割ると白濁するので「ライオンのミルク」と呼ばれている。ブログ『トルコ食材大全』によれば、ブドウを醗酵させ蒸留し「アルコールド95度程度の液体にエチルアルコールを混ぜ、水で薄め、アニスを加えて再び蒸留する。わずかに砂糖水を加えて薄めたものを一ヶ月寝かし、フィルターで漉して瓶詰めにされる」となっている。
どこの国にも、その国の食材を使った醸造酒(ワイン、ビール、清酒など)があり、それを蒸留したスピリッツ(ブランデー、ウィスキー、焼酎など)がある。それが水で割ったり好みに合わせて飲まれるのである