旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

先輩の傘寿を祝う

2009-11-14 16:17:38 | 時局雑感

 昨夜は、M銀行時代の先輩S氏の傘寿を祝う会に出かけた。このところ書き続けているトルコ旅行の同行者K氏も80歳で、K氏は「長期の海外旅行はこれが最後になるだろう」と言いながらの旅であった。80歳も最近は珍しくなくなったが、それでも、人生における大変な到達点で、知友が集まって祝うに足る年齢であろう。

 昨日の会で特筆すべきは、実に明るい会であったということだ。私も74歳にもなったので、いろんな集まりは老人の会が多い。何歳以上を老人と言うかは今や難しいが、まあ、60歳以上は一応老人と言うことになっている。
 昨日の会は約20人が集まったが、最高齢が祝ってもらうS氏の80歳で、次が私の74歳を含め70台が数名、65~70歳が大勢で若い人で60前後と思われるので、まあ立派に老人の集まりであろう。
 このような集まりとなると、話題はほとんど病気の話と人が死んだ話である。せいぜいいい話と言っても若きころの昔話で、その対象は明るいのであるがそれを懐かしむ話しぶりは一般に暗い。暗い話ばかりのために会費を出して行くのもつまらないので、最近は極力参加しないようにしている。
 
ところが昨夜の会は明るかった。病気の話も死んだ話も出るには出たが暗くはなかった。なぜだろう・・・? としきりに考えたのだが・・・

 実は昨夜集まった人たちは、若いころ組合活動に参加していた人たちである。しかもその中で文化活動を中心にやっていたいた人たちだ。S氏はその中のリーダーであったし、今でも地元で年金活動などをやっている。他の参集者も、何らかの形で今も文化活動などを進めている人たちだ。
 M銀行の組合は「大銀行の組合」といういわゆる御用組合の中では、当時比較的民主的な組合で、特に幅広い文化活動を展開していた。労音、労演、うたごえ活動や、演劇サークルなど様々な活動を進めていた。

 私は「これだ!」と思った。若いころ組合活動を通じてともに語り合った夢を、この人たちは今も持ち続け、あるいはその活動に今も携わりながら生きているのだ。その明るさが、老人の会を明るくしているのだ。
 いくら御用組合といえども、組合である以上「明るい未来」を求め夢を語り合った。特に文化活動はその典型のようなものだった。

 あの人たちは、未だ夢を求め続けているのだ・・・、私はこうつぶやきながら、雨の夜道の家路をたどった。
                           

 


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