旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

三陸海岸縦断の旅③ ・・・ お菓子より景観に魅せられた“スイーツ列車”

2010-09-17 14:55:58 | 

 

 久慈から普代までが、このツアーの目玉商品のひとつ“スイーツ列車”。
 実は事前に日程を見たとき、このスイーツ列車だけは余分だと思った。若い女の子やご婦人方は喜ぶのだろうが、なにも東北の果てに行ってまでお菓子を食べることもなかろう、とこの部分の企画には不審を抱いていた。しかしそもそもこのツアーのテーマが『往復とも新幹線グリーン車で行く三陸鉄道「スイーツ列車」と三陸海岸縦断3日間』というものだ。そこまで力を入れるのなら、私にはお菓子の代わりに、純米大吟醸とは言わないがお銚子の一本でもつけてくれないか、と言いたかった。どうしてもお菓子というのなら、せめて“ウィスキーボンボン”ぐらいにしてくれとも思っていた。

  
      

 ところがこの列車は中々のものであった。美しく飾られた食堂車で、天井のシャンデリアも洒落ていて結構な雰囲気だ。席も左側の海岸線の見える席が用意され、若いトレインアテンダントがコーヒーとケーキをサービスしてくれる。ケーキも先ず和菓子が運ばれ、しばらくして洋菓子モンブランが出てきた。コーヒーをお変わりしながら大きなモンブランを食べたら腹いっぱい、和菓子はカバンにしまって持ち帰る始末だ。

       

 それよりも、私が感動したのは車窓を流れる景観の美しさだ。進行方向右側は山間が続き、北東北の山の奥深さを感じさせ、左側は松を中心にした緑の間をぬって次々と美しい海岸線が現れる。山の中腹を走る列車から眺める太平洋は、眼下に広がってどこまでも広い。

  

 ここでもまた好天に恵まれたことに感謝した。冒頭に書いた「台風9号の粋な計らい」のお陰で、快晴の下に輝く樹々の緑と太平洋の青い海原を満喫した。そしてこれはやっぱり、純米大吟醸ではなくコーヒーとモンブランのほうが合うのか、と企画者の慧眼に頭を下げた。
 「不思議の国の北リアス」線は、文字通り、不思議の国を旅する心地を与えてくれた。スイーツを強調するのもいいが、もっと「不思議の国の北リアス」という言葉を強調したらどうか? などと思えたのだが…。


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