西暦2010年10月13日午前零時(チリ現地時間)。
後世の歴史家はこの日をどう書き記すのであろうか? 世に奇跡といわれる事柄は多いが、これほどのことを記憶していない。700メートルの地下に閉じ込められて69日後に救出される・・・、しかも33人という多くが全員元気に救出されるとすれば、世界はこの快挙を喜び合い、自らの到達点に確信を持つべきであろう。
そもそも、事故発生が8月5日で、その生存が確認されたのが同22日、すでに17日が過ぎていたのである。救援隊がプラスチックの筒を地下700メートルに通し、それが生存者たちに届いたこと自体が私には奇跡に思える。しかもそれに巻きつけた「手紙」が地上に届き生存を確認した…、などと言うことは想像を絶する。
しかもそれから、生存を助けながら掘削を始めて、50日をかけて救出した……
私は、今現在(10月13日21時30分)、8人の救出を知ったばかりである。まだこの救出活動は続く。そして必ず全員の救出を遂げるであろう。
ニュースは、32番目の救出者は事故後に地上で「希望(エスペランサ)」と言う名の赤ちゃんを産んだ女性のご主人で、最後の33人目は、全員を指導してきた鉱山経験30年を越えるリーダーとなることを伝えている。リーダーは、前進する時は先頭に立ち、退却する時は全てを始末して“しんがり”を勤めるのである。
しかしリーダーは必ず帰還するであろう。だって、その前を「希望」が上り行くのであるから。