猛暑が続いている。どうも今週いっぱいは続くらしい。この暑さの中でみんな何を飲んでいるのだろうか?
さぞかしビールが売れているだろうと思うのだが、そうでもないらしい。毎日新聞によると、「ビールは苦い」と考える若者の「ビール離れ」もあって、「ビール大手五社による2013年ビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)の国内総出荷量は548万8999キロリットル…これは前年比1・0%減と9年連続で過去最低を更新中で、ピークだった1994年から25%も減った」(先日の毎日新聞『けいざい(因数)(分析)』欄)とある。
しかも、その総出荷量の中身が問題だ。「13年のビール類出荷の酒類別構成は、ビールが50・0%、発泡酒が13・5%、第3のビールが36・5%」(同前)となっている。つまり本来のビールは出荷量全体のうち50%でしかないのだ。
その本来のビールなるものも、元祖ビールとも呼ぶべきドイツビールなどに比べれば怪しいものだ。ドイツは「麦芽、ホップ、水以外のものを加えたものはビールと認めない」という『ビール純粋令』を未だ守っている国であるが、日本のビールの大半は、麦芽、ホップ以外に酒税法の認める副原料(米、とうもろこし、こうりゃん、馬鈴薯、でんぷん、糖類、着色料としてのキャラメル)が加えられている。
しかし「副原料の合計が麦芽の重量の100分の50を超えないこと」と制限を設け、辛うじて「本来のビール」の面目を保っている。発泡酒はこの麦芽比率50%に満たないものであり、第3のビールに至っては麦芽も使用せずエンドウや大豆のタンパクやトウモロコシを原料としたものだ。つまり「ビール風アルコール飲料」なのだ。
日本人は「いかさまビール」を飲んできたのだ。税率の安さ(350ml缶の税率はビール77円、発泡酒47円、第3のビール28円)を利用した低価格に惹かれてビールもどきを飲んできたのだ。90年代から進んだ貧困化がそれに拍車をかけたと思うが、美味しくないビールはやがて消えゆくしかないのではないか?
猛暑を凌ぐには、水が一番いいのだろう。