事前の予想通り、オバマ民主党は歴史的大敗を喫した。6年前に「チェンジ」を掲げてさっそうと登場した姿は見る影もない。何故かくも無惨に負けたのか?
民主党は2008年経済危機(リーマンショック)からの経済の立ち直りを強調した。過去4年半で1千万以上の雇用創出、大統領就任時10%であった失業率の6%を下回るまでの改善…、通常ならこれだけの経済効果はかなり説得力を持ったはずだ。
ところが世論調査では、経済状態が「悪くなっている」、「変わらない」と答えた人が70%を超えたという。経済指標では改善したはずだという数字が出ているが、国民一般にはそれが行きわたっていない。日本にも聞いたような話がある。「株は上がった」、「企業も儲かってきた」、「賃上げもやった」…と政府の掛け声は高いが、一般国民には「実感がない」、「大企業だけで中小企業や下々まで浸透してない」。
日米の現象を同一に論じることはできないかもしれないが、その底辺には、新自由主義政策による「格差の拡大」、「中間層の崩壊、貧困層の拡大」という現実があるのではないか? アベノミクスもオバマの経済政策も、経済を活性化させようとするが、その成果は大企業や富裕層にもたらされ、広大な貧困層には及ばない。
安倍首相はそんなことには気が付いていないだろうが、オバマはそれに気が付いていたのかもしれない。だから彼は、「最低賃金の引き上げ」、「「格差是正」を政策に掲げた。しかし共和党の抵抗もあって実現に至っていない。この公約違反では、国民の支持を維持することはできなかったであろう。
公約未実現と言えば「核廃絶」もある。就任直後、「核廃絶の世界を目指す」プラハ演説でノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領は輝いていた。その輝きはいつから消えて行ったのであろうか?
選挙結果を、「共和党が勝ったのではない。民主党が負けたのでもない。オバマが負けたのだ」と評する向きがある。もしそうなら、残る2年、オバマは本来の姿に立ち戻るべきではないか? 「国民生活の根本的向上」も「核廃絶」も、究極的には共和党も反対できない課題であるはずだから。