岩田達宗氏の演出による「小劇場演劇的オペラ」として取り組んできたミャゴラトーリ公演『リゴレット』が、好評のうちに終わった。この公演は、すでに書いてきたように『ラ・ボエーム』、『カヴァリエラ・ルスティカーナ』、『カプレーティとモンテッキ』に続く第4弾で、私は昨夜の公演を観て、小劇場演劇的オペラとしての岩田オペラが、一つの完成の域に達したのではないかと思った。
もちろん、彼らに「完成の域」なんてあるわけはなく、絶えず向上を目指していくのであろうが、そう思わせるほどの迫力と感動を与えるものが昨夜の公演にはあった。客席の一部と通路をフルに使った舞台と観客の一体感、臨場感、それを生み出す出演者の高質の歌唱力と演技力…、これらは、いわゆる通常の舞台オペラとは異質のものであった。久しぶりに感動で胸が打ち震える思いがした。
それを生み出したのは、独特の解釈による岩田演出と、それに応える歌手たち(含むピアニスト)の高い力量であったのだろう。これほどの実力者たちをよくぞ集めたものだと思った。中でもリゴレットを演じた須藤慎吾(バリトン)の歌唱力には驚いた。演技力も含め鬼気迫る迫力を感じた。ほか、全ての出演者がその持ち味を十二分に発揮した結果がこの感動を与えてくれたのであろう。
今後各方面のご批評をお聞きしたいと思う。何よりも既存のオペラ界の方々が、このシリーズをどう見ているのかを知りたいものだ。とりあえず、ゲネプロの写真をいくつか。