15,16日の後半をもって、全四日の公演を終えた。四日間とも満席で、大方の好評を得たようだ。前回も書いたように、岩田・ミャゴラトーリオペラも6回目を迎え、観客の層も広がり、しかも各層にそれなりの高評価を頂いているようだ。最終日の盛り上がりもすごく、カーテンコールはいつまでも続き、拍手は鳴りやまなかった。
私は四日間とも見たが、実に面白かった。主役の四人は二日ずつ交互に演じたが、特にアディーナとネモリーノについていうと、一組が高橋絵理さんと寺田宗永さん、二組目が吉原圭子さんと所谷直生さん。同じソプラノでも、高橋さんは強いソプラノ、吉原さんは繊細なソプラノに、私には聞こえる。またテノールでも所谷さんは強いテノール、寺田さんは繊細なテノールと思える。言わば剛と柔である。そしてこの剛と柔を組み合わせ「二組のアディーナとネモリーノ」で演じられたのだ。
その結果は、同じ原作、同じ楽譜により、同じ演出家と同じ指揮者が演じたのも関わらず、別の『愛の妙薬』を聴く思いがした。剛と剛、柔と柔の組み合わせはなかったが、もしやればまた違う『愛の妙薬』が生まれるのだろうか? 前回書いたように、大オペラハウスのものと小劇場演劇的オペラでは、同じ演題でも大いに違う。演出の仕方でかくも違うところに芸術の奥深さを感じた。
私の関係のお客さんもたくさん来てくれた。毎晩終了後、遅くまでいろいろと語り合った。またその後もお手紙やいろいろな贈り物を頂いたりしている。30年前に共に働いた古い仲間のToさんは、このところ仲間と共に毎年来てくれているが、すっかりテラッチ(寺田宗永)さんのファンらしく、その出演日に狙いを定めてきた模様。終了後、妙薬をかざしたネモリーノ(テラッチさん)と写真に納まると大変に喜んでくれた。
様々な形でオペラ愛好家が広まっていくことを願ってやまない。
テラッチさん掲げる愛の妙薬が、この3婦人に効きますように!