アメリカのクリントン元大統領が、交渉が難航している北朝鮮に突如(?)出かけ、同国に拘束されていた2人の女性記者を連れ帰った。このニュースが紙面をにぎわし、またその評価も多岐にわたっている。
外交といえば国務長官であるかあちゃん(ヒラリー・クリントン)の役割と思っていたら、元大統領のとうちゃん(ビル・クリントン)が出てきて、腰も軽々と北朝鮮を訪問し懸案事項の一つを解決した。
かあちゃんの方は、このところ「北朝鮮は駄々をこねる子供みたいだ」などと言って反発を買い、同国に「野暮なおばさんだ」というようなことを言われ、どうもうまくいってない。もちろん「制裁と話し合い」、「硬軟両面」が外交方針のアメリカにとって、かあちゃんのこの鼻っ柱も必要なのであろうが。
そこで、このところ好々爺風貌の増してきたとうちゃんが、「お前の強面(こわもて)だけではダメだ。女性を連れて帰るのは俺に任せろ」などと夫婦で話し合ったのかどうか知らないが(話し合ったとすれば、かつて女性問題を起こした夫に女性を連れ帰る役をよくも任せたものだが)、ここは一番、役割に任じたとうちゃんの訪朝となったのであろう。
北朝鮮にとって、2女性を解放するなどは面子さえ立てば痛くもかゆくもないだろう。相応の人間が出てくれば話し合う用意など常に持ってる国ですよ、ということを世界に示すことだけで十分である。ただ、核廃絶というカードは、少々の面子では手放さないだろう。そこが訪問の評価の分かれ目で、そのことは両国とも十分わかった上でこの手を打ったに違いない。
つまり、これから先に重要課題があり、まずその道筋をつけるために元大統領の出番があったのであろう。
それにしても「強面かあちゃん外交」と、「好々爺とうちゃん外交」を組み合わせるなど、アメリカさんも(と言うよりクリントンご夫妻もと言うべきか)なかなかやるもんですなあ。
09年8月6日(投稿が7日になった)