狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

「うらそえ文藝」による証言と手榴弾の論考

2009-05-14 08:05:19 | ★集団自決

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筆者の知人・友人の中にも『うらそえ文藝』を購読した人がおり、宜野湾市に在住のNさんから、次のようなメールを頂いた。

私はこれまで、沖縄県民の中でも名の通った言論人が、これほどメディアと左翼運動を赤裸々に批判した出版物を読んだ事がありません。星氏の心境に大きな変化を与えた出来事が有ったように読み取りました。
新聞社が急激な経営難になっている事も関わりがあるかも知れません。書庫に残すべき一冊です。S・N  

沖縄の閉ざされた言論空間に、大きな動きを感じ取るような感動が滲み出る一文です。 同誌を読んだ多くの県民が同じ感動を覚えることだろう。

 

以下引用は「うらそえ文藝」(2009年号)に掲載の「星雅彦ー集団自決の断層」よりの抜粋です。

大江・岩波沖縄戦裁判は、さらに教科書検定問題に連係していて、「検定意見撤回・軍関与事実の復活」などの決議案が全県民的運動として出ている。 それにケチをつけるつもりはないし、単に軍の「関与」であれば納得できる。 そこで、「集団自決」命令説への決め手とも言うべき「証言」と「手榴弾」について、筆者の見解を簡略に述べておきたい。 (略)

そこで証言について、証言は事実をことばで証明することであり、重要なポイントになる。 その事実がくせもので、どの事実がどこから出たかが問題だ。 今回の幾人かの証言者たちは、現場にいたわけではなく、二世三世的存在であり、その証言はすべて伝聞と推測で自分の都合のよい発言で占められている。 また、どんな記憶力のある当事者でも、60年も経過すると、発言が同じ言葉になるとは限らない。 (略)

(座間味村の場合ー引用者注)
要は村の幹部たちが30分もねばって手榴弾の要求をしたことに対して、堅く断った事実があるだけであり、彼らの懐にはその時点まで弾薬や手榴弾はまだなかったことを意味する。
それから証言の性質上、訊く人の立場やその雰囲気に証言者の反応は影響されやすいし誘導されやすい。 そうした諸事情から証人が前言を覆したり、張本人の発言を第三者が「虚言」と断言したりする。

星氏がいみじくも指摘するように、「集団自決訴訟」の証人は一審二審を通してほとんどが二世三世的存在であり、その証言の全てが伝聞と推定であることは論を待たない。

裁判に登場する体験者としての重要証言者を挙げれば被告側証人である金城重明氏と、原告側の知念朝睦、皆本義博両証人と控訴審で陳述書を提出した宮平秀幸氏ぐらいで他は全てが伝聞である。

時代は戦後になるが、照屋昇雄氏も別の意味で直接体験した証言者である。

そのうち金城氏は、直接に軍命を聞いていないし、手榴弾の支給も受けていない。

複数の被告側証人が裁判となって急遽前言を翻すのがこの裁判の特徴であるが、一審二審を通して裁判長が被告側の証言は全て受け入れて原告側証言を全て一方的に「虚言」と断言する態度も不可解である。

少なくとも体験者としての唯一の被告側証人である金城重明氏は軍命を直接聞いていないし、軍命の根拠とされる手榴弾も受給されていない。

一方、数多くの体験者がいる原告側の証言は全て「虚言」として退けられている。

秦郁彦氏が指摘するように裁判長が大江健三郎の虚名に怯えたか、被告側の「沖縄県民を敵に廻す」といったイメージ作戦に怯えたというのが正鵠を射ているのだろう。(『沖縄戦「集団自決」の謎と真実』php研究所刊)

座間味村で村の幹部が本部壕を訪ねて梅澤隊長に「手榴弾等の武器を支給をせよ」と談判する有名な場面が論議の的になっているが、

この場面の唯一の生存者(後に宮平秀幸氏が名乗り出る)と思われていた宮城(当時宮平)初枝氏の証言を娘晴美氏が出版物で公表し、

裁判直前に前言を翻したことは有名だが、これに関連し、『うらそえ文藝』で星氏と上原氏は各々見事な表現で軍命説を否定している。

上原氏の論考は後に譲るとして、星氏は例の有名な場面の余分な修飾表現を削り取って次のように論考している。

要は村の幹部たちが30分もねばって手榴弾の要求をしたことに対して、堅く断った事実があるだけであり、彼らの懐にはその時点まで弾薬や手榴弾はまだなかったことを意味する。>

このシンプルな表現は次の二点に凝縮される。

①梅澤隊長は手榴弾支給の要求を拒否した。

②村の幹部達は手榴弾を持たずに談判に来て、梅澤隊長に拒否され手ぶらで帰った。

何とか「梅澤軍命説」を造り上げようとする被告側もこの2点は否定することは出来ない。

だが、たったこれだけの事実から、被告側の言う「手榴弾を二つ支給され一つは自決用だといわれた」⇒「手榴弾支給が自決命令だ」という論理は脆くも崩れ去ってしまう。

星氏の「手榴弾軍命説」に対する反論は次のように続く。

手榴弾について裁判では、日本軍から受け取ったということで「軍の関与」ということになっている。 日本兵と言うが現地召集の防衛隊員であることは、筆者が40年前に調査したときに判明している。 防衛隊員たちは軍から貴重な軍から貴重な武器を受け取ったときに、一個は敵に一個は自決用と提示したとか。当時15、6歳だった男性二人は、弾薬庫から数個の手榴弾を盗んできた話をしていた。 しかし一個しか爆発せず後は不発だったという。 彼等は数少ない手榴弾を家族の自決に採用したのだ。 注意すべきことは、手榴弾は自決に使用できるが、即自決命令の実現に連係するとは限らないということだ。 もう一つ、住民が防衛隊に誘導されながら、死ぬ覚悟で玉砕場を探して移動したそのとき、住民の中にはそれぞれ風呂敷などの中に、小刀、カミソリ、猫いらず、帯や紐など、手には手榴弾、棍棒、鎌、鉈、斧など農具とはいえ自決の道具になるものを持参していた。偶然とは思えない。 出発のときから住民は、混乱状態の中でも潜在的に死ぬつもりであったと考えられる

「軍命令」を示す証拠が一つもない被告側が、唯一軍命の根拠にしている「証拠らしきもの」が手榴弾の存在である。

「手榴弾軍命説」は再三論破されつくしているし、当日記でも別の角度で取り上げてあるので詳しくはそこに譲るが、

手榴弾軍命説を最初に言い出した富山眞順氏も上記文で星氏が指摘する防衛隊員であった。

「手りゅう弾軍命説」の破綻!兵事主任富山真順の悲しい嘘

防衛隊員たちは軍から貴重な軍から貴重な武器を受け取ったときに、一個は敵に一個は自決用と提示したとか。当時15、6歳だった男性二人は、弾薬庫から数個の手榴弾を盗んできた話をしていた。>(「うらそえ文藝」)

これだけでも「手榴弾軍命説」が強引なこじつけであることが明白であり、手榴弾で死んだ住民の理由の全てである。

筆者(狼魔人)も梅沢隊長の伝令をしていた座間味在住の宮平秀幸氏に当時の状況を何度か話を聞く機会があったが、

住民の壕の近くに弾薬保管庫があり、その気になれば誰でも手榴弾を盗むことが出来る状況だったと証言している。 

これは星氏が40年前に聞き取りした「手榴弾を盗んだ」という二人少年の話と符合する。

梅澤隊長は弾薬保管の不備の責任を問われることがあったとしても、それが自決命令とは関係なく、全ては後付の強引なこじつけ論であることがこれら「手榴弾窃盗証言」で証明される。

手榴弾は防衛隊員として受給したり、弾薬庫から盗んだりしたが、彼等は数少ない手榴弾を家族の自決に採用したのだ。

これが集団自決における手榴弾使用の真相である。

                  ◆

沖縄の言論界は左翼勢力に占拠されていることは再三書いた。

沖縄では活字のあるところに左翼が集うと言われるとおり、これまでの『うらそえ文藝』もご多分にもれず「左翼文士」が数多く寄稿している。

今年の号でも、琉球新報の会長や左翼の巣窟「1フィート運動の会」の会長が寄稿しているが、

何より興味深いのは左翼詩人・石川為丸氏が「樹の宿題・詩を書くということ」という小論を寄稿していること。 同論は「集団自決」には関係ないが、石川氏は曽野綾子さんが『ある神話の背景』を発刊した後、【「集団自決」論争】にかこつけて、曽野氏を批判というより感情的に罵倒するような文を『EDGE』という左翼雑誌に発表していた。

それが、これ↓

『ある神話の背景』の背景  〈神話〉を作る身振りと〈事実〉へ向かう姿勢

石川氏が『うらそえ文藝』の「集団自決特集」を読んだらさぞや驚天動地の感にうたれたであろう。

沖縄には石川氏の論調を掲載するメディアは数多くあるが、出来たら新聞か少なくとも『うらそえ文藝』で発表して欲しいものである。

関連エントリー:

コメント欄がオモシロイ⇒【「集団自決」論争】

旧軍人と住民の交流 続々・たかじんの「集団自決」

                   ◆

 

        ■田母神沖縄講演会のお知らせ■

 

 講演会の詳細はここ。

 

講演会後、引き続き食事をしながら田母神さんを囲んで懇親会を催します。

是非お気軽に参加ください。

 

【懇親会】

【日 時】平成21年5月30日(土)        

              午後2時受付 午後2時30分~午後4時閉会

 

【会 場】パシフィックホテル沖縄 珊瑚の間

                   那覇市西3丁目6番1号  電話 098(868)5162

 

【会 費】5,000円

【主 催】田母神俊雄講演会を歓迎する沖縄実行委員会

 

連絡先】沖縄実行委員会 担当 錦古里

              電話:090-9780-7272  FAX:098 (868) 3037

 

※出来ましたら上記に前もってご予約頂ければ幸いです。

 

 






 

 

 

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