狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

普天間のバーターにされる教科書検定

2009-11-20 07:11:46 | ★集団自決

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■「教科書検定意見撤回」とバーターにされる普天間移設

「普天間基地移設」の焦点は次の二点である。

(1)迅速な結論と (2)日米間の合意(辺野古)。

そのうち(1)は17日の閣僚級作業グループの話し合いで煮詰まってきた。

迅速な結論で一致 普天間作業グループ初会合

鳩山由首相は同日夕、記者団に対し、作業グループの結論を「一番重い決断として受け止める」と表明しているので、残る懸案の移設先を辺野古と決めれば一件落着である。

辺野古決着の場合、期待を持たした「県民の怒り」を、鳩山首相はどのようになだめるか。 

どう落とし前をつけるのかが残された重大案件である。

当日記は早くから辺野古決着のバーターとして、「政治主導」が看板の鳩山政権は「教科書検定意見」の撤回を持ち出すのではないかと危惧していたが、いくら民主党でも「まさかそこまではやるまいとたかをくくっていた。

ところがらそのまさかの坂を越えそうな空気になってきたので驚きである。

■タイミングを見た国会質問

「普天間移設」が辺野古で煮詰まってきた頃合を見計らうように、沖縄選出の瑞慶覧長敏氏(民主)が国会の場で、集団自決における軍命の有無に関連する教科書検定意見の質問をした。

これに対する川端文科相の答弁に呼応するように沖縄タイムスが大騒ぎを始めた。

予定の行動であろう。

昨日のエントリーで、民小党政権はシナ王朝の「易姓革命」に倣って前政権の全否定に連日現を抜かしていると書いた。

だが、いくら政治主導を看板にする民主党でも、よもや客観体、学術的検証が不可欠の「歴史教科書の記述」に関しては政治主導の及ばぬ案件だと考えていたのだが・・・。

沖縄タイムス 2009年11月19日 政治 

文科相「経緯は適正」 教科書検定/「集団自決」で認識【政治】

 【東京】川端達夫文部科学相は18日の衆院文部科学委員会で、高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」記述から日本軍の強制を削除させた検定意見について、「日本軍の関与がなかったことにしろ、という意見ではなく、誤解を招く可能性があるのではないかという有識者の判断として意見書が出された。適正な経過だと認識している」と述べ、検定意見の撤回には言及しなかった。瑞慶覧長敏氏(民主)への答弁。

 同省の高井美穂政務官は検定意見は「集団自決」の記述で日本軍の責任や関与を否定する趣旨ではないとした上で、「教科用図書検定調査審議会が最新の議論を踏まえ『軍の命令の有無は断定的な記述を避けることが適当』として検定意見を出し、発行者において(記述が)削除された」と経緯を説明した。

 検定撤回の検討を求める瑞慶覧氏の質問に対しては、検定は審議会が客観的、学術的に審議し欠陥を指摘することを説明し、「省としてどうこうする話ではない」との見解を示した。

 さらに、「日本軍の幼児殺害や、スパイ容疑を理由に住民が殺害されたことが多発したという事件については、検定意見は付されていない」と述べ、事実が確認される事象については削除などの検定意見はないことを強調した。

                     ◇

昨日の沖縄タイムスの一面を飾った上記記事で、川端文科相が述べた次のくだりは担当大臣としてはごく真っ当な発言であり、政治家の大臣が歴史教科書の記述に「どうこうする話」ではない。

《検定は審議会が客観的、学術的に審議し欠陥を指摘することを説明し、「省としてどうこうする話ではない」との見解を示した。》

文科大臣として非の打ち所のない立派な答弁である。

ところが同記事を受けた同じ日沖縄タイムス社会面の大見出しを見てビックリ仰天した。

官僚の言いなり■軍の責任は■不勉強だ

教科書検定・文科相発言

政権交代の意義どこへ

関係者から批判相次ぐ

2009年11月19日 政治 

政権交代の意義 どこへ/教科書検定・文科相発言 関係者から批判相次ぐ

官僚の言いなり・軍の責任は・不勉強だ

 「事実と異なる答弁で、官僚の言いなり。前政権と変わりない」「野党時代の民主党幹部発言はなんだったのか」。教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」記述から軍の強制を削除させた文部科学省の検定意見を「適正な経過」と評価した川端達夫文科相に対し、関係者からは批判が相次いだ。「直接、大臣に実相を訴えたい」。県民大会関係者は大臣が直接県民の声に耳を傾けることを切望している。

 「大臣も政務官も、官僚のごまかし説明をうのみにしている。まるで前政権と同じだ」。教科書問題に詳しい高嶋伸欣琉球大名誉教授は憤りを隠さない。

 1982年の教科書検定。高校日本史で「800人の県民が日本軍に殺害された」という記述が削除された経緯について高井美穂政務官は、「裏付け資料の提出を求めたが出ず、発行者が修正・削除した」と答弁。削除は教科書会社の意思との認識を示した。

 これに対し高嶋名誉教授は反論する。「記述が削除されたのは、著者らが提示した『沖縄県史』を『第1級資料でない』として検定官が退けたため。文科省の検定官側に責任があったことは明らか」とした。

 教科書執筆者の一人、坂本昇さん=東京都在住=は「『脱官僚』を掲げるわりに、官僚が作成した答弁書そのままを答えている」と批判する。教科書問題の解決に向け政権交代へ期待する声もあった。「国民目線の政治を言うなら、大臣は就任後、すぐにでも沖縄に足を運んで県民に謝罪すべき。それどころか大きく裏切られた」と怒りに震えた。

 「官僚の言いなりという点で前政権と変わりない」と指摘するのは「子どもと教科書全国ネット21」(東京)の俵義文事務局長。「検定意見は審議会に一任されており、文科省が関与していない」(高井政務官)との答弁に対し、「検定意見は省庁役人の調査官が作成し、局長らの印をもらって審議官に提出され、採択される。国会で堂々とうそをつくのは問題で、大臣や政務官は発言を撤回すべき」と厳しく語った。

 答弁を受け、「集団自決」の当事者からも落胆の声があがった。

 「政権が代わり期待していたが、これまでと同じ対応なのは残念」と話すのは、渡嘉敷村で「集団自決」を体験した吉川嘉勝さん(71)。「『軍の強制』という表現が誤解を招くというが、軍の責任をあいまいにすることこそ誤解を招く。11万人が集まった2年前の県民大会の重みを受け止めてほしい」と言う。

 県民大会実行委員会副委員長の玉寄哲永さん(75)は「大臣たちはあまりにも不勉強だ。もっと勉強してくれと言いたい」と苦言を呈する。「どうしても大臣に直接面会して、『集団自決』の真実や県民の思いを訴えなければいけない」と話し、実行委として大臣との面談を求めていく考えを示した。

                                             ◇

「政権交代の意義どこへ」だって?

いやはや、驚きを通り超してあきれ返る記事である。 沖縄タイムスは政権が変わったらシナ王朝の故事に倣って政治的権力を駆使し、

歴史を書き替えよとでも言うのだろうか。

さらに言葉を失うのは、署名入りの「解説」である。

ウェブ記事には載っていないが、「『脱官僚』なら検定撤回」という恥ずべき解説記事を参考資料として引用しておく。

県民の声に耳傾けよ

「脱官僚」なら検定撤回

【解説】

新政権発足から2ヶ月。川崎文科大臣はこの間、2007年の県民大会に表された県民意思や検定のやり直しなどを求めた民主党幹部の当時の発言をどう考えてきたのだろう。大臣答弁は、県民の目線や問題を精査した点が見当たらない。 うそを重ね検定制度を擁護する官僚の代弁に終始した前政権と同じでは、あまりにもお粗末だ。 
菅直人副総理(当時党代表代行)は「県民の思いを強く感じた」と延べ、政府や文科省に検定のやり直しを求める意向を示した。
鳩山由紀夫総理(当時党幹事長)は、談話で「集団自決(強制集団死)」は「日本軍による強制・誘導・関与等なしに、起こりえなかった」「(史実の歪曲は)県民にとって、到底容認できるものではない」とし。検定も「(文科省が)作成した原案を実質的・学問的審議もなく承認した」と指摘している。 これらの党幹部発言を受けて今夏の衆院選で民主党に一票を投じた県民も多かろう。 しかし今回の発言では基地問題同様、沖縄の期待がまた裏切られたという失望感を県民に抱かせた。 県民の望みは、沖縄戦の実相を正しく継承することだ。 政権が脱官僚を目指すなら、検定意見を撤回すべきだ。 川端大臣は県民の声に直接耳を傾け、歴史の実相を真摯に学び、なぜ国民は政権交代を望んだのか、真剣に考えたほうがいい。(社会部・安里真己)  

                                             ◇

>政権が脱官僚を目指すなら、検定意見を撤回すべきだ。

沖縄タイムスは政権が変わると前政権を権力で全否定する易姓革命に見習えと公言するのだから、「鉄の暴風」のウソを徹頭徹尾押し通すつもりなのだろう。

集団自決は隊長命令だったという神話を初めて活字でで流布させた『鉄の暴風』の出版社として、沖縄タイムスは自社が構築したウソの巨塊を必死に貫き通すため今や恥じも外聞もかなぐり捨て、「政治主導」で歴史を書き替えよと迫っているのである。

沖縄タイムスの日頃の印象操作記事を読むと、集団自決に関する「軍命の有無」に関しては、沖縄タイムスは現在四面楚歌の絶体絶命の状況にある。

先ず大阪高裁判決の判断では、原告敗訴でも事実上「軍命」は否定された。

教科書検定意見でも「軍命」が否定されたのは周知の通り。

そして、「政治主導」で「脱官僚」のはずの川端文科大臣の国会答弁も検定意見を支持している。

切羽詰まった沖縄タイムスの最後の頼りは鳩山首相の「政治判断」である。

「普天間移設」は辺野古でほぼ煮詰まった現在、タイムスによると鳩山首相は来月にも説明のため沖縄を訪問するという。

そのときの談話が注目されるが、おそらくは次のような言葉が予想される。

《県外移設を必死で模索したが自民党政権が合意した辺野古案を覆すことはできなかった。 県民の思いには別の形で答えたい。 一昨年の県民大会に集結した11万人の県民の思いを民主党は今でも忘れてはいない。》    

普天間基地の辺野古決着と「歴史教科書検定意見撤回」のバーター取引が宣言された瞬間である。

因みに一昨年の「9・29県民大会」(11万人集会)の正式大会名は、

「歴史教科書検定意見撤回を要請する県民大会」である。

           

沖縄戦「集団自決」の謎と真実
秦 郁彦
PHP研究所


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