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★「文末に【追記】があります」
「ねじれ国会」が始まった。
これまで「何でも反対」の民主党が、数々の自民党提出法案に反対してきた。
逆の立場の与党・民主党は、野党のブーメラン攻撃を恐れて物言えば唇が寒い状況。
野党への対応がやけに大人しい。
そんな中、大阪の「ネグレクト殺人」事件には衝撃だった。
筆者は同じ年頃の孫を持つだけに身につまされたのだ。
怒りのブログでも書こうと思ったが、気が重くスルーしていた。
いつもは当日記の批判の標的にされている沖縄タイムスが代わりに怒りの社説を書いている。
民主党のブーメランと、「ネグレクト殺人」事件との関係は後述するとして、とりあえず沖縄タイムスの怒りの社説を読んで欲しい。
もちろん今回は相手が沖縄タイムスといいう理由だけで、社説に異論があるはずはない。
・・・うーん、異論はないが、一言だけ文句はある。
これについてはブーメランに関連して後述する。
沖縄タイムス社説
[ネグレクト]姉弟のSOS、届かず
2010年8月1日 09時28分
「ママー、ママー」。室内のインターホンから、泣き叫ぶ子どもの声が聞こえていたという。部屋やベランダにはごみが散乱し、冷蔵庫は空。玄関や窓は閉め切られ、エアコンは動いていなかった。
大阪市西区のマンションで、3歳の女の子と1歳の男の子の遺体が見つかった事件。幼子を置き去りにし、死体遺棄の疑いで逮捕された母親(23)は、「ごはんをあげたり、お風呂に入れたりするのが嫌になった」「自分の時間が欲しかった」と供述しているという。
子どもを残し部屋を出たのは6月下旬で、「1週間ぐらいしてからは死んでるかもしれないと思っていた」とも話している。
ブログに育児の喜びをつづった時期もあったが、離婚などで生活状況が一変、孤立感が深まり、子育てにギブアップする状況が生まれたのかもしれない。
名古屋市の夫婦が十分な食事を与えず、長女(5)を衰弱させ意識不明の重体にしたとされる6月の事件でも、母親が同じような供述をしていた。
「仕事で疲れていて(育児が)面倒くさかった」「自分の自由な時間や夫との時間も欲しかった」
児童虐待の中で、子どもに食事を与えない、入浴させないなど世話を放棄する「ネグレクト」が目立ってきた。
「未熟」というより「無関心」。子どもに対する「共感性」が乏しい親に、どう向き合えばいいのか。これまでの虐待対応では追いつかない現実が浮かび上がる。
2008年度に全国の児童相談所が対応したネグレクト件数は1万5905件。身体的虐待の次に多く、虐待全体の37%を占めた。
身体的虐待と違ってあざや傷が残らないため発見が難しく、実態とは大きな開きがあるとみられる。身体的虐待からネグレクトに発展するケースも少なくない。
ネグレクトの原因は、望まない出産や孤立した子育て、貧困、育児に対するストレスなどさまざまで、その理由は身体的虐待と重なる部分も多い。
一方で、出産現場で指摘される気になる声がある。「汚いからとおむつ替えを嫌がる」「母乳を与えたがらない」など。
親であることと、親になることは違う。少子化で家庭の子育て力が低下する中、「親を育てる」という新たな課題にも取り組まなければならなくなった。
大阪の事件では、近隣住民が「異変」に気付きながら子どもの命が失われるという最悪のケースが、またも繰り返された。
虐待対応の中核となる児童相談所が子どもの安否確認を優先させるという原則を徹底していれば、と悔やまれる。
児童虐待防止法の施行から11月で10年。
少子化対策ばかりが強調される時代だが、生まれてきた子の幸せに軸足を置いた確かな政策が求められている。
「子どもの命」を第一に再出発すべきだ。
◇
社説の主旨には概ね同意する。
だが、社説は肝心なところにあえて触れていない。
この手の事件では周囲の人の通報が不可欠である。
が、その際親が責任を果たしていないと判断したら公的機関が、強権を発動し親権を剥奪すること、そして養護施設に預けることが最善の対処法である。
このような不幸な事件を未然に防ぐため、2004年、「児童虐待防止法」の改正案が国会で可決された。
その時、警察官の強制立ち入り権も含まれるはずだった。
だが、当時野党だった民主党が警察官の権限が拡大しすぎることにことさら猛烈なアレルギー反応を示した。
同法案のキモともいえる「警察官の立ち入り権」は、憲法に定める令状主義に反するとして、民主党の猛反対によりは見送られた。
虐待されている子供や近所からSOSが発信されても、強権立ち入りのプロではない児童相談所職員だけでは、積極的対応が出来ないのは自明である。
にもかかわらず、民主党は大反対したのである。
警察の強制立ち入りが出来ないため、児童相談所では適当な対応できず、そのため亡くなってしまった子供たちどれだけいるか。
類似事件が起こるたび、メディアは警察や児童相談所を非難する。
が、警察への強制立ち入り権限付与に反対した民主党こそ、最も非難されるべきではないか。 ねじれ国会の今、ブーメランとして。
タイムス社説は「少子化対策ばかりが強調される時代だが、生まれてきた子の幸せに軸足を置いた確かな政策が求められている」と高々と謳いあげているが、
その「子の幸せに軸足を置いた政策」とは何か。
「『子どもの命』を第一に再出発すべきだ」ともっともらしいこというが、
警察官の強制立ち入りを憲法違反だとして反対したのは民主党ではなかったのか。
なるほど、社説はキレイ事を述べ「正義面」で怒って見せてはいる。
だが政局にのみ走って、「子供の命」を踏み潰す政策を強いた民主党に対し、沖縄タイムスは一欠けらの批判も投げつけていない。
何故なのか。
自分が応援した民主党政権の失政は「不都合な事実」として得意の頬被りで通すつもりなのだろう。
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【おまけ】
野党時代の民主党が、警察官の立ち入りに反対した児童虐待防止法案については、次のサイトに詳しい。
◆児童虐待防止法改正案-警察官の立ち入り権見送りについて
2004年3月5日
児童虐待防止法改正案で、民主党の強い反対により警察官の親の拒否があった場合にでも立ち入り出来る権限が見送られたということだ。理由としては警察官の権限が拡大しすぎることと憲法に定める令状主義に反するというものである。この理由を聞いて刑事警察と行政警察を混同している典型だなと思った。確かに、行政処分に関しても令状主義の精神を及ぼすという考え方には別に反対ではない。しかし、事案の性質というものを考えなくてはならない。
1.何もどこの家にでも警察官が立ち入り出来るとしている訳ではない。児童のいる家に限られること。
2.一刻を争う緊急の事態が考えられること。→それ故、裁判所の事前審査には馴染まないということ。
3.家庭内問題故に、令状請求するだけの証拠(証言も含め)を集めるだけの機会が少ないということ。→2.と同じく裁判所の事前審査に馴染まないこと。また、同時に、事後審査にも馴染まないということになる。つまり、違法捜査と判断されてしまう蓋然性が高いということである。以上より民主党の裁判所の令状主義の要求は実質上、警察官の立ち入り権を無効規定とするものである。
4.本来保護者たる親が子の利益(しかも生命・身体)を危険にしているという疑いのもとにおいて、住居の平穏・親権が犠牲にされてもやむを得ない。→社会の要請というものを考える時に、それだけの世論が形成されつつあり、立法する必要性・合理性があるということ。民主党の行為は不作為の立法責任が問われてもおかしくないといえよう。
5.大前提として前述しているが、刑事事件としての立件を直接の目的としている刑事警察活動(=捜査)ではなく、児童の生存・安全を確認するという行政(予防)警察活動(=調査)であること。→それ故、根本的に違法捜査云々の問題ではないということ。また、往々にして虐待死などから刑事警察活動が想起されやすいかもしれないが、仮に親の経済的貧困・無知など(市役所などの応対が極めて悪いなども含む)から生活保護を受けられない、あるいは潔しとしないというという場合において、児童が餓死寸前という場合・・・続きを読む・・・
【追記】8月2日
今朝のTBS「朝ズバッ!」でエライ先生方が「児童虐待」について、ゴタクを並べていたが、肝心の「警察官の強制立ち入り」が民主党の反対により法制化されなかったことには一言触れなかった。
アッと驚いたのは白石真澄関西大学教授が、「加害者」の母親の気持ちに理解を示し、「私も子育ての時、(子供を)生ゴミと一緒に出したくなったことがある」と発言したことだ。
普通のおばさんが井戸端会議でいうのならともかく、大学のおえらい先生が公共の電波を使ってこのような発言をして「加害者」に同調してよいものだろうか。
「あんなエライ先生が、テレビであのように言うくらいだから、私なんかが生ゴミ扱いしても普通なんだ」、
と考えるバカ親が増えたらどうするのだ。(怒)
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