菅総理大臣とアメリカのバイデン大統領との日米首脳会談について、政府は、現地時間の今月16日にワシントンで実施すると発表しました。
加藤官房長官は、閣議のあとの記者会見で、菅総理大臣とアメリカのバイデン大統領との日米首脳会談について、調整の結果、諸般の事情が許せば、現地時間の今月16日にワシントンで実施すると発表しました。
そして「菅総理大臣が各国首脳に先駆けて、バイデン大統領と行う、初となる対面での首脳会談だ。日本を極めて重要視している証しであり、日米同盟の結束を対外的に示すとともに、インド太平洋地域へのアメリカのコミットメントを示すうえで極めて意義深い。個人的な信頼関係を構築するうえでもよい機会になるものと考えている」と述べました。
そのうえで、加藤官房長官は、会談では「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力のほか、新型コロナ対策や気候変動、それに中国や北朝鮮をめぐる課題などで、日本とアメリカの連携と協力を確認することになるという見通しを示しました。
アメリカ大統領 バイデン氏は12日、菅総理と初めての電話会談を行い、菅総理によりますと、日米安保条約5条が定めるアメリカの日本への防衛義務を尖閣諸島に適用する考えを明言しました。これに対し、中国側は尖閣諸島について「中国の固有領土だ」としたうえで、猛反発しています。
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アメリカかぶれの「進歩系女子」が、よく言うコメントにこんなのがある。
「アメリカの夫婦はパートナーに頻繁に『Ilove you』と言うが日本の男性も真似すべき」
ちなみに筆者は結婚以来一度も「愛している」など気恥ずかしいこと言った記憶はない。
だが、長年円満な結婚を続けている。
年中『Ilove you』をを連発しているアメリカの方が日本より離婚率が高いのは皮肉なものである。
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日米同盟とは日本とアメリカという国同士の一種の結婚のようなものだ。
ところがアメリカの大統領が変わるたびごとに「尖閣は日米保に適用されるのか」と「愛情の確認」を求めるのは日本側である。
アメリカは、その度ににこう答えている。
「尖閣は日米安全保障条約第5条に基づき適用される」
では日米安保条約第5条には何と書かれているか。
日米安全保障条約第五条
第五条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。
成程日本がパートナーのアメリカに「愛情の確認」(尖閣の安保適用)」をしつこく求める理由がよくわかる。
アメリカが尖閣を安保の適用にするには尖閣が「日本国の施政の下にある領域」であることが前提条件なのだ。
では尖閣は日本が実効支配しているから「日本の施政権の下にある」と断言で来るだろうか。
否である。
尖閣は日本が実行支配とは言っても、日本人が住んでいるわけではない。それどころか日本人が上陸したり、石垣市の漁船が尖閣近海で漁をすると中国公船に追い払われている。
日本の海上保安庁の巡視船でさえ、日本人が尖閣に近づくのを禁止しているくらいだ。
その一方、中国は2月以来「海警法」を施行し、「尖閣は中国の領土」と主張し続けている。
勿論、日本も「尖閣は日本の領土」が公式見解だが、アメリカは尖閣の領有権に対しては態度を明らかにしていない。
仮に領有権を主張する中国が、漁船に扮した船団で一挙に尖閣に上陸し、居座ったらどうなるか。
日本の実行支配も危うくなり、施政権下にある地域と言う前提もぐらついてくる。
このように尖閣が日本と中国の「領有権の狭間」」のグレイゾーンに陥ったら、日米安保条約第五条もグレイゾーンに陥ることになる。
では、日本が日米安保のグレイゾーンから脱却し、米大統領が変わるたびに「愛情の確認」をしないで済むにはどうしたらよいか。
■尖閣は「日本の施政の下にある領域」ではなくではなく「日本の領土」と明記
今月16日行われる日米首脳会談で日米安保第5条を明確にし、「尖閣は日本の領土であるから日米安保は適用される」と明文化すべきである。
日本の主張が正当である法的根拠は、1951年締結のサンフランシスコ講和条約とと沖縄返還協定にある。
サンフランシスコ講和条約で「沖縄(琉球諸島及び大東諸島)は、アメリカ合衆国の施政権下に置かれるものと」されたが、沖縄の領有権に関しては日本の「潜在主権」を認めている。
その後の1972年の「沖縄返還協定」では日本に属する沖縄と共に琉球諸島及び大東諸島も返還され、琉球諸島に属する尖閣諸島も返還された。
ちなみに日本に潜在主権の在る沖縄を統治(リース)していた米国は日本の領土である尖閣の久場島や大正島を米軍射爆場に利用していた。
結論として、米国は沖縄に属する尖閣諸島を日本の領土(潜在主権)と認め統治していたからこそ尖閣の諸島で射爆演習をしていたのだ。
少なくとも、米国は沖縄返還以前までは尖閣を日本の領土と認めていた。
従がって、日米首脳会談で日米安保第五条のグレイゾーンを明確にして、「尖閣は日本の領土だから日米安保は適用される」と明文化すべきである。
サンフランシスコ講和条約と沖縄返還協定をバイデン大統領に突き付け、尖閣諸島で米軍の射爆演習を実施していた歴史的事実を提示したら、日米安保のグレイゾーンをクリアに明文化することを米国は拒否できない。
沖縄タイムス紙面掲載記事
米、尖閣演習の停止指示 78年 中国との対立回避 領有権で日本と距離
2021年4月5日 05:00有料
尖閣諸島の大正島で日本が米海軍の演習場として提供している射爆撃場について、米政府が1978年6月、尖閣の領有権を巡る日中対立に巻き込まれる恐れがあるとして、米軍に使用停止を指示していたことが4日までに機密解除された米公文書で分かった。翌年に米軍が使用再開を要請したが、米政府が容認しなかった。日本政府によれば、米軍による尖閣の射爆撃場の使用通告は78年6月以降なく、当時の米政府の指示が現在も実質的に継承されている可能性がある。
現在のバイデン政権を含む歴代米政権は尖閣を、対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象としているが、領有権については「当事者間の問題」とする中立政策を維持。実際の有事で米国が尖閣防衛に関与するのか不確実との見方もある中、尖閣を巡っては中国と直接対立するのを避けるため、主権の所在に関して同盟国日本とも距離を取ってきた実態が浮き彫りになった。文書は共同通信が米国立公文書館から入手した。
米国は72年の沖縄返還で、沖縄の一部として尖閣の施政権を返還。その際に米軍が使用していた射爆撃場については、日本が日米地位協定に基づいて提供するという形式を取った。
79年11月に米国務省、在日米大使館、在中国米大使館がやりとりした一連の公電によると、国務省は前年78年6月に大正島の射爆撃場について「尖閣領有権を巡る日中対立の激化」を理由に使用停止を指示した。これに先立つ同年4月、多数の中国漁船が尖閣周辺の領海に侵入し、退去を拒む事態が発生。日本が「尖閣は日本固有の領土だ」として抗議するなど日中関係が悪化していた。
翌79年11月6日、当時のマンスフィールド駐日米大使は、在日米軍による射爆撃場の使用再開を許可するよう国務省に要請。この間の78年8月に日中は平和友好条約に調印したが、バンス国務長官は「日中の法的管轄権を巡る問題は未解決」として、使用再開に同意しないとの立場を伝達した。国務省から見解を求められたウッドコック駐中国大使も「日中いずれかの(領有権)主張に肩入れするような行動を避けるのが米国の利益だ」との見方を示した。
日本は尖閣で、久場島でも射爆撃場を米軍に提供。同島も78年6月以降は使用通告はなく、米側は射爆撃場使用について大正島と同様の方針を適用している可能性がある。