地べたの記者論(3)
私のツイッターアカウントに繰り返し送られてくる画像がある。私がテレビニュースの取材に、「中間中立で報道しているという気は確かにない」と答えている場面だ。字幕が付いている。「沖縄の立場に偏っているというのは言えるかもしれない」というバージョンもある。
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![](https://oki.ismcdn.jp/mwimgs/8/c/650/img_8cb4ef56a0f2cb62b6595fb47b15f0ad36578.jpg)
私が、あるいは沖縄タイムスが偏向報道をしている「証拠」として送ってくるネトウヨが多い。あまりに多いので、送られてきた画像を自分で貼って拡散したことがある。「私は今も胸を張って同じことを言っています。 政府が沖縄を差別している中で、中間中立を装うのは単なる差別への加担です」と書いた。
いじめと似ている。傍観する者は決して中立ではない。加害の側に立っている。いじめを見たら、まずは被害者に肩入れして止めなければならない。仮に被害者にも欠点がある、加害者にもいいところがある、などという話があったとしても、全ては加害者にいじめをやめさせ、謝罪させてからの話だ。
中間中立の点なんて、探しても探しても、この世のどこにも存在しないという確信もある。人の数だけ考えがあって、しかも常に移ろっていて、その全てと等距離を保つのは不可能だ。意図的なデマが大量に流通する中、全ての主張に同じ重さがあるとも到底言えない。
私は、報道で心がけるべきなのは中立ではなく公平だと考えている。批判すべき相手にも一度はアプローチしてみる。反論の機会を提供する。その上で、ジャーナリズムの倫理に従って事実を曲げずに記す。
これさえ守っていれば、メディアに載る弱者の声が強者の声より多くても全く構わない。強者はもともと多くの人に届く大きな声を持っているのだから。メディアが弱者の拡声器にならなければ、そもそも強者を相手に議論が成立しない。
こう考える私が、行く現場を考え、話を聞く人を決め、言葉を取捨選択してつづる記事が沖縄タイムスに載っている。客観的事実を書いていても、その事実は私の主観が見いだしたものだ。私は偏っていて、記事も偏っていている。同時に、この文章を読んでくださっているあなたも、ネトウヨも、弱者も、強者も、みんな偏っている。
受け手はとっくに気づいている。メディアだけが、過去に掲げた「中立」「客観報道」という看板に縛られて本当のことを言い出せずにきた。でも、1990年代から一貫して新聞の署名記事は増えている。記者がSNSで発信するようになり、さらに「顔が見える」ようになった。少しずつ、呪縛を解いていく過程の中に私たちはいる。
誰もが違い、誰もが偏っている。そのことを確認した地点から、新しいジャーナリズムを語り合いたい。
みんな偏ってみんないい。
「復帰35年 揺れた島 揺れる島 19回 “踏みしだかれた島(上)” いれい たかし記」より抜粋
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6c/2c/d72ee55263d27922c404c5fcc2ff02cc.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/6c/2c/d72ee55263d27922c404c5fcc2ff02cc_s.jpg)
【珍説】
まず、明治以来、日本国の琉球島嶼群に対する差別政策は、人頭税をはじめとする旧慣温存による苛斂誅求(かれんちょうきゅう)と、伝統文化や言語の廃絶強制など多岐にわたるが、そのいきつくところとして、太平洋戦争における皇土防衛の為の捨石とされた事もあるが、もっともあくどい仕打ちは、戦艦大和の沖縄海上特攻作戦だったのではないかと私は思う。
![あくどい](https://obiekt.up.seesaa.net/scan/akudoi.jpg)
さて、そこへ大和が攻め込んできて、世界最大最強といわれたその主砲四十六㌢砲塔九門が一斉に火を吹くと沖縄はどうなっただろうか。想像しただけで瞑目するばかりである。おそらく、大和は偵察機による誘導もないので、沖縄中南部の平地に巨大な砲弾をところかまわずに打ち込んだであろう。その弾は日米軍ばかりではなく、住民をも打ち砕いたであろう。 住民の犠牲者は、更に多数に上り、三十万人(当時の人口の半分)にも達したのではないかと、恐れる。
![弾着観測](https://obiekt.up.seesaa.net/scan/danchakukansoku.jpg)
![瞑目](https://obiekt.up.seesaa.net/scan/meimoku.jpg)
だが、大和は、米空母群から発艦したヘルダイバー急降下爆撃機による空からの攻撃と潜水艦による魚雷攻撃で、沖縄本島には一発の砲弾も放つことなく、四月七日に、三千人の乗組員とともに撃沈された。
![潜水艦](https://obiekt.up.seesaa.net/scan/sensuikan.jpg)
あっ、よかった。戦艦大和が、沖縄のはるか北方の海に沈められてよかった。そう言えば、日本国民の多くは激怒するだろうし、やはり琉球人は日本人ではないと、その従来の差別感の正当性を再認識するに違いない。
![良かった?](https://obiekt.up.seesaa.net/scan/yokatta.jpg)
沖縄人が、戦艦大和によりさらに多数を殺され、島の集落のことごとくが破壊されたであろうことを思えば、それはまさに明治以来の差別のいきつくところであった。
![差別](https://obiekt.up.seesaa.net/scan/sabetu.jpg)
沖縄タイムス 2007年3月20日 特集記事
「復帰35年 揺れた島 揺れる島 19回 “踏みしだかれた島(上)” いれい たかし記」より抜粋
★
【事実】
第二艦隊の水上特攻作戦(天一号作戦)は、航空特攻による菊水作戦と呼応して 行われました。その目的は、敵水上艦艇と輸送船団を撃滅することです。それは、GF電令作第六○七号として、記録にも残っています。
http://www.h2.dion.ne.jp/~sws6225/siryou/gf603.html
1945年4月5日1500:連合艦隊司令長官(GF)電令作第607号発令
1,帝国海軍部隊および第6航空軍は6日以降全力をあげて沖縄周辺敵艦船を攻撃せんとす。
2,陸軍第8飛行師団は協力攻撃を実施、第32軍は7日より総攻撃を開始し、敵上陸部隊の掃滅を企図す。
3,海上特攻隊は7日黎明時豊後水道出撃、8日黎明時沖縄西方海面に突入、敵水上艦艇ならびに輸送船団を攻撃撃滅すべし。
で、何処にも陸上の米軍を艦砲射撃にて攻撃するとは言っていませんよね。 まぁ、裏の目的として、航空機特攻の側面を支援する意味での囮艦隊と言う面も有りましたが。少なくとも、後年言われている様な、「浅瀬に乗り上げて砲台と化し云々」は、「出来たら いいなぁ」程度の妄想であって、沈められずに沖縄近海まで辿り着ければ奇跡だと、まともな軍人なら思っていた筈です。
さらに、「大和は偵察機による誘導もないので、沖縄中南部の平地に巨大な砲弾を所かまわずに打ち込んだであろう」については、言うべき言葉も有りません。日本海軍を狂人の集団と思っているのでしょうか。確かに観測機の使用は絶望的でしょうが、いれい氏は、戦艦の大砲はどうやって狙いを付けていると思っているのでしょうか。艦橋のトップには15.5m測距儀が有りますし、各砲塔にもそれぞれ測距儀が装備されている事は、巷に溢れている戦艦大和本には、必ず載っているのですが。
地上に友軍陸軍の弾着観測班を置けば解決する話じゃないか。
それと、沖縄戦の推移に対する認識が、間違っている。
沖縄戦で、南部に戦線が移動したのは首里陥落の後。
大和到達予定時には、戦場は中部であり、住民が避難している南部に攻撃しそうもない事ぐらいわからなかったのか。
人を叩くのは最近は自粛するようにしているのですが、とりあえず、沖縄へ打ち込まれた艦砲射撃の投射量を計算してみた。
16in 4411
14in 16046
12in 2700
8in 32180
6in 46020
5in 432008
5in榴 66653 計 約600000発
計算すると投射重量は概ね36000tになります。
36ktだから、エネルギー比較だけで言うなら、広島の原爆以上。
これに大和の最大投射量、1.5t×900=1350t を足したところで、1.0375倍になるだけです。
……ほとんど誤差といって差し支えないですね。
ちなみにこれは艦砲射撃だけの数値。陸軍の砲兵隊を加えれば、数倍に跳ね上がると思う。
(例えば、第10軍砲兵師団だけで、各種176万発を消費している)
この大和潜水艦撃沈説は一体何処が出所なんだろう
少なくとも1996年発行の沖縄平和ガイドブックみたいなアレな人が書いた本で「大和は潜水艦に撃沈された」って書いてあるんだよね
もしかして航空機による雷撃を知らないんだろうか、雷撃=潜水艦みたいな短絡思考か?
沖縄県歴史教育者協議会(編)「平和のためのガイドブック」あけぼの出版社
1995年4月初版発行 96年12月3版発行(俺の手元)
P155図版内
「戦艦大和も片道燃料で特攻出撃したが坊之岬沖で敵の潜水艦に撃沈された」
この本他にも色々香ばしいんだよね
根拠無しで(P156)「住民の死者は15万人を上回った」(通説は10万人のはず)とか(P152)「(集団自決他の住民被害は)天皇の軍隊(引用者注:日本軍の事)がそもそも日本住民ではなく天皇制・国体を護るための軍隊という性格をもっていたからである」みたいな意味のわからない記述が
「沖縄の軍艦化」というフレーズから現在の米軍基地へイメージ的に繋げようという魂胆が見え見えですね。
よくもまあ、こんなのを顔出しで語れるもんです。
「沖縄タイムスに理なし」の証拠として永久保存されるべきでしょう。
さて、沖縄戦での日本側の死者数は、軍民合わせて約20万人とされています。
それがなんと、いれい氏によると大和が砲撃したら民間人だけで死者30万人に跳ね上がるそうです。一体それ、どんな波動砲ですか? まぁ、沖縄近海のアメリカ艦隊を全て打ち破って沖縄本島に到達するには、『超戦艦"ヤマト"出撃ス!』くらいじゃないと無理でしょうけれど。
それに、沖縄では大和が潜水艦によって撃沈されたと信じられているんですか? こういう反戦運動向けの本に誤記があった場合、それを見るのは皆、軍事についての素人ばかりですから誰も間違いに気付きません。以前、ナパーム弾とクラスター爆弾を取り違えて理解している人を見つけましたが、やはりそれも反戦運動の活動報告書に記載されていた間違いが元で、大勢が勘違いしていた事態でした。
こういう場合、外部から指摘してやる必要が出てきます。今もまた、その時なのだと思います。菊水作戦に対する批判はこれまで数あれど、ここまでデタラメで斜め上を行っている記述は過去に例がありません。