新庁舎巡り百条委 石垣市議会 契約変更に疑義
【石垣】石垣市議会(平良秀之議長)は21日の9月定例会最終本会議で、市役所新庁舎建設工事請負契約を巡り、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委)設置を賛成多数で可決した。
同工事の請負金額を49億9730万円から59億3299万円に変更する議案自体は与党の賛成多数で同意されたが、定例会前の2度の臨時会では「増額分の説明が不十分」などとして不同意となっていた。今定例会でも疑問が解消されなかったことから、さらなる説明が必要として百条委設置も可決された。
新庁舎は2019年10月着工。業務開始は今年11月予定で、市は8月末の工期終了前の同月18日の臨時会に請負金額の変更議案を提案した。増額分は工事費約3億3千万円、作業員の旅費約5億2千万円など。だが、審議では2年前の変更分の報告が含まれていることなどに批判が噴出し、同27日の臨時会でも不同意となった。
市は工期を9月末に延長して今定例会に臨んだが、使用する赤瓦が県外産になった経緯などにも疑問や不満の声が上がった。
中山義隆市長は取材に「適正に業務をしてきた自負がある。ただ調査には協力する」と話した。
新庁舎建設で百条委 石垣市議会 野党提案、賛成多数 契約変更議案は同意
石垣市議会(平良秀之議長)の最終本会議が21日開かれ、新庁舎建設工事請負契約に関し、地方自治法百条に基づく調査特別委員会設置を賛成多数で可決した。今議会では新庁舎建設の在り方を巡り与野党から批判が続出しており、特別委の設置には与党からも賛成者が出た。建設工事請負契約金額を約9億円3千万円増の59億3299万円に変更する議案には、賛成多数で同意した 特別委設置は野党の花谷史郎氏が提案し、採決では野党8人、中立会派未来の2人、与党の砥板芳行氏の11人が賛成し、砥板氏を除く与党の9人が反対した。
砥板氏は「今後、市が大きな事業を行う上で課題を残しており、このようなことがないよう、もう少し調査する必要がある」と述べた。
地方自治法百条に基づく特別委には強力な調査権が付与される。与野党の委員8人で構成し、委員長に花谷氏、副委員長に与党の友寄永三氏が選任された。
新庁舎工事請負契約金額を変更する議案の採決では、与党と中立会派未来の12人が賛成、野党8人が反対した。
反対討論した野党の内原英聡氏は、新庁舎屋根の赤瓦が愛知県産になったことに触れ「(県内の)生産者への敬意が感じられず、市民を愚弄している。会計監査院の監査対象になることも考えられるが、監査に耐えられるのか」と批判。
野党の花谷史郎氏は、市が契約変更の仮契約書と位置付けている変更協議書に収入印紙が貼られておらず、有効な契約書とは認められないと主張した。「文書偽造や印紙税の脱税、不正工事となりかねない」と述べ、事業者と新たに契約を結ぶか、事業者からの損害賠償請求を待って建設費の増額分を支払うべきだとした。
与党の仲間均氏は「新庁舎建設事業は検証する必要があるが、これ以上、契約変更を延滞することは市の公共性、信頼性を著しく損なう。苦渋の選択で賛成する」と述べた。
新庁舎建設工事請負契約金額は、設計の一部変更や島外作業員の渡航費計上などに伴い当初契約より増額された。このため市は契約金額を変更する議案を8月の臨時議会に提案したが2度否決され、今回が3回目の提案だった。 市議会はこの日、市提案のその他の議案をすべて可決し、閉会した。
【おまけ】
沖縄県石垣市、伝統的な"赤瓦屋根"を採用した新庁舎建設のため、ふるさと納税を活用し、250万円の資金調達を開始。隈研吾氏が沖縄県で初めて設計を担当
集まった寄附金は新庁舎の象徴となる赤瓦の調達に活用。お礼の品として、隈研吾氏の直筆サイン入り感謝状やポストカードなど本プロジェクト限定の品を用意
新庁舎総事業費108億円超 石垣市
- 2021年08月19日
旧石垣空港跡地で建設が進められている石垣市役所新庁舎の総事業費が108億6914万円になる見通しとなっていることが18日、臨時市議会に提出された資料で分かった。市は設計変更や工期延長などに伴い建築工事請負契約額を49億9730万円から59億3299万円に変更する議案を上程したが、賛成少数で否決された。過半の議員から「資料、説明が不十分」などとして同意が得られなかった。
(9面に総事業費内訳)
建築工事契約額は2019年6月議会で議決されたが、工事当初の岩盤掘削に伴う設計変更とことし3月末から8月末への工期延長による経費の増額、さらに作業員の渡航費に要する経費を加えた変更案が上程された。
同案は設計変更に伴う増額分で約1億2000万円、渡航費で約5億3000万円、消費税増税で約8500万円など。市は9月定例会で、設備工事4件の契約額も22億5000万円から約25億円に変更する予定。さらに外構工事費約5億円を含めた工事請負額は89億3000万円になる見通し。
市は工期の8月末に引き渡しを受け、9月から施設を管理して引っ越し作業の準備に入り、11月中旬の落成式・内覧会、12月議会までの供用開始を目指している。臨時議会で契約額の変更案が否決されたため、再度臨時議会を開いて提案するか、9月2日開会予定の定例会に先議案件として上程するか検討する。
同議案を審査した総務財政委員会(砥板芳行委員長、8人)では、2年前の設計変更から今回の渡航費までを一括して提案したことに批判が相次ぎ、資料提出の遅れと審議時間の不足などを理由に全会一致で不同意と決定した。
砥板委員長は本会議で「大きな設計変更があった場合には速やかに議会提案すべきである」「資料、説明が不十分であった」と報告した。
採決では原案に対する賛否が問われ、賛成者は与党の7人に留まった。このうち石垣達也、米盛初恵、石川勇作の3氏は総務財政委員会で不同意に賛成していた。
- プロジェクト開始の背景
この挑戦の鍵となるのが"赤瓦屋根"の採用です。台風の影響や維持管理の難しさから赤瓦屋根の建物が減少している石垣島。そこで維持管理がしやすく、漆喰で塗り固めたように見える赤瓦を設計に盛り込み、懐かしくも新しい赤瓦屋根の新庁舎を建設します。