[2021衆院選]下地氏 立候補を強調 「復党認めないなら無所属で」 保守一本化と復党困難に 自民県連 批判強める
次期衆院選を巡り、現職の下地幹郎氏(60)=無所属=が沖縄1区からの立候補に向けて発言を強めている。25日には、自身が求める自民党復党の実現にはこだわらない考えも示した。経済界有志の団体が、下地氏の復党と1区の保守一本化を求め、自民県連に話し合いを求めている最中での言及に、協議を検討していた県連幹部は「言行不一致だ」と批判を強める。県連は間もなく決まる自民新総裁に衆院選では従来通り1~4区の支部長を公認するよう求める。下地氏が発言を強めたことで、1区の保守一本化や復党は困難との見方が一層、固まった。(政経部・山城響、川野百合子)
「認められなかったら、無所属で出る」。下地氏は25日にあった自身の後援会の事務所開き後、自民へ復党できなかった場合についての対応を問われ、報道陣にこう答えた。
下地氏を推す「保守合同を実現し沖縄の未来を創る会」の国場幸一会長は連帯のあいさつで「相手(自民)が会ってくれない状況の中、いつまでも待っていられない」と指摘。下地氏は支持者らへのあいさつで、比例九州では公明党に投票すると言及。「これは私の公約だ」と支持者らに賛同を求めた。
保守一本化が整わない状況での立候補の断言は、自身や支持団体の要求と矛盾しないか記者に問われたのに対し、下地氏は「僕が出るというときは、向こう(県連)が僕を拒否したということ。矛盾はない」と強調した。ある関係者は「矛盾と映るかもしれないが、現状は二段構えにするしかない」と訴える。
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下地氏の事務所開きが始まった25日午前11時。那覇市久茂地の自民県連に、中川京貴会長ら幹部と、国場幸之助衆院議員ら1~4区の支部長が集まり、保守合同の会が要求する協議の是非などについて話し合っていた。
関係者によると、県連役員らは協議を開くべきだとの考えで調整したが、まとまらなかった。下地氏が事務所開きで立候補を強調したことが決定打となったという。公明党支持まで踏み込んだことで「これ以上、議論する意味はない」(県連幹部)と、途中で打ち切った。
ある県連幹部は総裁選が終われば一気に政局が動き、衆院選は目前に迫るとみる。「(下地氏側との協議は)もうタイムリミットだ」と指摘した。
(写図説明)事務所開きで支持者に衆院再選への思いを訴える下地幹郎氏=25日、那覇市おもろまち
経済界の有志団体、自民県連に下地幹郎氏との協議を要求「勝てる選挙も勝てなくなる」
下地幹郎衆院議員(無所属)の自民党復党を求める経済界有志の団体「保守合同を実現し沖縄の未来を創る会」(国場幸一会長)は9日、那覇市内(沖縄県)で自民党県連幹部と面談し、下地氏と早期に協議をするよう求めた。要請は3回目。面談後、国場会長は記者団に「このまま保守がばらばらでは勝てる選挙も勝てなくなる」と、目前に迫る衆院選に向け早期復党の必要を訴えた。一方の中川京貴自民県連会長は「復党は認めないという県連の答えは出ている」と強調した。下地氏との面談については近く回答するとしている。
保守合同の会は、名護市や宜野湾市、那覇市など7市長選のほか参院選、知事選など来年予定の重要選挙を挙げ「全ての選挙でより強固な自民、公明、下地氏の保守合同体制がなければならない」と復党に理解を求めた。協議は約40分で非公開だった。
国場会長は「政治は妥協の産物だ。会って話せばいろいろと選択肢が出てくるはずだ」と強調した。
国場会長らは昨年10月、県連に下地氏の自民復党を求める要請書を提出し、その後下地氏は復党願いを出した。国場会長らは翌11月「保守合同」を求める1万2428社の署名を県連に提出。今年6月には、党本部を訪ね、復党を求める要請書とともに、有志が呼び掛けて集めた約4800人に上る自民党への新規入党申込書を提出した。
一方の自民県連は昨年11月の常任総務会で、次期衆院選で1~4区の候補者となる支部長は既に決定済みとし、下地氏の復党を認めないと組織決定している。
どうなる? 下地幹郎氏の復党巡り政界や経済界の思惑は
[ニュース断面]
次期衆院選が近づく中、沖縄1区で立候補を目指す下地幹郎氏(無所属)の自民党復党は厳しい局面を迎えている。「保守合同を実現し沖縄の未来を創る会」(国場幸一会長)は9日、自民党県連の中川京貴会長らに下地氏との協議をセッティングするよう求めたが、県連は下地氏の復党協議には応じない構えだ。退陣を表明した菅義偉首相など、復党の後ろ盾とされる人々の動向も「実現は困難」(党本部関係者)との見方に拍車を掛ける。(政経部・山城響、東京報道部・新垣卓也)
中央に頼れず
中川会長は「重要選挙で勝つために保守がまとまるための話し合いなら」と、下地氏との協議に条件を付けた。下地氏の復党を認めないとした県連常任総務会の決定が今後、覆る余地はあるのかを記者団に問われ「組織の決定が後戻りすることはない」と断言した。
自民側が今後協議に応じなければ、保守は分裂したまま衆院選を迎える公算が大きくなる。保守合同の会の幹部は「衆院選に勝つには協議も下地氏の復党も必要で、地元のことは地元で決めるべきだ」と強調した。
「県連がダメだと言ってることには首を突っ込めない。無理やり復党させれば、自民は割れる」。党本部関係者は、下地氏の復党に厳しい見方を示す。
下地氏復党の後ろ盾とされてきたのは、初当選同期でパイプがあるとされる菅義偉首相や山口泰明選対委員長。だが菅首相は党総裁選不出馬を表明し、山口氏も次期衆院選には立候補せず政界引退の意向だ。過去に、復党の是非について含みを持たせたことがある二階俊博幹事長も総裁選後の党役員人事で交代の可能性がささやかれ、関係者は「復党の可能性はより薄まった」と指摘する。
「ないとは言い切れない」
党本部関係者は「県連の『ノー』を覆して復党させる理由があるなら、ないとは言い切れない」と指摘する。だが、沖縄1区は赤嶺政賢氏(共産)、国場幸之助氏(自民)と下地氏による、前回同様の三つどもえの構図になるとの見方が強まっている。
那覇市内の経済界からは困惑の声が上がる。ある建設中堅は、自民を支持するが、仕事では下地氏復党を求める国場組や大米建設とも関係は深い。国場氏と下地氏双方から支援を求められた企業関係者は「業者にどちらかを選べというのはあまりにも酷だ」とため息をつく。「どちらでもいいから、とにかく候補を一本化してほしい」といら立ちを見せた。
【おまけ】
2020年12月4日に事務所開きをし、主に下地幹郎衆議院議員(維新を除名)の自民党復党を目指す「保守合同を実現し沖縄の未来を創る会」が、市民によって本日那覇地検に告発されました。
告発の内容は、この団体が下地幹郎衆議院議員の自民党復党及び来年の県知事選挙における県内の保守合同を目指す政治活動を行っているのにも関わらず、政治団体としての届け出をしないまま、資金の調達、寄付及び利益供与や支出を行い、政治資金規正法第8条に違反しているとして厳重な処罰を求めるものです。
会見で原告のN氏は「沖縄では公選法特区と言われるくらい公選法が守られていない、今まで何度も警察や選管に告発してきたが、1度も処分が科されたことがない、よって今回はいち市民ではなく弁護士に依頼をしたので、きちんとした捜査をして頂きたい」と述べた。
沖縄県においては、照屋寛徳衆議院議員(社民)が過去に、「沖縄は公選法特区である、公選法を守るのなら今すぐ帰って頂きたい」と激を飛ばした事例があり、県内各地での選挙では今だ堂々と選挙違反が繰り返されているのが実情だ。 衆院選を控えた現在においても、目に余る事前運動が堂々と行われており、「どうせ立件されることはない」「法律を守って選挙に負けるわけにはいかない」と野放しの状態である。 中には、支援者が他の候補予定者の選挙違反を見て、「あの候補は頑張っているのにお前は何をしているのだ」と選挙違反を強要することもしばしば。 今まで県民に対し、何が選挙違反であるかをきちんと告知してこなかった沖縄県であるが、最近から動画投稿サイトYoutubeにて啓発動画を公開している。
告発人のN氏は今後、「選挙違反については今後、ネットにて公開していく」と話しており、これを機会に公選法特区と言われた沖縄の選挙が好転するのかが焦点となる。