その昔、マルクスという学者が「人間には、あらゆる職業を
遍歴したいという欲望がある」と述べている。
確かに、当たっているような気もする。
私など、新幹線の運転手に始まり、トラック野郎、パイロット、カーレーサー、
ある程度大人になってからは、スチュワード、幼稚園の先生、用務員さん、
そして商社マン、とちょっと偏ってはいるが、様々な職業に就きたかった
経緯がある。
おそらく程度の差はあれ、誰でもいくつかはあったはずである。
しかし実際に、なりたかった職業に就けている人なんて、ほんの一握り
であろう?
先ほどのマルクスのお友達のエンゲルスはこうも言っている。
「自由とは状況の把握である」。
自由を求めていながらも、状況判断能力に乏しかった私は、大人になっても長い間
自分自身の適職を解りかねていた。
現在の仕事が適職だとは思えない部分もあるが、どこかで折り合いをつけなければ
ならなかった年齢でもあった。
あれから数年が経った、今。
とりあえず毎日、楽しく仕事をしている。
結局、いろいろ考えても、最後はなるようになる。
きっとそんなものなのだろう?
学生だった頃、一度だけ職業適性試験を受けたことがあった。
結果はいくつか書いてあったが、その1つにダンサーとあった。
それ以来、こういうものは、とりあえず信じないようにしている。