★トランプとゼレンスキーの外交参事
山上 信吾、64歳
東大法卒、外務省官僚、コロンビア大学院官費留学
前オーストラリア大使
現在、外交評論家
東大法卒、外務省官僚、コロンビア大学院官費留学
前オーストラリア大使
現在、外交評論家
下記に山上氏の論評を載せます。
戦時大統領であるゼレンスキーが戦闘服でホワイトハウスに登場するや、玄関で出迎えたトランプは開口一番「今日はドレス・アップしている。素晴らしい」と痛烈な皮肉をかませた。
トランプは、好みが合えば非常に社交的な顔を見せる一方、機嫌を損ねれば辛辣な皮肉と当てこすりを言う。
そしてホワイトハウスの大統領執務室でのゼレンスキーとトランプのやり取りは史上まれに見る外交惨事といっても過言ではない。
それで喜ぶのはプーチンだし、これ程までの外交破壊は滅多にないだろう。
また、メディアに全面開放する必要などなかった。
通常は冒頭の挨拶だけでメディアを締め出し、ゼレンスキーとトランプの会談に集中すべきであった。
通常は冒頭の挨拶だけでメディアを締め出し、ゼレンスキーとトランプの会談に集中すべきであった。
首脳会談の真の問題は、トランプとゼレンスキーのどちらが正しかったか、ではない。
ロシアによるあからさまな国連憲章違反の侵略戦争を批判し、これに報酬を与えない形で、かつ、さらなる侵略が無いように停戦を実現することが課題だった。
2022年2月のロシアの侵略戦争に対して責めを負うべきはプーチンであって、ゼレンスキーではない。
プーチンは国際刑事裁判所から逮捕状が出ている国際指名手配犯なのだ。
また、ウクライナ支援に対する米国への感謝の言葉がないのは非礼だとして、バンスはゼレンスキーをなじったが、非礼なのはバンスの方だ。
副大統領の分際で他国の大統領に対してカメラの前で叱責する態度こそ責められるべきだ。
国の存亡をかけ国民が血を流して戦っているウクライナに対する敬意とエールこそ前面に出すべきであった。
さらに、トランプはゼレンスキーを「独裁者」と呼び、「この戦争はウクライナが始めた」とまで決めつけたのはなぜなのか?
トランプとプーチンの間に闇の関係性が存在するのか、
実は、トランプは過去に6回も自己破産をしており、その経済的窮地を救ったのはロシアのオリガルヒ(新興財閥)だったと言われているし、トランプがモスクワを訪問した際、ハニトラに嵌められたとまで巷間伝えられる。
とまれ、これだけトランプと側近たちの外交惨事を見せられると、欧州やアジアの同盟国は米国に対する信頼を損なうだろう。
平たく言えば、「アメリカの態度は恐ろしい。正義も信頼も無いとすれば、アメリカと距離を置くしかない」と。
とまれ、これだけトランプと側近たちの外交惨事を見せられると、欧州やアジアの同盟国は米国に対する信頼を損なうだろう。
平たく言えば、「アメリカの態度は恐ろしい。正義も信頼も無いとすれば、アメリカと距離を置くしかない」と。
そして、ホワイトハウスで行われた日米首脳会談でウクライナの「ウ」の字さえ言わなかった石破総理だったが、今日のウクライナは明日の日本であり、国際外交において「臭いものにはフタ」と、ダンマリを決め込んでいるようでは情けない。
(山上氏の論評)
(じゅうめい)