新宿酒場ロン
例によって、島、絵美、銀さんが顔をそろえている。
「市橋君は逃げた」
「両親は二人とも岐阜で医者をやっている裕福な家庭」
「本人は園芸学部、28歳で親のすねかじりプータローか」
「千葉大に園芸学部があったなんて知らなかった」
「手配写真を見たら、レッサーパンダの帽子をかぶった通り魔殺人の犯人に似ていると思ったけど」
「親は何やってるの?」
「眼科と歯医者みたいだね」
「この前の妹バラバラ殺人事件も両親が歯医者だった」
「それに母、妹弟放火殺人事件も」
「何か因果関係があるんかな」
「今もって逃げているけど、自殺しそうな顔はしてない」
「ふむ、山谷のドヤ街に紛れ込んでいるか、あるいは海外高飛びか」
「カネさえあれば成田が近いからね、マニラあたりか」
「でもそれはないと思うわ、既に渡航チェックは終わっている」
「いずれにしても、イギリスと国際問題だね」
「なぜあんなことをするのか理解できない」
「殺す前に女の顔をひどく殴っている」
「ナイロン紐で首を絞め、最後は首の骨を折った」
「バーチャルゲームのロールプレイ感覚、現実社会との接点がもてない」
「リアルに手をかけることによって・・・」
「リアルプレイの実現だ。社会との関わりが出てくる」
「ポリス、世間、そして親からの絶大な注目、孤独からの解放、あるいは求愛」
「社会と接点を持つための究極の選択だね」
「しかし・・しかしだ」
「もうリセットはできない」
「絶対に」
突然扉が開いて、カップルが入ってきた。
「すみません、ここ新宿酒場ロンですよね」
銀さん「そうだけど」
座っていいですかとフリの客が入ってきた。
そして、洋子ママのジャズボーカルが始まった。
曲は「ムーンリバー」
水割りが苦い夜だ。
例によって、島、絵美、銀さんが顔をそろえている。
「市橋君は逃げた」
「両親は二人とも岐阜で医者をやっている裕福な家庭」
「本人は園芸学部、28歳で親のすねかじりプータローか」
「千葉大に園芸学部があったなんて知らなかった」
「手配写真を見たら、レッサーパンダの帽子をかぶった通り魔殺人の犯人に似ていると思ったけど」
「親は何やってるの?」
「眼科と歯医者みたいだね」
「この前の妹バラバラ殺人事件も両親が歯医者だった」
「それに母、妹弟放火殺人事件も」
「何か因果関係があるんかな」
「今もって逃げているけど、自殺しそうな顔はしてない」
「ふむ、山谷のドヤ街に紛れ込んでいるか、あるいは海外高飛びか」
「カネさえあれば成田が近いからね、マニラあたりか」
「でもそれはないと思うわ、既に渡航チェックは終わっている」
「いずれにしても、イギリスと国際問題だね」
「なぜあんなことをするのか理解できない」
「殺す前に女の顔をひどく殴っている」
「ナイロン紐で首を絞め、最後は首の骨を折った」
「バーチャルゲームのロールプレイ感覚、現実社会との接点がもてない」
「リアルに手をかけることによって・・・」
「リアルプレイの実現だ。社会との関わりが出てくる」
「ポリス、世間、そして親からの絶大な注目、孤独からの解放、あるいは求愛」
「社会と接点を持つための究極の選択だね」
「しかし・・しかしだ」
「もうリセットはできない」
「絶対に」
突然扉が開いて、カップルが入ってきた。
「すみません、ここ新宿酒場ロンですよね」
銀さん「そうだけど」
座っていいですかとフリの客が入ってきた。
そして、洋子ママのジャズボーカルが始まった。
曲は「ムーンリバー」
水割りが苦い夜だ。