では、賃貸借が終了した後にどのような問題が生じるか、見ておきましょう。
賃貸借ですから、終了したら賃借物を返すことになるでしょう。それが賃貸借の内容ともなっているからです。
民法では、賃借物を返すときには、元通りに戻して返すべきでしょう。このあたりは、条文でもきちんと書いてあります。
・・・・
使用貸借の規定で
(借用物の返還の時期)
第597条1項 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。
(借主による収去)
第598条 借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
賃貸借の規定では
(使用貸借の規定の準用)
第616条 ・・・第597条1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。
・・・・・
しかし、この借地借家法では、造作については、必ずしも取らなくてもいいとなっています。これは、借地関係で学んだ建物買取と同じ状況ですね。
・・・・・
(造作買取請求権)
第33条 建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
2 前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。
・・・・・・・・・
造作とは、「建物に付加した畳、建具(障子・ふすまなど)その他のもの」となっています。
判例では、建物に付加された物件で、賃借人の所有に属し、かつ、建物の使用に客観的に便益を与えるものをいい、賃借人がその建物を特殊な目的に使用するために特に付加した設備は含まないものとされています。
これは、買わされる方の賃貸人のことも考えている判例です。
そして、借家人が一方的に買い取れと請求すれば、賃貸人は造作の代金を支払わなければいけません。
もちろん、そのための要件としては、借家人の所有物であることですが、①建物の賃貸人の同意を得たか、建物の賃貸人から買い受けたか、②建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了したとき、だから債務不履行での解除ではみとめていません。
そして、この規定は、任意規定である点に特色があります。つまり、造作買取請求権の排除特約がないことが重要です。
・・・・・
(強行規定)
第37条 第31条、第34条及び第35条の規定に反する特約で建物の賃借人又は転借人に不利なものは、無効とする。
・・・・・
37条の内容に、33条がないのです。
これは、建物の買取請求と異なって、もともと造作についてそれほど価値が高いものでもないですし、「同意を得たか、建物の賃貸人から買い受けた」となっていますから、もし強行規定であるなら、賃貸人は同意しないことも予想されますね。それほど強力な権利ではないということです。
これでまた一つ克服できました。
では、また。
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賃貸借ですから、終了したら賃借物を返すことになるでしょう。それが賃貸借の内容ともなっているからです。
民法では、賃借物を返すときには、元通りに戻して返すべきでしょう。このあたりは、条文でもきちんと書いてあります。
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使用貸借の規定で
(借用物の返還の時期)
第597条1項 借主は、契約に定めた時期に、借用物の返還をしなければならない。
(借主による収去)
第598条 借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
賃貸借の規定では
(使用貸借の規定の準用)
第616条 ・・・第597条1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。
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しかし、この借地借家法では、造作については、必ずしも取らなくてもいいとなっています。これは、借地関係で学んだ建物買取と同じ状況ですね。
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(造作買取請求権)
第33条 建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
2 前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。
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造作とは、「建物に付加した畳、建具(障子・ふすまなど)その他のもの」となっています。
判例では、建物に付加された物件で、賃借人の所有に属し、かつ、建物の使用に客観的に便益を与えるものをいい、賃借人がその建物を特殊な目的に使用するために特に付加した設備は含まないものとされています。
これは、買わされる方の賃貸人のことも考えている判例です。
そして、借家人が一方的に買い取れと請求すれば、賃貸人は造作の代金を支払わなければいけません。
もちろん、そのための要件としては、借家人の所有物であることですが、①建物の賃貸人の同意を得たか、建物の賃貸人から買い受けたか、②建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了したとき、だから債務不履行での解除ではみとめていません。
そして、この規定は、任意規定である点に特色があります。つまり、造作買取請求権の排除特約がないことが重要です。
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(強行規定)
第37条 第31条、第34条及び第35条の規定に反する特約で建物の賃借人又は転借人に不利なものは、無効とする。
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37条の内容に、33条がないのです。
これは、建物の買取請求と異なって、もともと造作についてそれほど価値が高いものでもないですし、「同意を得たか、建物の賃貸人から買い受けた」となっていますから、もし強行規定であるなら、賃貸人は同意しないことも予想されますね。それほど強力な権利ではないということです。
これでまた一つ克服できました。
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