すき間時間でR2年行政書士試験の民法を丁寧に分析“よーくわかる”問27・制限行為能力者・・・。
行政書士の問題も、学習しておくと、他の国家試験でも十分役に立ちます。
民法は、全範囲にわたって全9問出題されています。
問27からスタートします。
隙間時間でもいいので、少し見てもらうだけで、実力がアップするかもしれませんね。
・・・・・・
問27 民法 総則
制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。
1.未成年者について、親権を行う者が管理権を有しないときは、後見が開始する。
2.保佐人は、民法が定める被保佐人の一定の行為について同意権を有するほか、家庭裁判所が保佐人に代理権を付与する旨の審判をしたときには特定の法律行為の代理権も有する。
3.家庭裁判所は、被補助人の特定の法律行為につき補助人の同意を要する旨の審判、および補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
4.被保佐人が保佐人の同意を要する行為をその同意を得ずに行った場合において、相手方が被保佐人に対して、一定期間内に保佐人の追認を得るべき旨の催告をしたが、その期間内に回答がなかったときは、当該行為を追認したものと擬制される。
5.制限行為能力者が、相手方に制限行為能力者であることを黙秘して法律行為を行った場合であっても、それが他の言動と相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは、詐術にあたる。
・・・・・・
肢1ですが、条文通りで“正しい”ですね。
未成年者に対して、親権を行う者がいないときはもちろん、親権を行う者が管理権を有しないときにも、後見が開始されて保護しなければなりません。
親権者がいても、後見ができるんだということですね。
あと、後見人は法人でも可能ですし、未成年後見人は以前は1人のみでしたが、複数でも良くなったのですね。
肢2ですが、これも“正しい”ですね。
被保佐人は、管理行為は単独でできるのですが、重要な財産に関する行為をする場合には単独ではできず、保佐人の同意を得なければならないのでした。
また、家庭裁判所は、一定の請求権者の請求により、保佐人に代理権付与の審判をすることができるのですが、この場合、本人以外の者の請求によってこの審判をするには、本人の同意がなければならないのでした。
肢3も、“正しい”ですね。
補助開始の審判では、当然補助人の同意が必要となるのもではなく、別途①補助人の同意を要する旨の審判をするか、または、②補助人に代理権を付与する旨の審判をするか、つまりどちらか、または両方とともにしなければならないのでした。
単に被補助人だけにするということはできませんね。補助開始の審判時には、①か、または②のどちらか一方か、①と②を同時に行うこともokです。
もちろん、本人以外の者の請求により、補助開始の審判を着手するには、また、同意を要する旨の審判をするには、本人の同意がなければならないのでした。
ちなみに、被補助人が制限行為能力者になるのは、 補助人の同意を要する旨の審判をすることが必要でした。
肢4ですが、“誤り”でこれが正解となります。
取引の相手方保護のために認められている“催告権”の論点ですね。
ここは、処理基準は、催告の相手方が能力者なら、返事をしないと能力者にとって不利になる追認をしたことにされ、被保佐人・被補助人は催告を受けることができるのですが、それらの制限能力者が返事を出さないと、これらの者にとって不利にならにならない“取り消したこと”となるのでした。妥当な、利益衡量ですね。
そこで、制限行為能力者の相手方が、“被保佐人”に対して催告権を行使した場合において、確答をもらえないときには、被保佐人に対して催告権を行使した場合には、取消擬制の効果をもたらすのです。
本肢は、「追認したものと擬制される」としているので誤りですね。
ちなみに、未成年者と成年被後見人は、そもそも催告の受領能力すら持っていないので、催告自体したことにならないのですね。
肢5ですが、“正しい”です。
まあここは、制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときと言えそうですから、その行為を取り消すことができないのは妥当ですね。
ただし、ちょっとここでの問題意識を確認しておきましょう。
黙秘しているだけだから、積極的にだましていないではないか、という問題意識ですね。確かに、だまっているだけですから、一理あります。
判例は「無能力者であることを黙秘することは、無能力者の他の言動などと相まって、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときには、民法20条にいう詐術にあたるが、黙秘することのみでは詐術にあたらない」としています。
やはり、「黙秘することのみでは」ダメなんですね。きちんと答えていますね。
以上ですが、何かこれまでとは違った点が、つかめましたか。
では、また。
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問27 民法 総則
制限行為能力者に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。
1.未成年者について、親権を行う者が管理権を有しないときは、後見が開始する。
2.保佐人は、民法が定める被保佐人の一定の行為について同意権を有するほか、家庭裁判所が保佐人に代理権を付与する旨の審判をしたときには特定の法律行為の代理権も有する。
3.家庭裁判所は、被補助人の特定の法律行為につき補助人の同意を要する旨の審判、および補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
4.被保佐人が保佐人の同意を要する行為をその同意を得ずに行った場合において、相手方が被保佐人に対して、一定期間内に保佐人の追認を得るべき旨の催告をしたが、その期間内に回答がなかったときは、当該行為を追認したものと擬制される。
5.制限行為能力者が、相手方に制限行為能力者であることを黙秘して法律行為を行った場合であっても、それが他の言動と相まって相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときは、詐術にあたる。
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肢1ですが、条文通りで“正しい”ですね。
未成年者に対して、親権を行う者がいないときはもちろん、親権を行う者が管理権を有しないときにも、後見が開始されて保護しなければなりません。
親権者がいても、後見ができるんだということですね。
あと、後見人は法人でも可能ですし、未成年後見人は以前は1人のみでしたが、複数でも良くなったのですね。
肢2ですが、これも“正しい”ですね。
被保佐人は、管理行為は単独でできるのですが、重要な財産に関する行為をする場合には単独ではできず、保佐人の同意を得なければならないのでした。
また、家庭裁判所は、一定の請求権者の請求により、保佐人に代理権付与の審判をすることができるのですが、この場合、本人以外の者の請求によってこの審判をするには、本人の同意がなければならないのでした。
肢3も、“正しい”ですね。
補助開始の審判では、当然補助人の同意が必要となるのもではなく、別途①補助人の同意を要する旨の審判をするか、または、②補助人に代理権を付与する旨の審判をするか、つまりどちらか、または両方とともにしなければならないのでした。
単に被補助人だけにするということはできませんね。補助開始の審判時には、①か、または②のどちらか一方か、①と②を同時に行うこともokです。
もちろん、本人以外の者の請求により、補助開始の審判を着手するには、また、同意を要する旨の審判をするには、本人の同意がなければならないのでした。
ちなみに、被補助人が制限行為能力者になるのは、 補助人の同意を要する旨の審判をすることが必要でした。
肢4ですが、“誤り”でこれが正解となります。
取引の相手方保護のために認められている“催告権”の論点ですね。
ここは、処理基準は、催告の相手方が能力者なら、返事をしないと能力者にとって不利になる追認をしたことにされ、被保佐人・被補助人は催告を受けることができるのですが、それらの制限能力者が返事を出さないと、これらの者にとって不利にならにならない“取り消したこと”となるのでした。妥当な、利益衡量ですね。
そこで、制限行為能力者の相手方が、“被保佐人”に対して催告権を行使した場合において、確答をもらえないときには、被保佐人に対して催告権を行使した場合には、取消擬制の効果をもたらすのです。
本肢は、「追認したものと擬制される」としているので誤りですね。
ちなみに、未成年者と成年被後見人は、そもそも催告の受領能力すら持っていないので、催告自体したことにならないのですね。
肢5ですが、“正しい”です。
まあここは、制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときと言えそうですから、その行為を取り消すことができないのは妥当ですね。
ただし、ちょっとここでの問題意識を確認しておきましょう。
黙秘しているだけだから、積極的にだましていないではないか、という問題意識ですね。確かに、だまっているだけですから、一理あります。
判例は「無能力者であることを黙秘することは、無能力者の他の言動などと相まって、相手方を誤信させ、または誤信を強めたものと認められるときには、民法20条にいう詐術にあたるが、黙秘することのみでは詐術にあたらない」としています。
やはり、「黙秘することのみでは」ダメなんですね。きちんと答えていますね。
以上ですが、何かこれまでとは違った点が、つかめましたか。
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