Gooブログから一年前の記事のメールが届きます。
1年前「アンジェイ・ワイダ監督死去」の記事を書いていました。
監督の作品で一番好きなのが「灰とダイヤモンド」です。
You Tubeで、検索してみると、モモイロクローバーZや沢田研二の曲がヒットするのですが、肝心の映画の方があまり出てきません。
こりゃ、いかん!
と言うことで、少し語っておこうかと思います。
舞台は第二次大戦が終わろうとするポーランド。
主人公のテロリストの青年が、社会主義の英雄を暗殺するお話です。
原作の『灰とダイヤモンド』は、社会主義の英雄を讃える小説ですが、監督は主人公を彼を暗殺するテロリストの青年にしています。
これは共産主義の当局の検閲を通るための手段なのです。
当局は、社会主義の英雄の映画だと思い、制作許可を出しました。
しかし、できあがった映画は、主人公のはずの英雄がほとんど出てきません。
「これは、ひどい。もっと、主人公(社会主義の英雄)を色濃く描くべきだ」
というお叱りを受けます。
しかし、ラストシーンで、当局の評価は180度変わります。
テロリストの青年は、ごみための中で死んでいくのです。
「社会主義の反逆するものにふさわしい最期を描いたすばらしい映画」だと。
そして、映画は公開され、西側の世界でも絶賛されました。
映画を見た人は思います。
「夢を持ちながら、祖国の未来のためにテロリストとなった青年を、無惨に殺すなんて、なんと抑圧的な社会なのだろう」と。
アンジェイ・ワイダ監督は、社会主義国家の厳しい検閲の目をかいくぐりながら、世界へ向けて国家の不条理を発信し続けたのです。