「―アジア・太平洋戦争の現実」が副タイトルです。
日本軍を兵士の目線から見ることによって現実の一端を見据えることが目的です。
日本は310万人の死者を出し、そのうち9割が1944~45年の絶望的な戦いで命を落としました。
わたしは子供の頃から、日本は日中戦争で力をかなり使っているのに太平洋戦争までして勝てるはずがないと思っていました。本書では、兵士の装備品(服や靴、飯ごうなど)の変遷にも注目しており、太平洋戦争前から、軍靴などかなり粗悪な品質になっていたことを知りました。日中戦争が行き詰まり疲弊した国力をなんとかするために太平洋戦争を始めることとなり、借金を返すために借金をするような状態だったと言えます。
また、装備品だけでは無く兵士の体格も年を取るごとに悪くなり、年齢も高くなり、最期には少年兵に頼るまでになっていきました。
すべての面で、質が悪くなり、勝つことが不可能となった絶望期に9割の死者が集中することになったのです。
それには、日本軍の偏った思想に影響されており、欧米列強に無理に追随していった悲惨さがありました。
統計データを元に客観的な視点で書かれているので、説得力があります。