戦前、夢の生活を求めてカナダに渡った日本人たちがいました。向こうで二・三年働けば、一生遊んで暮らせるくらい稼げる。そんな夢の生活だでした。
しかし、現実は、白人に搾取されながら貧しい生活を余儀なくされる暮らしだったのです。
そんな中でも、カナダで生まれ育った2世たちは、野球チームを作り、その地で楽しみを広げていくのでした。
安い賃金で真面目に働く日本人を現地の白人たちは自分たちの仕事を奪うよそ者と毛嫌いします。そして、英語を覚えようとせず、ところ構わず痰を吐き、立ち小便をする1世たち。
日本人を理解するカナダの友人や、白人と交流を深めていく2世たち。
日系人の野球チームで最強の朝日軍は、カナダの野球リーグに入り、日本人の希望と成りますが、体が大きく力がある白人のチームにかないません。相手の剛速球に手も足も出ず1点も取れず連戦連敗の朝日軍ですが、日本人たちは朝日軍を愛情込めて応援しているのでした。
ある日、止めたバットに当たったボテボテのゴロがヒットになったことから、バントと盗塁、積極的な走塁で点を取れるようになった朝日軍は、その戦い方が面白いと白人の間でも話題になります。
少しずつ勝ちを重ねられるようになり、人気チームになっていったのですが、日本が真珠湾を攻撃し、米英(カナダは英国領)と戦争に突入してしまったのでした。
複雑な人種や国家の間で、野球を通じて、信頼や友情を描くエンターテインメント作品です。
実話を元にアレンジしてあるそうですが、さわやかさと切なさが入り交じった小説を楽しみたい方にオススメです。